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第四回公演

10、取材メモ、色々ぞくぞく

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 コツと、とりあえずの取材方法を見出し、更に勇者様という心強い味方をつけた二人は週末を使って更に取材を重ねた。


学生記者 S隊員による ヌード劇場 新発多劇場 取材メモ


写真にあるように建物はかろうじて(周辺住民の方は残る方が迷惑だが)看板が残っていました。
取り壊さないのかと周辺住民の方に聞くと、劇場の持ち手が夜逃げし、放置されているそうです。
「大型台風でも来て壊して欲しい」とのこと。
中を見ると(写真撮りましたが不法侵入にあたり使えないかも)劇場としてはかなり小さく、その名の通り小屋といった感じでした。
空の酒瓶などもあり、地元の蛮族が入り込んでいる様子ですが、商品名の古さからそれも相当古いと思われます。
「娯楽のない街において近所の人の集う場として機能していた」「うちのじいさんもよく行ってた」との話も聞けました。




学生記者 H隊員による モダンシアター Dainiel 取材メモ



モダンシアター Dainielは広大な更地になっていた。
巨大商業施設の建設予定地として立ち退きにあうも、元締めの不祥事により計画自体無くなりそのまま土地は放置。
花道が長く、高く、幅もあるので、同じ演目でも違った見方が出来、客にも踊り子にも評判がいい劇場だったらしい。
フィナーレやチームショーも他より華やかな見え方がしたとか。
Dainielは移転したらしいが、その後ショーパブになった様子。つまらん。
かつては送迎バスも出ていた様子。つまり駅から遠い。
なのでS隊員所有の折りたたみ自転車を持ち込み、二人乗りで向かいました。(犯罪行為に当たるかもしれないので聴かなかったことにしてください)
写真は折り畳み自転車を使って昭和のお父さんが愛車を前にどや顔で映る様を模したS隊員。
どうです。かわいいでしょうウチの嫁。



学生記者 H隊員による ストリップ劇場 御田村座 取材メモ

聞き込み、写真等を撮り終えた後、以前取材した時に知り合ったお客さん、通称勇者さんと現地で落ち合う。
撮影ショーで撮った写真も見せてもらう。
彼にとって写真はコレクションよりお布施に近いらしい。
おじいさん達は様々なエグい撮影ポーズを考案するので舌を巻くそうな。
御田村座は元々映画館だったところを劇場に改築したそうだが、映画館がハッテン場的な場だったこともあり、貴重なハッテン場所をストリップ小屋なんかにしやがってという意見もあったらしい。
でも今はハッテンも結構ネットを介して出来るので、そういう意味では時代の波に駆逐されてしまったもの、されなかったものとして別れた文化だったのかなと。文化?
元映画館だけあって椅子がフカフカでお尻に優しかったそうな。



 勇者様のサポートもあり、劇場跡地調査隊の名もストリップファンの間に知れ渡るようになった。
 そのため例の掲示板で近々そちら方面に行くのでお話聞かせてくれる方いませんかと聞くと、今度こっちに来るならぜひ自分に語らせろという人達も増えた。


ストリップシアター 浜丘劇場 ロビーにて


男性常連客 AさんBさん、女性常連客 Cさん インタビュー音声


男性客A「いやあ、ここが、ハマオカが残ってくれてるからまだいいんだけど」
男性客B「やっぱ小さい小屋の方がこう、なんつーかアットホーム?そういうのがあって」
男性客A「初心者さんとか若い子とか、女のお客さんには入りやすくていいんだろうけどね」
女性客C「私は、」
H隊員 「どうぞ」
女性客C「私も、最初はこの劇場からでした。入りやすいという点で。そこから周囲にある、あの…、ディープな小さい劇場に行くようにもなったんですが」
S隊員 「どうでした?」
女性客C「そうですね…。行く前はちょっと、怖いなという気持ちがありましたが、何分もう大人なので(笑)大丈夫だろうと。行ってみたらお客さんも少ないから従業員や踊り子さんもなんていうか、家族みたいで」
男性客A「仲間感あるよね。常連とも違う」
女性客C「自然とこう、初めての人大丈夫?わかる?みたいに気にかけてくださったり。他の劇場でもそういうのはあるんですけど」
男性客B「オレぁ待ち合い室みてえな感じだったなあ」
S隊員 「待ち合い室?」
男性客B「病院のな。いや、診療所か。じきに閉まるんだろうなあと思ってたからよ。ああいうちっせえ劇場って客少ねえからさ、早いうちは客集まらねえとなかなか始まんなかったりすんだよ。で、誰々さん、誰々さんってのは嬢じゃなくて客な?いっつも来てる近所の爺さん。まだ来ないから始めるの少し遅らせようかー、なんつって」
H隊員 「客待ち?常連待ち」
男性客B「そうそう。今日来てねえけど大丈夫か。家で死んでんじゃねえかみてえな」
S隊員 「見守りシステムみたいですね」
男性客A「ホントそう(笑)でもそういう面もあったと思うよ。それで初めてのお客さんとか、あれ?時間なのになんで始まらないんだろうって顔してたり」
男性客B「そういう、なんかダラッとした時間が病院で順番呼ばれるまでだべってる感じしたなあ、なんか」
S隊員 「建物としてはどうでした?」
男性客B「あー、もうボロのボロだよ。テレビつかねえし。トイレもひどかったろ、ねえちゃん」
女性客C「そうですね(笑)ちょっと今だとないくらい。それでもなんかこう……、楽しかったですね。寒かったり、暑かったり」
男性客A「空調ね。空調って言っていいのかなあれ(笑)」
H隊員 「ここはトイレきれいですよね。アメニティある劇場とかって初めてです」
S隊員 「女性用もありますし」
女性客C「でも、」
H隊員 「どうぞ」
女性客C「……安全過ぎますね」
S隊員 「安全?」
女性客C「もう少し、裏通り感というか。大人な遊び場感は残して欲しかったかな」
男性客A「便器から顔出てくるとか」
女性客C「そうではなくて(笑)」
H隊員 「健全過ぎる?明る過ぎ?」
女性客 「そうです。光と影の、光しか残らなかったような」
男性客B「光がこういうでけえハコで、影がちいせえ小屋か」
女性客C「はい。冒険が無くなりましたね。あっ!」
S隊員 「はい?」
女性客C「あの、次、私の好きな踊り子さんなんで、いいですか」
S隊員 「ああ、どうぞ」
女性客C「すいません。 まだこのあとおる?もっと話したいねんけど」
S隊員 「いますいます」

(パタパタパタ、)

H隊員 「……方言出ちゃった」
S隊員 「出ちゃった(笑)」
男性客A・B「(笑)」
男性客A「えーっと。じゃあー、そこのバーでオレンジジュースでも飲む?奢るけど」
H隊員 「わあい」
S隊員 「焼き空豆食べたいです」
男性客A「いいね」




学生記者 S隊員 デラックス砂原 取材メモ



添付した写真の通り、デラックス砂原はデイケアとなっていました。
職員さんにストリップ劇場時代のことを聞いてみたところ、全く知らないとのこと。
ストリップという単語を聞いただけで眉をひそめるレベル。
しかしそこに通っているおじいさんが、劇場時代にもここに通っていたとのことで話を聞いてみることに。
デイケアになってからも数人劇場に通っていたおじいさん客がいたそうですが、比較的すぐに弱りはじめ、来なくなったか亡くなられたらしい。
その理由に、ここは退屈で、やることは食事かお遊戯程度。
やはり老人には刺激が必要で、 若い娘に触れたり若者と話したり、またお金を使うことも重要だとか。
(「自分はぴんしゃんしているが、」とは言ってましたが、取材中同じ話が何度かループしてはいました)
劇場の閉鎖理由は漏電による火災が原因らしいです。
寝泊まりしていた何人かの踊り子が逃げ遅れ、焼け死んだという噂も。
また火災保険に入ってなかった、建物が消防法に引っかかっていたなどの理由から再建出来ず、その後このような場となったそうです。
同行していたH隊員が怖がったので、噂ではなくここで本当に踊り子が死んだのかと聞くと、「だからこんなところでも通ってるのかもしれない。一人じゃ寂しいだろうから」と言ってました。






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