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これより洗礼の儀を執り行う

11、いつの時代も悪役の方が魅力的

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アニメ アルコール・ド・ボンバーPresents 
ピンクエレファント団 ターレム✕ブラルシの会議室ラジオ


 パーソナリティ ターキッシュハーレム(CV 田所 元生)
ブラックルシアン(CV 森口茜)

ビアバスター(CV 文屋真希)ゲスト回

オープニングトーク~ゲスト呼び込みまで抜粋


ターキッシュハーレム「悪悪酔子ワルワルヨイコ。悪酔子ワルヨイコ。ワルイヨイコのみんな、今日も鼻を赤くしているか?俺はピンクエレファント団のターキッシュハーレムだ。よろしくな!急に寒くなってきたからな、あたたたく…、温かくして番組を聴けよっ!」
ブラックルシアン  「どうしたターレム、寒いのか。かじかんでおるのか」
ターキッシュハーレム「何でもない(笑)一回噛んだだけだ。それよりお前は誰だっ!」
ブラックルシアン  「あ、そうだ。私はピンクエレファント団のブラックルシアンだ。Fi Sihhitak!ワルイヨイコのみんな、今日も鼻を赤くしているか?ちなみにフィサヘタックはサウジアラビア語で乾杯という意味だ。女性が言う場合はフィサヘテックになる」
ターキッシュハーレム「おお、相変わらずブラックルシアンの乾杯講座はためになるな」
ブラックルシアン  「そうであろう?苦しゅうない。そういえばさっきも言ったが、お前は寒さ対策などはしているのか?」
ターキッシュハーレム「俺か?俺はあれだな、本部に自動販売機があるだろう」
ブラックルシアン  「あるな」
ターキッシュハーレム「あそこに冬になると売られる生姜牛乳紅茶を飲んでいる」
ブラックルシアン  「おお、ダーティマザー様がいつも飲んでおられるやつだな」
ターキッシュハーレム「そうだ。現場で…、違う(笑)我が本部でダーティマザー様がいつも飲んでおられるやつだ」
ブラックルシアン  「なんだ。今日大丈夫か本当に」
ターキッシュハーレム「大丈夫だすまん(笑)いやでもすごいだろう!生姜は身体を温かめる効果があるし、なにより牛乳紅茶!ミルクティーじゃないんだ」
ブラックルシアン  「そうだな。四字熟語が力強いな」
ターキッシュハーレム「なんだか生姜パワーがより効きそうだろう!生姜牛乳紅茶!」
ブラックルシアン  「……ん?あれ?あ、すまん六字だ。よく考えたら生姜牛乳紅茶だから四字じゃなかった(笑)」
ターキッシュハーレム「…あっ、本当だ!(笑)何を言ってるんだ貴様!いい加減にしろ貴様!」
ブラックルシアン  「すまんすまん(笑)でもお前もそうだなとか言ってただろう」
ターキッシュハーレム「五月蝿い!(笑)いや、それより、悪酔子のみんな、わかるか?四字熟語って。もしわからなかったらお父さんに訊いてくれ。どうせ今日もお父さん達も一緒になって聴いてるんだろう。最近親御さんからのメールもどんどん増えていてありがたいぞ」
ブラックルシアン  「そうだ。相変わらずの啓蒙活動、とても有り難い」
ターキッシュハーレム「おい、ケイモウなんて言葉の方が四字熟語より難しいぞ」
ブラックルシアン  「あれ?」
ターキッシュハーレム「あれじゃない(笑)お父さん、それの説明も頼むぞ。もしわからなかったら自分で調べるんだ。それが親として、大人としての勤めだ。ちなみにブラルシ、貴様は寒さ対策は何をしているんだ」
ブラックルシアン  「私か?私はハロクロソルジャーズのライブDVDを寒い部屋で見まくっているぞ」
ターキッシュハーレム「そうか。相変わらず好きだな貴様」
ブラックルシアン  「ハロクロライブはものすごくテンションと体温がアガるからな。寒い部屋も暖房いらずだ。額に汗して全力でパフォーマンスする彼女達には元気が貰えるんだ」
ターキッシュハーレム「そうか」
ブラックルシアン  「最近ミナもんの成長が目覚ましくてな。歌の表現力が素晴らしい。正直加入当初はあんなに伸びる子とは思わなかったぞ。あと狛江ちゃんが最近髪を染めたんだ。一部からはあまり評判が良くないらしいが、私は応援しているぞ。ハロクロは成長を見守るアイドルだし、高校生メンバーはもっと変化してもいいと思うんだ。ただ清納セイナパイセンの卒業がどうしても痛くてな。歌に低音ファンキーさが無くなってしまった。これではライブで昔の歌が歌えなくなる。かといってこれ以上メンバーを増やすのも違うし、いっそ誰か声変わりでも発動してくれないかと思っているぐらいだ。女の子で声変わりとか無いのかな」
ターキッシュハーレム「そうか…。やばいなこれ(笑)また長くなるパターンだな。まだオープニングだぞ」
ブラックルシアン  「なんだ、もっと彼女達の魅力を語らせろ。今回ようやくライブのチケットが取れたのだ。本部にNGも入れている」
ターキッシュハーレム「貴様わざわざ休みまでとったのか!(笑)というか一人で行くのか!」
ブラックルシアン  「ダーティマザー様を誘ったら行かないと言われた」
ターキッシュハーレム「(爆笑)」
ブラックルシアン  「なんなのだ。なぜ行かないダーティマザー様」
ターキッシュハーレム「貴様現b…、本部で誘ったのか」
ブラックルシアン  「そうだ。ちゃんと予習としてライブDVDも貸しておいたのに失敗に終わった。返してくれた時面白かったと言ってくれてたんだがな」
ターキッシュハーレム「(笑)一体いつの間にそんなことが行われてたんだ。本部で」
ブラックルシアン  「仕方ない、今日のゲストでも誘ってみるか」
ターキッシュハーレム「おおそうだな!悪酔子のみんな!なんと今日は本部から刺客を呼んでいるぞ!」
ブラックルシアン  「一体誰であろう。楽しみだ」
ターキッシュハーレム「秘密の刺客はCMのあとだ!」

ブラックルシアン  「この番組は、親子で一献 友岳酒造、アルドボ製作委員会の提供でお送りするぞ」


 「うわ、ビアバスターほんとに来るんだ」

  自室にて。携帯ゲームにポーズを掛け、響季は思わずラジオに聴き入っていた。
  作業用にと聴き流してしまう普段の声優ラジオと違い、CMになるまでじっとベッドの上で息を潜め、一語一句聴き逃すまいとしてまで。
  そして公式サイトのブログにあった、『来週はゲストにビア◯◯ターがくるぞ!』というあまりにも簡単過ぎる問題通り、今週のゲストは響季がアルコール・ド・ボンバーで一番好きなキャラ、ビアバスターらしい。

  アルコール・ド・ボンバーは《楽しくクールに、お酒の新しい飲み方を提案する》といったコンセプトで始まった子供向けアニメだ。
  子供も飲める、ノンアルコールで美味しいカクテルを提供するスマートバーテンダーズと、大人に悪酔いを推奨するピンクエレファント団。
  アニメ内では彼らがそれぞれカクテルを作って対決する。
  子供はスマートバーテンダーズのノンアルカクテルを大人ぶって楽しみ、酒離れした大人はピンクエレファント団のカクテルを嗜んで晩酌の楽しさを再確認する。
  放送当初は子供にお酒を教えるなんて!とクレーマーが騒いだが、親の躾が出来ていれば、きちんと大人の監視下で楽しませれば問題ないとナンセンス扱いされた。

  そんなアニメ派生の番宣ラジオ番組だったが、響季はその面白さにまんまとアニメを見てしまった。
  ノベルティのピンクエレファント団団員の証 ワインオープナーはすでに貰ったが、番組は継続して聴いていた。
  悪の軍団にパーソナリティーをやらせるというそのラジオ番組は、対象年齢は子供向けなはずなのに、きちんとした作りこみで大人や大きいお友達も楽しめた。
  声優がアニメで演じているキャラクターを声に纏い、不自由ながら自由に、縦横無尽に喋る。
  それはキャラクターラジオの醍醐味だった。
  喋っているのは声優なのに、まるで本当にターキッシュハーレムとブラックルシアンがあのエッジの効いた戦闘服でブースに入り、ラジオを収録しているように聴こえる。

  語るに落ちるではないが、時折中の人の素やリアルが綻びとして見えるのも楽しい。
  ピンクエレファント団総帥 ダーティマザー様。
  それを演じる女性ベテラン声優とのアフレコ現場でのやりとりも、会話でチラリチラリと垣間見えた。
  本来なら若手がおいそれと声をかけることも許されないであろう大ベテラン様なのに、ブラックルシアン役の森口茜は果敢にもコミュニケーションをとろうとしていたらしい。
  森口茜がハロクロ好きというのも、ブラックルシアン設定に逆輸入され、組み込まれた。
  アニメ本編でアイドルバーテンダー達がライブをするシーン。そこでサイリウムやヲタ芸禁止なライブにも関わらず、やらかしたファンをブラックルシアンが毅然と咎めた時は思わず響季も吹き出した。

  トークでキャラクターの設定が破綻したらそれを自ら、あるいは相方がリアルタイムで補修する。もしくは設定としてアニメスタッフが面白おかしく吸収する。
  そうして彼らは虚構であるはずのアルコール・ド・ボンバーの世界観を、現実世界のラジオ番組の中で作り上げていた。
  役者であり、声の芝居を生業としているからこそそれは出来た。
  メールを送ってくるのもちびっ子のみならず、一緒にアニメを見ているその親、あるいは大きいお友達。
  響季も空気を読み、ちびっ子然とした良い子メールを送った。
  そんな、ノベルティグッズなど関係なくいちリスナーとして愛していたラジオ番組を聴いていると、

 「おわああ!」

  恐怖の着メロに響季がベッドから飛び起きた。
  設定した着メロで誰だかわかる。
  零児からのメールだった。
  ラジオネームの件で呼び出されてから一週間ほどしか経っていない。
  普段から用が無ければメールもしない。
  やはりラジオネームについての急かしメールかと思い、ケータイを見ると、

 「……なんだこれ」

  送られてきたメールには番組名のようなものと、11:40、29:37などの数字の羅列がいくつも書いてあった。
  それはかつて見たことがあった。
  まだ零児が響季にとって片思いの友達だった時に手紙に書いてあったものだ。
  記されたラジオ番組に、零児は響季とのことを絡めた恋の相談メールを送っていた。
  あの時は一つの番組名だったが、今回は謎の暗号がいくつもいくつもある。
  ごきゅ、と唾を飲み込み響季は、

 「あ、CM終わった」

  とりあえず一週間のお楽しみが終わるまで保留とした。
  今日は響季の大好きなビアバスターたんゲスト回だ。
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