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30、違法だから聴いたらすぐに消せすぐにけせすぐにけs
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8月に関東の某ショッピングモールで行われた、声優 鳴島慧と櫻風オウファのイベントステージの模様
違法にアップロードされた盗聴音源より抜粋
鳴島「はいどーもー。ワタクシ本日の司会とMCを務めさせていただきます、アレ?(笑)司会とMCじゃねえや(笑)」
観客「(笑)」
櫻風「(笑)」
鳴島「なに?ワタシ何?(笑)今日のワタシ何?演者さん?」
櫻風「パフォーマー?(笑)」
鳴島「パフォーマーって言うとなんか大道芸やる人みたいだけど(笑)櫻風ちゃんの後ろで傘回す?」
観客「(笑)」
櫻風「よっ!って」
鳴島「ホッ!ハッ!っつって(笑)あとは?ジャグリングでもする?すいませーん、なんかボール的なもの」
観客「(笑)おおーっ」
鳴島「おおー、じゃない(笑)出来ない出来ない。ボール出されても出来ないし。あのスーパーお手玉みたいの。……何?あっ、すいません。アタシたち全然自己紹介まだだった(笑)スタッフさんから怒られちった(笑)すいませんどーもー。はーいっ!ワタクシ、声優なんぞをやってまーす!鳴島慧でーす!おしゃしゃーすっ!(笑)」
観客「(笑&拍手&声援)」
櫻風「ちゃんと(笑)ちゃんとお願いして(笑)」
鳴島「よぉろぉしぃくおぉねぇがいしまぁぁーすっ!」
観客「(笑&拍手&声援)」
鳴島「届け、私の声っ!あのオシャレゾーンで買い物してる、オシャレお客さん達に届けっ!オシャレアイス分けっこして食ってるオシャレ恋人達に届けっ!」
観客「(笑)」
鳴島「はいっ(笑)そして?」
櫻風「櫻風です。宜しくお願いします」
観客「(拍手&声援)」
鳴島「はいっ!はいっ、しっとり。櫻風ちゃんしっとり」
観客「(笑)」
鳴島「そしてぇ、ワタクシ声優の鳴島慧ですっ!よろしくおねがいしまーすっ!」
櫻風「ええっ?(笑)」
観客「(笑)」
鳴島「今日は名前だけでも覚えて帰って下さーいっ!」
観客「(笑)」
櫻風「えっ?(笑)じゃあ、ワタシ櫻風です。今日は名前だけでも、」
観客「(笑&声援)」
鳴島「別にいいの!櫻風ちゃんはやらなくて!私やりたかっただけだからっ!名前だけでもってやつ!」
櫻風「えー?あたしもやりたい」
観客「(笑&声援)」
鳴島「えーっ?(笑)じゃあ、じゃあやりなさいよ(笑)おやりなさいな。アタシ見ててあげるから。後ろで。腕組んで」
櫻風「櫻風でーす。今日は名前だけでも覚えて帰って下さーい」
観客「おぼえたー!」
櫻風「あっ!はいっ、ありがとうございますっ」
鳴島「あっ、ちょっ、いじんないでっ!お客さん側からいじんないで!櫻風ちゃんいじっていいのアタシだけなんだから」
観客「(笑)」
鳴島「櫻風ちゃんとこの事務所の社長さんにも言われてんだから!鳴島さんにならウチのオウファいじらせてあげてもいいって」
観客「(笑)ええー?」
櫻風「聞いてないよ(笑)」
鳴島「ホントに?あらー、じゃああたしにだけ聞こえる波長で言ってたんだわ、社長さん」
よく通る声と、芸人ばりの回しと話術。傍から見れば誰なんだろうと思う。
妙に面白い司会の方。
違う、声優だ。
テレビとは違い、常に喋っていないと放送事故に繋がるラジオというメディア。過剰な字幕テロップも、ここで笑ってくださいというワイプ画面もない、視覚に頼れないラジオというメディア。
そこで培ったトークスキルで鳴島は喋りまくり、喋り倒していた。
アフレコスタジオのマイクワークで鍛えた足運びで相手の、櫻風の呼吸を読み、アテレコ技術の要である瞬発力でツっこみ、ボケる。
そして動画配信でこそ発揮されるオーバーリアクション。ラジオでは伝わりきらない芸人的な動き。
声優にその動きは必要なのかと問われれば、声優だからこそ、声だけで芝居をする役者だからこそ身体は動き、全身を使って伝えようとする。
そのコミカルな動きを駆使して鳴島慧はトークを、ステージを盛り上げる。
観客はいつも通りの鳴島慧に笑い、拍手する。
通りすがりの人には誰だかよくわからない、よく喋る声の大きい人の独壇場だった。
鳴島と櫻風はひとしきりトークをし、アニメ クリストファーシンドロームにも触れたところでお待ちかねのライブとなる。
まずはオープニング主題歌を歌う鳴島慧のステージから。
さっきまでの笑い欲しがりMCからスッと表情を変え、歌のお仕事モードになる。
アニソン特有の派手な打ち込み系サウンド。疾走感のあるビートに、観客が盛り上がっていく。
ほとんどの観客の手には自ら用意してきたヒカリものがあり、ステージに向かってそれを振りあげ、掲げる。
J―POPのようにチャラついていない、真っすぐ胸を打つ歌詞。
しかしきちんと聴けば作品世界をわかりやすく説明してくれている。
確かな声量と、集まったオーディエンスを沸かせる全力のパフォーマンス。
ショッピングモールの無料イベントステージだろうが、アリーナで行われる五万人を動員するアニソンライブだろうがそれは変わらない。
声優とはいえ役者だけあって、歌声も動きも表現力豊かだった。
盛り上がるライブステージに、何人かの一般客が足を止める。
「誰?」
「知らない」
「客、めっちゃ飛んでるっ」
「アイドル?」
鳴島慧が誰なのか、足を止めた客は知らない。
だが、まったく知らない人種の足を止めるだけの力が、鳴島慧にはあった。
なぜか誇らしいような気持ちで響季がそれを見ていると、隣にいる零児が小さく身体でリズムをとっているのがわかった。
じわじわとした愛おしさが、響季の胸に広がる。
ショートバージョンで主題歌を歌いあげると、鳴島は集めたアツい熱気をすぐに櫻風に明け渡す。
出てきた櫻風はさっきまでのふんわりしたトークから一転し、力強い歌声を披露する。
一般人にとってはまったく無名の、しかしはるか海の向こう含め知るものからすればディーヴァの歌声が、夏休みのショッピングモールに舞い降り、降り注ぐ。
エンディング曲だけあって激しさは無く、観客は先ほどのようには飛びはねない。
ただその情念のようなものがこもった歌声とパフォーマンスを耳に、目に焼き付けようとしていた。
鳴島と違い、こちらはきちんとフルバージョンだった。
歌い終わった櫻風がはにかみながら慎ましく頭を下げると、観客から拍手と声援が送られた。
ニ階エリアにもさっきより少しだけ観客が増えていた。
その後ステージに戻った鳴島慧を交えて再度トークをし、二人が歌っていたクリストファーシンドロームの挿入歌を、今回は特別に、と披露する。
主人公が行きつけのバーで、店のママが開店前に仕込みや掃除をしながら見ている通販番組のテーマ曲だった。
アニメ本編ではカウガールの女の子二人が歌う、少ししか流れない萌え萌えなテーマ曲。
アニメの中でカウガール達が被っているテンガロンハットを、鳴島慧と櫻風が被る。
コスプレだ!コスプレだ!と歌姫様が興奮する。
拙い、ついさっき控室で考えたような振付で、アニメ声優と歌姫系アニソンアーティストが萌えソングを披露した。
集まっていた観客は沸き立ち、後から引き寄せられるように集まった観客はぽかんとする。
歌を披露したあとは、後日発売されるサウンドトラックにこの曲が収録されるという宣伝も忘れない。
見てみれば大満足な無料ステージだった。
違法にアップロードされた盗聴音源より抜粋
鳴島「はいどーもー。ワタクシ本日の司会とMCを務めさせていただきます、アレ?(笑)司会とMCじゃねえや(笑)」
観客「(笑)」
櫻風「(笑)」
鳴島「なに?ワタシ何?(笑)今日のワタシ何?演者さん?」
櫻風「パフォーマー?(笑)」
鳴島「パフォーマーって言うとなんか大道芸やる人みたいだけど(笑)櫻風ちゃんの後ろで傘回す?」
観客「(笑)」
櫻風「よっ!って」
鳴島「ホッ!ハッ!っつって(笑)あとは?ジャグリングでもする?すいませーん、なんかボール的なもの」
観客「(笑)おおーっ」
鳴島「おおー、じゃない(笑)出来ない出来ない。ボール出されても出来ないし。あのスーパーお手玉みたいの。……何?あっ、すいません。アタシたち全然自己紹介まだだった(笑)スタッフさんから怒られちった(笑)すいませんどーもー。はーいっ!ワタクシ、声優なんぞをやってまーす!鳴島慧でーす!おしゃしゃーすっ!(笑)」
観客「(笑&拍手&声援)」
櫻風「ちゃんと(笑)ちゃんとお願いして(笑)」
鳴島「よぉろぉしぃくおぉねぇがいしまぁぁーすっ!」
観客「(笑&拍手&声援)」
鳴島「届け、私の声っ!あのオシャレゾーンで買い物してる、オシャレお客さん達に届けっ!オシャレアイス分けっこして食ってるオシャレ恋人達に届けっ!」
観客「(笑)」
鳴島「はいっ(笑)そして?」
櫻風「櫻風です。宜しくお願いします」
観客「(拍手&声援)」
鳴島「はいっ!はいっ、しっとり。櫻風ちゃんしっとり」
観客「(笑)」
鳴島「そしてぇ、ワタクシ声優の鳴島慧ですっ!よろしくおねがいしまーすっ!」
櫻風「ええっ?(笑)」
観客「(笑)」
鳴島「今日は名前だけでも覚えて帰って下さーいっ!」
観客「(笑)」
櫻風「えっ?(笑)じゃあ、ワタシ櫻風です。今日は名前だけでも、」
観客「(笑&声援)」
鳴島「別にいいの!櫻風ちゃんはやらなくて!私やりたかっただけだからっ!名前だけでもってやつ!」
櫻風「えー?あたしもやりたい」
観客「(笑&声援)」
鳴島「えーっ?(笑)じゃあ、じゃあやりなさいよ(笑)おやりなさいな。アタシ見ててあげるから。後ろで。腕組んで」
櫻風「櫻風でーす。今日は名前だけでも覚えて帰って下さーい」
観客「おぼえたー!」
櫻風「あっ!はいっ、ありがとうございますっ」
鳴島「あっ、ちょっ、いじんないでっ!お客さん側からいじんないで!櫻風ちゃんいじっていいのアタシだけなんだから」
観客「(笑)」
鳴島「櫻風ちゃんとこの事務所の社長さんにも言われてんだから!鳴島さんにならウチのオウファいじらせてあげてもいいって」
観客「(笑)ええー?」
櫻風「聞いてないよ(笑)」
鳴島「ホントに?あらー、じゃああたしにだけ聞こえる波長で言ってたんだわ、社長さん」
よく通る声と、芸人ばりの回しと話術。傍から見れば誰なんだろうと思う。
妙に面白い司会の方。
違う、声優だ。
テレビとは違い、常に喋っていないと放送事故に繋がるラジオというメディア。過剰な字幕テロップも、ここで笑ってくださいというワイプ画面もない、視覚に頼れないラジオというメディア。
そこで培ったトークスキルで鳴島は喋りまくり、喋り倒していた。
アフレコスタジオのマイクワークで鍛えた足運びで相手の、櫻風の呼吸を読み、アテレコ技術の要である瞬発力でツっこみ、ボケる。
そして動画配信でこそ発揮されるオーバーリアクション。ラジオでは伝わりきらない芸人的な動き。
声優にその動きは必要なのかと問われれば、声優だからこそ、声だけで芝居をする役者だからこそ身体は動き、全身を使って伝えようとする。
そのコミカルな動きを駆使して鳴島慧はトークを、ステージを盛り上げる。
観客はいつも通りの鳴島慧に笑い、拍手する。
通りすがりの人には誰だかよくわからない、よく喋る声の大きい人の独壇場だった。
鳴島と櫻風はひとしきりトークをし、アニメ クリストファーシンドロームにも触れたところでお待ちかねのライブとなる。
まずはオープニング主題歌を歌う鳴島慧のステージから。
さっきまでの笑い欲しがりMCからスッと表情を変え、歌のお仕事モードになる。
アニソン特有の派手な打ち込み系サウンド。疾走感のあるビートに、観客が盛り上がっていく。
ほとんどの観客の手には自ら用意してきたヒカリものがあり、ステージに向かってそれを振りあげ、掲げる。
J―POPのようにチャラついていない、真っすぐ胸を打つ歌詞。
しかしきちんと聴けば作品世界をわかりやすく説明してくれている。
確かな声量と、集まったオーディエンスを沸かせる全力のパフォーマンス。
ショッピングモールの無料イベントステージだろうが、アリーナで行われる五万人を動員するアニソンライブだろうがそれは変わらない。
声優とはいえ役者だけあって、歌声も動きも表現力豊かだった。
盛り上がるライブステージに、何人かの一般客が足を止める。
「誰?」
「知らない」
「客、めっちゃ飛んでるっ」
「アイドル?」
鳴島慧が誰なのか、足を止めた客は知らない。
だが、まったく知らない人種の足を止めるだけの力が、鳴島慧にはあった。
なぜか誇らしいような気持ちで響季がそれを見ていると、隣にいる零児が小さく身体でリズムをとっているのがわかった。
じわじわとした愛おしさが、響季の胸に広がる。
ショートバージョンで主題歌を歌いあげると、鳴島は集めたアツい熱気をすぐに櫻風に明け渡す。
出てきた櫻風はさっきまでのふんわりしたトークから一転し、力強い歌声を披露する。
一般人にとってはまったく無名の、しかしはるか海の向こう含め知るものからすればディーヴァの歌声が、夏休みのショッピングモールに舞い降り、降り注ぐ。
エンディング曲だけあって激しさは無く、観客は先ほどのようには飛びはねない。
ただその情念のようなものがこもった歌声とパフォーマンスを耳に、目に焼き付けようとしていた。
鳴島と違い、こちらはきちんとフルバージョンだった。
歌い終わった櫻風がはにかみながら慎ましく頭を下げると、観客から拍手と声援が送られた。
ニ階エリアにもさっきより少しだけ観客が増えていた。
その後ステージに戻った鳴島慧を交えて再度トークをし、二人が歌っていたクリストファーシンドロームの挿入歌を、今回は特別に、と披露する。
主人公が行きつけのバーで、店のママが開店前に仕込みや掃除をしながら見ている通販番組のテーマ曲だった。
アニメ本編ではカウガールの女の子二人が歌う、少ししか流れない萌え萌えなテーマ曲。
アニメの中でカウガール達が被っているテンガロンハットを、鳴島慧と櫻風が被る。
コスプレだ!コスプレだ!と歌姫様が興奮する。
拙い、ついさっき控室で考えたような振付で、アニメ声優と歌姫系アニソンアーティストが萌えソングを披露した。
集まっていた観客は沸き立ち、後から引き寄せられるように集まった観客はぽかんとする。
歌を披露したあとは、後日発売されるサウンドトラックにこの曲が収録されるという宣伝も忘れない。
見てみれば大満足な無料ステージだった。
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