幽霊だって怖いものはコワイ ~うちの幽霊ちゃんは怖がり~

みやび

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62 メーリちゃんは、やっとお兄さんのおうちに到着する

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『私、メーリちゃん、今、お兄さんのおうちの前にいるの』
「到着しただと……!?」

メーリちゃんからの電話に出ると、なんと家の前にいるというではないか。
ベランダから見ると、確かにマンションの前に、白いツバの大きな帽子をかぶった金髪の少女がいる。
あれがメーリちゃんだろう。

『今からお邪魔するの』
「ちょっとまて…… 家の中が散らかってて掃除するから」

とっさにそう言ってしまったが、さてどうしようか。あげてもいいのだろうか。
しょっちゅう迷子になって泣いているとはいえ、れっきとした怪異である。
あげると何か問題があるのではなかろうか。
上司さんはもう大丈夫と言っていたが、何が大丈夫なのか確認していない。
うちにたどり着かないから大丈夫という意味だったのか、それとも来ても大丈夫という意味だったのか、その辺をちゃんと確認していないのだ。

ひとまず巫女ちゃんを呼ぶか、と電話を掛けるがつながらない。そういえば今日、補習だとか言っていた気がする。最悪だ!
上司さんに電話をかけたがこちらもつながらなかった。
さて、どうしようか。もう拒否権なさそうだし、えいやで上げてしまうか。
そんなことを考えていたら、再度電話がかかってくる。

『もしもし、私、メーリちゃん。手土産を忘れたの。一度帰るの』
「え、ちょ、もしもーし。切れた」

律儀というかなんというか。
手土産を忘れたから帰るらしい。
うちに来る連中は、たかるばかりなのでちょっと感動した。

忘れたって上司さんちだろうか。今のうちに対応を確認しておこうとメールをするのだった。




しばらく待ったが何も反応がなくなってしまった。
メーリちゃんからの再度の電話もない。
そんなことを考えていたら日が暮れてしまった。
何があったのだろうと思っていたら、また電話があった。

『もしもし、私、メーリちゃん。迷子になったの』
「なんでだよ!?」

一度家の前まで来てたよな!? なんでまた迷子になるんだよ!?

『おじさんに迎えに来てもらうから、今日はいけそうにないの。またの機会なの』
「はいはい、またな」
『ばいばいなの。あ、おじさんなの、今日は焼き肉がいいの』

そういって電話は切れてしまった。
なんか拍子抜けである。



なお、後日上司さんに確認したが、うちに来ても問題ないということだった。
ただ、メーリちゃんがうちに来るのはまだかなりの時間がかかりそうである。
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