幽霊だって怖いものはコワイ ~うちの幽霊ちゃんは怖がり~

みやび

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45 幽霊ちゃんはいぬがこわい

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『おにいさん! おでかけしましょ!!』

ずいぶん生気を吸われたが、最近色がかなり濃くなって透き通らなくなったこいつは、外出ができるようになったらしい。
といっても自己申告だから、今までできなかったどうかはわからないが。
だが、そういうなら少しぐらいは付き合ってやってもいいだろう。

「じゃあ近くのコンビニに行こうか。お菓子買いにいこう」
『わーい!!』

いきなり遠出してトラブルが起きても大変だ。
幸いコンビニは歩いて5分もかからないし、そこでプリンでも買ってこよう。いつも俺が選んだの買ってくるだけだから、本人に選ばせるのもいいだろう。
そう思って家から出たのだが……

『ひいいいいい!!!』

家を出てすぐ、散歩している犬にエンカウントしたこいつは、悲鳴を上げて俺に抱き着いてきた。
色が濃くなっても幽霊なのか、重くはないのだが正直うっとおしい。
犬といっても小型犬のコーギーだ。丸々太っていてかわいらしいし、吠えてくるようなしつけのなっていない犬でもない。
飼い主さんがリードを持っているから襲ってくるような感じではないが、人懐っこいのかこちらに興味津々で、近寄ってこようとしている。

「これの何が怖いんだよ。こんな小さくてかわいいのにな」
『ひいいいいいい!!!』

近寄って頭を撫でると、手を嘗め回された。べとべとである。
噛んだりしてくる、なんてことも当然なく、本当に人懐っこい犬だった。

『だって噛むかもしれないし』
「いや、かまねーよ」
『引っかかれるかもしれないし』
「猫じゃないんだからひっかかねーよ」

というか犬ってひっかくのだろうか。人をひっかくのは聞いたことがなかった。

『痛くしない?』
「しねーよ。ほら、手を出してみろ」
『わっ、わわっ!!』

頭を撫でるとうれしそうに尻尾を振って、手を舐め始める犬。
俺の時よりずいぶん反応がいい。
やっぱりでかいとだめなのかもしれない。

少しだけ撫でさせてもらって、犬とはお別れをした。

『猫ほど怖くなかった』
「いや、猫も怖くないけどな」

うちに来る黒猫は人に慣れてそうだしかなり礼儀正しい方だと思う。
ただこいつには謎のなつき方? をするだけだ。

この後ほかの犬ともう一度すれ違ったが、どうにかコンビニに無事到着した。
あいつは一番でかいプリンを嬉々として購入していた。
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