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9 幽霊ちゃんは電話がこわい
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「なあ、お前、なんかしたか?」
『心当たりはないんだけど……』
携帯電話が鳴っている。
普段自分が使っているものならそう困惑はしなかっただろう。
だが、10年以上前の、既に充電もしなくなって長い使わなくなった携帯電話が鳴っているのだ。
十分怪奇現象だった。
『んー、あ、一つ心当たりがあった』
「なんだ?」
『ネットの友達が、今度電話かけていいかって言ってた。電話ないから無理でしょって言ってたんだけど……』
「これの電話番号、俺すら忘れてるんだが……」
出てみるか? と渡すと全力で投げ返される。
『お化け出たら怖いじゃん!!!』
「これお前の友達だったらその友達がお化けじゃん」
類は友を呼ぶというか…… ひとまず出てみるか。
「もしもし」
『私メーリちゃん。幽霊ちゃんはいらっしゃいますか?』
「ああ、今代わる」
やっぱりこいつの友達だった。
『代わりました。あ、メーリちゃん? なに? 今からこっちくる? え、ちょっとお兄さんの許可とってないんだけど。 あ、切れた』
「いろいろ不安になることが聞こえたんだが、何だって?」
『今からうちに来るって。「今ゴミ捨て場にいるの」って言ってた』
「完全にメリーさんの電話じゃねえか!!!」
『メリーさんの電話?』
「怪談話だよ!!!」
『やだー!! おばけこわいー!!!』
「それがお前の友達だけどな!!!」
泣いて引っ付くこいつは置いておいてひとまず巫女ちゃんを呼ぶか。さすがにやばいのだと対処しきれん。
「私だって、そんなに暇じゃないんですよ、もぐもぐ」
「食べるか喋るかどっちかにしなさい」
巫女ちゃんに電話をしたら10分もかからずに来た。そして座ると羊羹を食べ始めた。
巫女ちゃんは大の甘党だ。お詫びにと上司さんが持ってきた羊羹の結局三分の二は巫女ちゃんに食べられた。お詫びとは何だったのか。
今食べている羊羹は俺が買ってきた奴だ。最近は舌が肥えてコンビニ羊羹では文句を言い始めた。こいつといい、甘やかすとろくなことが起きない。
こいつはこいつで、怖いからと膝に乗ったまま、目の前の羊羹をチューチューと謎に吸い始めている。後でちゃんと上げるから、おとなしくしていなさい。
ちょっとエンゲル係数が心配になりつつある。
「で、メリーさんの電話ですか。人形捨てたりしました?」
「いや、生まれてこの方捨てたことないし、そもそもこいつの友達らしいからな。ハンドルネーム『メーリちゃん』だ」
「怪異がネットやる時代ですか……」
「こいつも無茶苦茶SNSとかやってるぞ」
ネットにどれだけ怪異があふれているのか、少し不安になる現状だ。
「というか普通メリーさんって、少しずつ近づいてくる電話かかってくるんじゃないのか?」
最初の電話から30分ぐらいたっている。どこのゴミ捨て場か知らんが、何度か電話かけてこないと怪談にならないだろう。
『メーリちゃん基本亀レスだから』
「それ、電話にまで適用されると怪談として致命的じゃないか?」
そんな話をしているが、メーリちゃんはなかなか来ないのであった。
『心当たりはないんだけど……』
携帯電話が鳴っている。
普段自分が使っているものならそう困惑はしなかっただろう。
だが、10年以上前の、既に充電もしなくなって長い使わなくなった携帯電話が鳴っているのだ。
十分怪奇現象だった。
『んー、あ、一つ心当たりがあった』
「なんだ?」
『ネットの友達が、今度電話かけていいかって言ってた。電話ないから無理でしょって言ってたんだけど……』
「これの電話番号、俺すら忘れてるんだが……」
出てみるか? と渡すと全力で投げ返される。
『お化け出たら怖いじゃん!!!』
「これお前の友達だったらその友達がお化けじゃん」
類は友を呼ぶというか…… ひとまず出てみるか。
「もしもし」
『私メーリちゃん。幽霊ちゃんはいらっしゃいますか?』
「ああ、今代わる」
やっぱりこいつの友達だった。
『代わりました。あ、メーリちゃん? なに? 今からこっちくる? え、ちょっとお兄さんの許可とってないんだけど。 あ、切れた』
「いろいろ不安になることが聞こえたんだが、何だって?」
『今からうちに来るって。「今ゴミ捨て場にいるの」って言ってた』
「完全にメリーさんの電話じゃねえか!!!」
『メリーさんの電話?』
「怪談話だよ!!!」
『やだー!! おばけこわいー!!!』
「それがお前の友達だけどな!!!」
泣いて引っ付くこいつは置いておいてひとまず巫女ちゃんを呼ぶか。さすがにやばいのだと対処しきれん。
「私だって、そんなに暇じゃないんですよ、もぐもぐ」
「食べるか喋るかどっちかにしなさい」
巫女ちゃんに電話をしたら10分もかからずに来た。そして座ると羊羹を食べ始めた。
巫女ちゃんは大の甘党だ。お詫びにと上司さんが持ってきた羊羹の結局三分の二は巫女ちゃんに食べられた。お詫びとは何だったのか。
今食べている羊羹は俺が買ってきた奴だ。最近は舌が肥えてコンビニ羊羹では文句を言い始めた。こいつといい、甘やかすとろくなことが起きない。
こいつはこいつで、怖いからと膝に乗ったまま、目の前の羊羹をチューチューと謎に吸い始めている。後でちゃんと上げるから、おとなしくしていなさい。
ちょっとエンゲル係数が心配になりつつある。
「で、メリーさんの電話ですか。人形捨てたりしました?」
「いや、生まれてこの方捨てたことないし、そもそもこいつの友達らしいからな。ハンドルネーム『メーリちゃん』だ」
「怪異がネットやる時代ですか……」
「こいつも無茶苦茶SNSとかやってるぞ」
ネットにどれだけ怪異があふれているのか、少し不安になる現状だ。
「というか普通メリーさんって、少しずつ近づいてくる電話かかってくるんじゃないのか?」
最初の電話から30分ぐらいたっている。どこのゴミ捨て場か知らんが、何度か電話かけてこないと怪談にならないだろう。
『メーリちゃん基本亀レスだから』
「それ、電話にまで適用されると怪談として致命的じゃないか?」
そんな話をしているが、メーリちゃんはなかなか来ないのであった。
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