剣と魔法の世界の王国の第一王女に転生したけど無魔力のため追放されました ~無能姫の成り上がり~

みやび

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第六章 無能姫のエフラ王戴冠

5 戴冠式

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戴冠式の式次第はとても簡単である。
まず、正午に現地である大講堂に集合。
そして、人がそろい次第冠をかぶせてもらう。
そして解散、あとは流れで、である。
挨拶も口上もすべて省略である。
だって面倒だし。

ベルタに言われて、ベルトルドのエスコートで10分前には現地についた。
既に人は集まっていて、大講堂の真ん中に白くて丸い餅が鎮座し、その上に王冠が乗っていた。
その餅の横にいる美人の女性がボクを見て残念そうにつぶやいた。

「残念ですね、代理白餅くんのお仕事がなくなってしまいました」
「ええ、とても残念です。代理白餅君が来ているのを事前に知っていたら、ボクはさぼってカレー大会に行けたのに」

ボクが近寄ると、女性はボクのほっぺをもちもちした。
この人が森林王国の王リリウオカラニ様だろう。森の貴人といわれる人で、確かにとても美人だった。
種族も人間と違うらしく、とんでもなく長寿なのだとか。

「んー、さすがアルテミアの娘ですね。もちもちです」
「ほっぺで確認しないでください」

むにーんと引っ張られた後、女王様はボクの頭に王冠をポン、と置いた。
これで終わりである。

「では、代理白餅くんを食べましょうか、もぐもぐ」
「固くないんです?」
「魔法で温めながら食べているので大丈夫です」

ボクもたいがい型破りだが、この人も非常に型破りであった。
美人なのに残念な人だな、と思っていたがベルトルドが目でお前も一緒だといっていて少しへこんだ。
餅を食べ終わった女王様が、おもむろにこちらを向いて口を開いた。

「では、アデライド女王? カレー大会の優勝カレーを食べに行きましょう」
「いきます!!」

さてどうしようかと思っていたところだったが、女王様からカレーのお誘いがあった。
喜び勇んで二人でカレー大会会場に向かう。
既に優勝カレーが決まっており、そのカレーはまだ残っているようだった。
女王特権で優勝カレーを二人分用意させる。
女王様の服は真っ白なドレスだ。
ボクの服も真っ白なドレスだ。
絶対にやばい。
やばいと思ったが、カレーの匂いがよすぎて食欲を抑えきれなかった。
二人でおもむろに優勝カレーを食べ始めた。
すごくおいしかった。

そうして二人ともカレーをこぼして白いドレスにシミを作り、二人でベルタに怒られて家の前で正座させられた。


「我、女王ぞ?」
「我も、女王ぞ?」

そういってもベルタは許してくれなかった。
女王二人並んで正座させられる風景は非常に笑えた、と後でフルギア王から教えてもらった。
ちなみにドレスのシミは、セバスの技術できれいに消えた。
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