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第六章 無能姫のエフラ王戴冠
3 戴冠式準備会
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政務省の建物の完成をもって、エフラ王の戴冠式が行われることとなった。
昔の作法にのっとると、いろいろ形式的な作法があるのだが、そういうのが絶対嫌なボクは無茶苦茶駄々をこねた。
もう、子供だってもうちょっと遠慮するだろうと思うぐらい激しく駄々をこねた。
床に寝転がって、髪を振り乱して、じたばたと駄々をこねた。
妹と弟と部下と元部下と義理の兄弟と、その辺り全部そろった中で実行した。
冷たい目線の束もボクの駄々を止めることはできず、最終的にみんなが折れてくれた。
一応最低限の形は必要という事で、森林王国の王エルヴァンさんに冠をかぶせてもらうのだけは了承したが、あとの堅苦しいのは一切なしにした。
時間になったら大講堂の真ん中でかぶっておしまい、である。
とはいえ宴会やイベントは盛りだくさんである。
ジュスティア―二を宴会大臣に任命して、思いつく限りのイベントを行うことにした。
個人的にはカレー大会が非常に楽しみである。前日からご飯を抜くつもり満々である。
戴冠式イベントは3日間かけて行われる。冠をかぶるのは二日目のお昼である。
少しの時間だけ我慢しよう。
楽しみにしながら、戴冠式を待つのであった。
「どうにもならないと?」
ロンバルディア王が尋ねるが、フルギア王が首を振る。
王配ベルトルドもフルギア王に同意する。
「政治的にはよくないのはわかるが、義妹のことを考えるとこれが多分限界だろうね」
「ふざけて駄々こねていましたが、アデリーの式典嫌いは筋金入りなので」
おそらく7歳の時の継承の儀がトラウマなのだろう。
ベルトルドが見る限り、アデライドは他人の式典ならばどうにか我慢できるが、自分が主役の式典は確実に無理である。
成人の儀の時も真っ青になってぶっ倒れたのを、当時王太子だったフルギア王とベルトルドは見ていた。
そのまま翌日まで立ち直れずに、白餅の丸い塊をなぜか代理に授爵していた。
しばらくは白餅伯などと、話題になっていたのを思い出す。
もちろん性格的にああいう堅苦しいのが苦手なのもあるが……
何が起きるかわからないので、あまり無理はさせたくなかった。
「ベルトルド義兄様も大変ね。結婚式もできないじゃない」
「私は良いんですけどね。あれはお嫁さんのための儀式だと思っていますし」
ベルトルドとアデライドは既に夫婦なのだが、知らない人間が非常に多い。
結婚式をしていないからだ。だが、その式すらおそらく嫌そうなので、これ以上話は出さないことにしていた。
戴冠式の準備は着々と進んでいた。
昔の作法にのっとると、いろいろ形式的な作法があるのだが、そういうのが絶対嫌なボクは無茶苦茶駄々をこねた。
もう、子供だってもうちょっと遠慮するだろうと思うぐらい激しく駄々をこねた。
床に寝転がって、髪を振り乱して、じたばたと駄々をこねた。
妹と弟と部下と元部下と義理の兄弟と、その辺り全部そろった中で実行した。
冷たい目線の束もボクの駄々を止めることはできず、最終的にみんなが折れてくれた。
一応最低限の形は必要という事で、森林王国の王エルヴァンさんに冠をかぶせてもらうのだけは了承したが、あとの堅苦しいのは一切なしにした。
時間になったら大講堂の真ん中でかぶっておしまい、である。
とはいえ宴会やイベントは盛りだくさんである。
ジュスティア―二を宴会大臣に任命して、思いつく限りのイベントを行うことにした。
個人的にはカレー大会が非常に楽しみである。前日からご飯を抜くつもり満々である。
戴冠式イベントは3日間かけて行われる。冠をかぶるのは二日目のお昼である。
少しの時間だけ我慢しよう。
楽しみにしながら、戴冠式を待つのであった。
「どうにもならないと?」
ロンバルディア王が尋ねるが、フルギア王が首を振る。
王配ベルトルドもフルギア王に同意する。
「政治的にはよくないのはわかるが、義妹のことを考えるとこれが多分限界だろうね」
「ふざけて駄々こねていましたが、アデリーの式典嫌いは筋金入りなので」
おそらく7歳の時の継承の儀がトラウマなのだろう。
ベルトルドが見る限り、アデライドは他人の式典ならばどうにか我慢できるが、自分が主役の式典は確実に無理である。
成人の儀の時も真っ青になってぶっ倒れたのを、当時王太子だったフルギア王とベルトルドは見ていた。
そのまま翌日まで立ち直れずに、白餅の丸い塊をなぜか代理に授爵していた。
しばらくは白餅伯などと、話題になっていたのを思い出す。
もちろん性格的にああいう堅苦しいのが苦手なのもあるが……
何が起きるかわからないので、あまり無理はさせたくなかった。
「ベルトルド義兄様も大変ね。結婚式もできないじゃない」
「私は良いんですけどね。あれはお嫁さんのための儀式だと思っていますし」
ベルトルドとアデライドは既に夫婦なのだが、知らない人間が非常に多い。
結婚式をしていないからだ。だが、その式すらおそらく嫌そうなので、これ以上話は出さないことにしていた。
戴冠式の準備は着々と進んでいた。
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