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第五章 無能姫の西方大陸動乱 ロンバルディア戦役
7 ロンバルディア王都戦 迎撃戦
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それは包囲を初めて1月と4日が経った日の、夜明け直前であった。
東の門、ちょうどジョヴァンニさんが付城を作っていた方面の門が開いて、敵が討って出てきた。
ぞろぞろと出てきた彼らは、そのまままっすぐ突き進み、付城にとりつこうとして……
魔法の光に吹き飛ばされた。
ジョヴァンニさんが付城方面が一番手薄に見えたからこそこちらに出てきたのだろう。
だが、建築の出来として一番いいのはこちらの方面だった。
ボクもイスハクも、雑なところがあり、隠蔽が適当なのだ。だからいかにも待ち構えています、といった風だが、建築の匠ジョバンニさんのところは隠蔽も完璧であり、一見何もないように見えたのだろう。
そこに突っ込んできた敵兵たちは、待ち構えていた兵士たちの十字砲火にとらわれ吹き飛ばされた。
この十字砲火の概念は、異世界のものだ。
原理はそう難しくはない。
斜めに用意した射撃陣地を両側に用意して、決められた場所もしくは方向を狙って、合図されたタイミングで打つのだ。
そう、敵は狙わない。狙うのは決められた場所もしくは方向である。
これにより雨嵐のような魔法攻撃が敵を襲う。隙間ができないようにあらかじめ決めてあるので、回避も不可能だし、2方向から攻撃が襲うので防御も不可能なのだ。
最初に出てきた一隊は一瞬にして吹き飛んだ。100人程度いたが、皆ミンチになっていた。
だが敵もさるもので、これだけの攻撃ならば連続で攻撃ができまいと、間髪入れずに次の隊が突っ込んできた。
そしてそれも一瞬にして吹き飛んだ。
一斉射撃は見た目ほど、攻撃量は多くないのだ。
一人ずつの負担も均等なので、そこまで負担も大きくないし、さらに3つの隊に分けて交代で攻撃するので隙も少ない。
休んでいた兵士たちも徐々に準備でき始めているが、おそらく彼らの出番はないだろう。
5隊まで時間的な隙間なく突っ込んできたのはかなり練度が高いと思うが、それでも撃破されていく。さらに中央部から黒鉄隊が大長槍を構えて前進してきた時点で勝負は決した。
雨あられと魔法が降り注ぐ中、前から重装の黒鉄隊が前進してくればとても戦えない。さらに言うと、黒鉄隊は魔法攻撃が効かないのだ。
敵は潰走し始めた。そのまま追撃はしないでおく。
撤収のため、門近くで兵士が待ち構えているのが見えたからだ。
黒鉄隊の足では門が閉まるまでにたどり着けないだろうし、これ以上は損害が出そうなので追撃はしないことにした。
勝どきが早朝の鶏の声とともに上がる。
敵の損害は500ほど。万以上いるだろう王都の兵から見ればそう多い数ではないが、惨敗して敵の士気はどん底だろう。
そろそろ結末は見えてきたように思えた。
東の門、ちょうどジョヴァンニさんが付城を作っていた方面の門が開いて、敵が討って出てきた。
ぞろぞろと出てきた彼らは、そのまままっすぐ突き進み、付城にとりつこうとして……
魔法の光に吹き飛ばされた。
ジョヴァンニさんが付城方面が一番手薄に見えたからこそこちらに出てきたのだろう。
だが、建築の出来として一番いいのはこちらの方面だった。
ボクもイスハクも、雑なところがあり、隠蔽が適当なのだ。だからいかにも待ち構えています、といった風だが、建築の匠ジョバンニさんのところは隠蔽も完璧であり、一見何もないように見えたのだろう。
そこに突っ込んできた敵兵たちは、待ち構えていた兵士たちの十字砲火にとらわれ吹き飛ばされた。
この十字砲火の概念は、異世界のものだ。
原理はそう難しくはない。
斜めに用意した射撃陣地を両側に用意して、決められた場所もしくは方向を狙って、合図されたタイミングで打つのだ。
そう、敵は狙わない。狙うのは決められた場所もしくは方向である。
これにより雨嵐のような魔法攻撃が敵を襲う。隙間ができないようにあらかじめ決めてあるので、回避も不可能だし、2方向から攻撃が襲うので防御も不可能なのだ。
最初に出てきた一隊は一瞬にして吹き飛んだ。100人程度いたが、皆ミンチになっていた。
だが敵もさるもので、これだけの攻撃ならば連続で攻撃ができまいと、間髪入れずに次の隊が突っ込んできた。
そしてそれも一瞬にして吹き飛んだ。
一斉射撃は見た目ほど、攻撃量は多くないのだ。
一人ずつの負担も均等なので、そこまで負担も大きくないし、さらに3つの隊に分けて交代で攻撃するので隙も少ない。
休んでいた兵士たちも徐々に準備でき始めているが、おそらく彼らの出番はないだろう。
5隊まで時間的な隙間なく突っ込んできたのはかなり練度が高いと思うが、それでも撃破されていく。さらに中央部から黒鉄隊が大長槍を構えて前進してきた時点で勝負は決した。
雨あられと魔法が降り注ぐ中、前から重装の黒鉄隊が前進してくればとても戦えない。さらに言うと、黒鉄隊は魔法攻撃が効かないのだ。
敵は潰走し始めた。そのまま追撃はしないでおく。
撤収のため、門近くで兵士が待ち構えているのが見えたからだ。
黒鉄隊の足では門が閉まるまでにたどり着けないだろうし、これ以上は損害が出そうなので追撃はしないことにした。
勝どきが早朝の鶏の声とともに上がる。
敵の損害は500ほど。万以上いるだろう王都の兵から見ればそう多い数ではないが、惨敗して敵の士気はどん底だろう。
そろそろ結末は見えてきたように思えた。
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