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第五章 無能姫の西方大陸動乱 ロンバルディア戦役

5 ロンバルディア王都戦 準備

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王都ロンバルディアを囲む兵は5万を超える。
それだけの兵がいると、食料も物資も、そして住む場所も必要だ。
食料はシドニア公から回されるものがあるが、住む場所については問題になった。野宿には限界があるし、テントも快適ではない。

なのでいつものジョヴァンニさんや黒鉄隊を引き連れて付城を作ることにした。
その辺から木を切って塀を立て、やぐらを建て、そして簡易な家を建てる。
他の兵たちが緊張して王都を見守る中、ボクたちは歌を歌いながら楽しそうに木を切り、柱を立てて家を作っていた。

「姫様にも、これだけは負けませんよ」
「ふっふっふ、ボクも負けるつもりはないからね」
「二人ともなんでそんなに燃えてるんだよ」

黒鉄隊3000は、ボクと、ジョヴァンニさんと、イスハクの3人の隊に分かれて、3方で付城を建てはじめた。
期限は一週間。それまでに一番いい付城を作った隊が優勝だ。ボクが勝手に決めた。

ボクの持つ、新開発の戦斧が唸り、丸太が切り倒されていく。
隊員のみんなが切り倒された丸太を削り、木材に仕上げて建物を作っていく。
一夜城、とまでは言わないが、すさまじい勢いで付城が組みあがっていくのをただただ周りも、王都の中の人も眺めているだけだったようだ。
焦って出てきてくれれば叩けたのだが、三方ですごい勢いで建っていく建物に恐怖が先行してしまったらしい。
翌日には人が住める場所が出来始め、一週間で5万人程度の人間が住める簡易砦が出来上がった。

「入居者数はボクのところが一番だし、ボクの勝ちだよね?」
「希望者は私のところの方が多かったわけですから、私の勝ちですよ」

ボクのやり方はとにかく規格化して、無心になって作る方式だ。周りの兵たちにも手伝ってもらったから、3千戸の建物が出来上がっていた。3交代で休めば最大3万程度は住める家だ。
ジョヴァンニさんはさすが元祖黒鉄隊という事で匠の技が生かされた家ばかりだ。数は千戸だが、居住性は悔しいことに向こうの方が上である。はっきり言ってボクも向こうに住みたい。
ちなみにイスハクは、一般的な兵士が作った者よりはいいものを作っていたが、ボクたちに比べれば居住性の面で明らかに劣る出来であった。
コーディリアがイスハクを励ましていたが、そういいながらジョヴァンニさんのところに住んでいるのだから正直である。

付城というのは、兵の消耗を抑えられる。
防御施設もしっかりしているから敵襲にも過剰に備える必要がないし、しっかり休めるから体力の消耗も低い。料理などもちゃんとできるから食事もばっちりだ。
三方に囲まれた王都は、二進も三進もいかないだろう。
このまま付城を大きくしていって、城壁に迫ることも可能だ。
少しずつ、ロンバルディア王城を締め付けていくのであった。
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