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第四章 黒鉄姫の東方大陸動乱 フリギアの変

4 フリギアの変 出陣

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翌日朝には、王都フリギアへ向けて出発できるまで準備が出来ていた。
どうやらボク抜きで事を勧めようとしていた様だけど、それは嫌だった。
一日たって、ベルトルドと部屋から出てきたせいで散々からかわれながら、ボクも準備をする。
母が設計しなおした、対魔法に重点を置いた鎧は、ボクの体に今でもなじむ。
涙をこらえて鎧を着ると、剣を持ち、出陣をすることにした。

「義妹よ、私に全部任せてくれてもいいんだぞ」
「ボクの敵討ちの分ぐらいはくださいませ、お義兄様」

ニッコリと王太子にそう答えると肩をすくめた。
父親に兄弟に気の知れた家臣たちすべてが巻き込まれ、ボク以上に心配だろう王太子は、しかし動揺を見せずにいる。
王にふさわしいといろいろな人が言っていたが、確かにその姿には王気を見た。

王太子には、王太子自身が連れてきた近衛兵のほか、イチルの黒鉄隊500とジュスティニアー二団300を率いてもらい、ビュザンに上陸してもらう予定だ。
ビュザンですぐに集められる傭兵をすべて集めた後、そのまま王都に向かってもらう。王都とビュザンは徒歩で3日程度と割と近い。おそらくビュザンはこちらについてくれるはずだ。ロンバルディアから来た兵は少ないし、大多数は練度が低いエフラクの兵だろうからそこまで苦戦はしないだろう。

「という事でイスハク、王太子を守ってね。死んだら殺してでも生き返らせるから死なないでよ」
「無茶苦茶言うな。だがその無茶苦茶っぽいのが白餅だからしょうがねえ」

そういってイスハクはボクの頭を撫でた。20を超えてさらに筋肉が増えたイスハクはとてもガタイがよく強そうである。
おそらくみんなに心配をされていたのだろう。ボクが苦笑するとイスハクも笑った。

ボクたちは、船を率いてロンバルディアからくるだろう援軍と海軍と戦い撃破する。
場合によっては王都フリギアに強襲上陸をするが、基本は東大陸からの援軍の撃破が目的であった。
本当は王太子側にもっと兵をつけたいが、軽魔法兵たちはロンバルディア出身者が多くおり、セヴァン盆地からの兵はエフラク出身者ばかりなので、疑念を持たれる可能性があり今回は外していた。
黒鉄隊はほとんどが西大陸出身者であり、そういう点ではこの戦いに向いていた。
それでもロンバルディア出身の隊長ジョヴァンニ将軍を外して、イスハクにするぐらいには気を使っていた。

イチルの全船が出航する。
最高速でビュザンへ向かいそこで停泊、ビュザンに援助を求める。
ビュザン傭兵3000を加え、5000近くまで膨れ上がった王太子軍は、そのまますぐに王都へと向かう。
そうして王太子軍がビュザンを離れた直後、ロンバルディアの船団がこちらへと向かってきているという通報がなされた。
戦いのときは刻一刻と近づいていた。
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