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第四章 黒鉄姫の東方大陸動乱 フリギアの変

2 フリギアの変 王都陥落

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知らせは、王都フリギアがロンバルディアに落とされたという信じられないものであった。
ロンバルディアから来た使節団300はほぼすべてが兵士だったらしい。
もちろん王都をそれだけの兵で落とすのは困難だ。
足りない分は何とエフラク軍が大幅に助力していたという事だ。
ロンバルディアの交易船を装い、エフラク軍を王都に運び込み、一斉に蜂起したという事である。
これにより王宮は占拠されたという。

そうして、母は。
前イチル伯アルテミアは、首となって王都の門に掲げられたという。
君側の奸臣にして傾国の妖女であるとロンバルディアに糾弾され、殺されてしまったという話だった。

それを聞いたボクは、目の前が真っ暗になり、いつの間にか倒れていたのであった。




母親の死によりショックを受けたらしいアデライドは気絶してしまった。
今まで母親べったりだった彼女には確かにきつすぎる知らせだ。
王太子が口を開く。

「ベルトルド、うちの妹を頼む」
「頼まれなくてもどうにかしますよ。婚約者ですから。ただ、おそらく今回の戦いには全く役に立たないと思います」
「それはこちらでどうにかする。休んでいてくれて構わない」

それだけ言うと、ベルトルドはアデライドを抱えて部屋に入っていった。
幸いなのか、不幸なのかわからないが王都に王太子夫妻がいないからこそ、反撃するのは難しくなかった。
アルテミアだけではなく、王も王子たちもおそらく命はないだろう。
ロンバルディアの連中の乱暴さはうわさでは聞いている。敵となる王族を残しておくことはしないのが予想できた。

王太子はラッザロ師に声をかける。

「全軍、出動準備を」
「もう指示はしています。かわいい弟子を殺した奴らを許すつもりはありませんよ」

いつも笑みを浮かべるラッザロ師の表情が消えていた。
誰もかれも、怒りに駆られているのだろう。

ふー、と深呼吸をする。
ひとまずこういう時こそ、冷静にならないといけない。
イチルの軍を率いれば奪還も難しくないだろう。
ただ、早くしないと略奪などで王都が荒れてしまう。
出発は明日でいいだろう。それまでにできるだけ準備はしないと。

心がささくれ立つ中、王太子は立ち上がる。
王太子妃も動き出す。
反撃は、すぐに始まろうとしていた。
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