剣と魔法の世界の王国の第一王女に転生したけど無魔力のため追放されました ~無能姫の成り上がり~

みやび

文字の大きさ
上 下
27 / 57
第三章 黒鉄姫の東方大陸動乱 エフラク戦役

6 終戦条約と王都フリギア

しおりを挟む
首都陥落とエフラク公捕縛により、戦争は短期間で終了した。
フルギア王家の仲介で行われた終戦交渉は、こちらに圧倒的に有利に終わった。
高額の賠償金に領土割譲としてイチルに隣接するセヴァン盆地をもらう。
盆地はだだっ広いが水が少なく貧しい地域であり、エフラク公側もあまり抵抗しなかった。
賠償金は一方的な侵略という事で天文学的な数字になっており、エフラク公の個人資産をほぼ全部売却し、さらに足りない分はフルギア王家が公国領を担保に立て替えている形になっている。
こちらとしては支払われればなんでもよいのだが、おそらくエフラク公国は返済できずにフルギア王家に吸収されることになるだろうことが予想できた。

フルギア王都フリギアで締結されたフリギア条約により、イチル領は広がり、規模が大きくなったため領主である母はイチル伯を名乗れるようになった。名前だけだがちょっとかっこいい。
そんな母だが、フルギア王となんかいい雰囲気を醸し出している。
年齢差はかなりある。フルギア王は50を超えているが、母はまだ33だ。
今の年齢ならそこまで奇妙には映らないが、母がフルギア王国に滞在していたのは7歳から14歳までと聞いている。
母はおっとりと、幼馴染で初恋の人なの、とか楽しそうに言うが、母が7歳の時王は25歳だ。
犯罪にしか思えなかった。

まあ、王妃はすでに亡くなっているし、王の子供は3人もいて皆成人している。
王太子も地盤がしっかりしているから、二人がロマンスをし始めても、政治的な問題はないだろう。
イチルの町の領主にしてくれたのもそういった関係もあったからだろうし、適当に生暖かく見守ることにした。

ボクはボクで、三人の王子に囲まれてほっぺをモチモチされ続けた。
ついでに王太子妃にもほっぺをモチモチされた。
王太子妃は、もっと王太子に近づく女をけん制するべきだと思うのだが

「あなたが白餅姫ね! かわいい!!」

とか言いながら存分にこねくり回してきた。
なんだ白餅姫って! と思ったが、マッキナさんがそう言いふらしているらしい。
王太子妃はマッキナさんに自然科学なんかを習っていたことがあるらしく、交流もあるようで、手紙で「白餅にこき使われている」としょっちゅう愚痴っているらしい。
白餅という表現に惹かれるのが半分、師匠をこき使う小娘をいじめるつもりが半分、ぐらいのつもりなのだろう。
お菓子を食べながら、しぶしぶボクは白餅としてこねくり回されるのであった。

あまりにこねくり回されていたら、ボクの不機嫌なのを察知したのか、ベルトルドがボクを抱き上げた。
そうしてベルトルドまでボクのほっぺをこねくり回し始めた。
違う、そうじゃない。こねくり回す相手の問題じゃなくて、こねくり回されるのが面倒なのだ。
しぶしぶおとなしく、ベルトルドの膝の上でこねくり回されていると、王太子がベルトルドについて聞いてきた。

「なんだ、従者じゃないのか」
「ただのおさな「婚約者です」
「ちっ、第二王子か第三王子の婚約者にしようかと思ったのに」
「ちが「私が婚約者です。この白餅は私のです」
「焼くな焼くな。相手がいないなら、と思っていただけだ。奪うつもりはないよ」

なぜかベルトルドが婚約者になっていた。
それをなぜ本人が知らないのか。意味が分からない。
あと白餅っていうな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる

雨野
恋愛
 難病に罹り、15歳で人生を終えた私。  だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?  でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!  ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?  1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。  ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!  主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!  愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。  予告なく痛々しい、残酷な描写あり。  サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。  小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。  こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。  本編完結。番外編を順次公開していきます。  最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋
恋愛
 貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜

naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。 しかし、誰も予想していなかった事があった。 「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」 すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。 「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」 ──と、思っていた時期がありましたわ。 orz これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。 おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

処理中です...