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第三章 黒鉄姫の東方大陸動乱 エフラク戦役
1 戦争前夜
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フルギア王家によるイチルとエフラクの仲裁は失敗に終わった。
そもそもうまくいく余地がほとんどないのだ。エフラクの主張はどれも根拠がなく、たんにイチルが欲しいというだけであり、譲れる余地がないのだ。
そうして人口差で優に10倍以上ある相手にエフラクは譲るつもりはまるでないようであった。
エフラクからの最終通告、すなわちボクを40も上のエフラク公へ嫁に出し、イチルを併合するというものを拒否した時点で、戦争の火ぶたは切って落とされた。
エフラク公国は調べた限り人口数十万を有し、兵も総軍1万ぐらいは動員できそうな大きな領である。
もっとも今回の件はフルギア王家を怒らせており、フルギア王領との境目に多くの兵を派遣している以上、多くて2000から3000ぐらいではないかと考えていた。
一方で我らがイチルは人口はようやく1万を超えたぐらい。黒鉄隊が100に魔法兵が50。傭兵がビュザンから頑張って雇ったが400しかいない。
海の方は既に大型船だけでも10隻以上運用しており、エフラクと同程度であって海からの侵略は心配する必要はないが陸戦は4倍から6倍の兵力差である。圧倒的に数的不利であった。
「まあ、負けるつもりはありませんがね」
黒鉄隊隊長のジョヴァンニがボクにそういう。
母の実家であるフロウライト伯のところの将軍だった人で、母とボクが追放されてすぐにイチルに移住してきたとても愉快なおじさんである。
しばらく漁師をしていたので、漁師さんだとばかり思いこんでいたが、黒鉄隊を組織するときに誰か良い人を、と母に聞いたら彼を紹介されたのだ。
ちなみに魚とりの腕は町で一二を争う、何でも如才なくするおじさんだが、魔力はあまり高くないためフロウライト伯のところでは目が出なかったらしい。
ジョヴァンニの率いる長槍部隊80が山の下で待ち構え、ボク側近である近衛隊20が予備兵力として後に待ち構える準備をしていた。
エフラク公国とイチルの町を繋ぐ道は3本あるが、今いるところの正面にある峠が一番楽に通行できる道であり、おそらくここに来ると考えられた。
傭兵隊は峠に陣を張り敵を待ち構えている。
敵が来たら引き付けながら山の下まで逃げることになっていた。
ベルトルド率いる魔法兵部隊は偵察とともに山の中で遊撃をすることになっていた。
準備は万端である。
ベルトルドからエフラク軍が山の下に見えたという報告が来た。
数は4000。10倍近い、圧倒的な数であった。
峠の上の傭兵団と打ち合わせするべく、ボクはイスハクを連れて峠の上へと向かった。
そもそもうまくいく余地がほとんどないのだ。エフラクの主張はどれも根拠がなく、たんにイチルが欲しいというだけであり、譲れる余地がないのだ。
そうして人口差で優に10倍以上ある相手にエフラクは譲るつもりはまるでないようであった。
エフラクからの最終通告、すなわちボクを40も上のエフラク公へ嫁に出し、イチルを併合するというものを拒否した時点で、戦争の火ぶたは切って落とされた。
エフラク公国は調べた限り人口数十万を有し、兵も総軍1万ぐらいは動員できそうな大きな領である。
もっとも今回の件はフルギア王家を怒らせており、フルギア王領との境目に多くの兵を派遣している以上、多くて2000から3000ぐらいではないかと考えていた。
一方で我らがイチルは人口はようやく1万を超えたぐらい。黒鉄隊が100に魔法兵が50。傭兵がビュザンから頑張って雇ったが400しかいない。
海の方は既に大型船だけでも10隻以上運用しており、エフラクと同程度であって海からの侵略は心配する必要はないが陸戦は4倍から6倍の兵力差である。圧倒的に数的不利であった。
「まあ、負けるつもりはありませんがね」
黒鉄隊隊長のジョヴァンニがボクにそういう。
母の実家であるフロウライト伯のところの将軍だった人で、母とボクが追放されてすぐにイチルに移住してきたとても愉快なおじさんである。
しばらく漁師をしていたので、漁師さんだとばかり思いこんでいたが、黒鉄隊を組織するときに誰か良い人を、と母に聞いたら彼を紹介されたのだ。
ちなみに魚とりの腕は町で一二を争う、何でも如才なくするおじさんだが、魔力はあまり高くないためフロウライト伯のところでは目が出なかったらしい。
ジョヴァンニの率いる長槍部隊80が山の下で待ち構え、ボク側近である近衛隊20が予備兵力として後に待ち構える準備をしていた。
エフラク公国とイチルの町を繋ぐ道は3本あるが、今いるところの正面にある峠が一番楽に通行できる道であり、おそらくここに来ると考えられた。
傭兵隊は峠に陣を張り敵を待ち構えている。
敵が来たら引き付けながら山の下まで逃げることになっていた。
ベルトルド率いる魔法兵部隊は偵察とともに山の中で遊撃をすることになっていた。
準備は万端である。
ベルトルドからエフラク軍が山の下に見えたという報告が来た。
数は4000。10倍近い、圧倒的な数であった。
峠の上の傭兵団と打ち合わせするべく、ボクはイスハクを連れて峠の上へと向かった。
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