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第一章 神童と呼ばれた第一王女
5 乳兄妹のベルトルド
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ボク、ロンバルディア王国第一王女アデライド・ロンバルディアの周りにいる人間、というのは非常に少ない。
母であり王妃であるアルテミア・ロンバルディア
乳母のドーリア伯夫人ベルタ
侍女のソフィアとアウローラ
あとは下働きのメイドが入れ代わり立ち代わり来るぐらいである。
他には図書室で会うラッザロ先生もいる。
両手の指の数で足りてしまいそうである。
そんな少ない人の中にもう一人、幼馴染といえる相手がいる。
乳兄妹のドーリア伯三男ベルトルドである。
「べりゅー! べりゅー!」
「なに? アデリー」
大人が忙しいときは大体二人一緒にされて放置される。
最近は特に、母が弟を産んだので、姉であるボクは若干放置気味だった。
侍女二人はボクの侍女ではなく母の侍女だし、ベルタも伯夫人としての仕事があるせいか、それとも母についているのかそこまで構ってくれなくなった。
ラッザロ先生はそれなりに来てくれるが……
なので今日もベルトルドと二人、お留守番である。
ベルトルドは男の子なのだがとても可愛らしい。
ベルタに似て顔の作りがきれいで、現状正直言ってすさまじい美少女にしか見えなかった。
そんなベルトルド、愛称ベルにぺたぺた触るのがボクは大好きだった。
ベルは単純に慣れてしまったのか、半年ほどお兄さんだから我慢しているのかはわからないが、嫌がるそぶりも見せなかった。
ちなみにアデリーはボクの愛称だが、基本的にベルトルドしか呼ばない。
母はアデライドって呼ぶし、あとの人はおひいさまだ。
先生だけは結構呼び方が適当で、最近は白いのとか言われることが多い。最初は王女様だったのに。
しばらくぺたぺたしていると、ベルトルドもうっとおしくなったのか、ボクを抱っこする。
両親とも大柄な上、ボクより一つ年上なベルトルドは体の大きさだけならボクより大きかった。
幼女なボクは簡単につかまってしまい、今度は逆に撫でまわされる。
髪の毛をやさしく指で梳かれたり、背中の羽の付け根をやさしくなでられたり、しっぽをすべすべされたり。
いやではない。むしろうれしいのだが、くすぐったくてすぐに我慢が出来なくなってしまう。
「べりゅー! やー!」
そういってゴロゴロと転がりながらベルトルドから離れるのであった。
そんな風にしばらくボクの自室でベルトルドとじゃれたり、遊んだりしているとラッザロ先生が来た。
ラッザロ先生には母も一時期先生に師事していたとかで、王宮内にも弟子がたくさんいるらしい凄い人であった。
そんなラッザロ先生にボクは本の意味不明なところなどを聞き、ベルトルドは武器の扱い方を習っていた。
外見は美少女にすら見える美人なベルトルドだが、ベルタの子供だけあって中身は脳筋である。
ドーリア伯も脳筋らしいから、本当に筋金入りの脳筋なのである。
体を動かすのが好きで、一方でじっとしているのはあまり得意ではないらしい。
ボクとむにゃむにゃとじゃれるのは付き合ってくれるのだからいいお兄ちゃんではあるが、本に関してはあまり付き合ってくれなかった。
そんなベルトルドに、ラッザロ先生は武器の扱いを教えていた。
部屋の中でもできるトレーニングなんかもさせていて、なんというか、先生は本当に何でもできる人だなぁと感心したものである。
一緒に遊び、一緒に食べ、一緒に学び、時に一緒に寝る。
ベルトルドと過ごしながら、ボクは日々を送っていたのだった。
母であり王妃であるアルテミア・ロンバルディア
乳母のドーリア伯夫人ベルタ
侍女のソフィアとアウローラ
あとは下働きのメイドが入れ代わり立ち代わり来るぐらいである。
他には図書室で会うラッザロ先生もいる。
両手の指の数で足りてしまいそうである。
そんな少ない人の中にもう一人、幼馴染といえる相手がいる。
乳兄妹のドーリア伯三男ベルトルドである。
「べりゅー! べりゅー!」
「なに? アデリー」
大人が忙しいときは大体二人一緒にされて放置される。
最近は特に、母が弟を産んだので、姉であるボクは若干放置気味だった。
侍女二人はボクの侍女ではなく母の侍女だし、ベルタも伯夫人としての仕事があるせいか、それとも母についているのかそこまで構ってくれなくなった。
ラッザロ先生はそれなりに来てくれるが……
なので今日もベルトルドと二人、お留守番である。
ベルトルドは男の子なのだがとても可愛らしい。
ベルタに似て顔の作りがきれいで、現状正直言ってすさまじい美少女にしか見えなかった。
そんなベルトルド、愛称ベルにぺたぺた触るのがボクは大好きだった。
ベルは単純に慣れてしまったのか、半年ほどお兄さんだから我慢しているのかはわからないが、嫌がるそぶりも見せなかった。
ちなみにアデリーはボクの愛称だが、基本的にベルトルドしか呼ばない。
母はアデライドって呼ぶし、あとの人はおひいさまだ。
先生だけは結構呼び方が適当で、最近は白いのとか言われることが多い。最初は王女様だったのに。
しばらくぺたぺたしていると、ベルトルドもうっとおしくなったのか、ボクを抱っこする。
両親とも大柄な上、ボクより一つ年上なベルトルドは体の大きさだけならボクより大きかった。
幼女なボクは簡単につかまってしまい、今度は逆に撫でまわされる。
髪の毛をやさしく指で梳かれたり、背中の羽の付け根をやさしくなでられたり、しっぽをすべすべされたり。
いやではない。むしろうれしいのだが、くすぐったくてすぐに我慢が出来なくなってしまう。
「べりゅー! やー!」
そういってゴロゴロと転がりながらベルトルドから離れるのであった。
そんな風にしばらくボクの自室でベルトルドとじゃれたり、遊んだりしているとラッザロ先生が来た。
ラッザロ先生には母も一時期先生に師事していたとかで、王宮内にも弟子がたくさんいるらしい凄い人であった。
そんなラッザロ先生にボクは本の意味不明なところなどを聞き、ベルトルドは武器の扱い方を習っていた。
外見は美少女にすら見える美人なベルトルドだが、ベルタの子供だけあって中身は脳筋である。
ドーリア伯も脳筋らしいから、本当に筋金入りの脳筋なのである。
体を動かすのが好きで、一方でじっとしているのはあまり得意ではないらしい。
ボクとむにゃむにゃとじゃれるのは付き合ってくれるのだからいいお兄ちゃんではあるが、本に関してはあまり付き合ってくれなかった。
そんなベルトルドに、ラッザロ先生は武器の扱いを教えていた。
部屋の中でもできるトレーニングなんかもさせていて、なんというか、先生は本当に何でもできる人だなぁと感心したものである。
一緒に遊び、一緒に食べ、一緒に学び、時に一緒に寝る。
ベルトルドと過ごしながら、ボクは日々を送っていたのだった。
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