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第一章 神童と呼ばれた第一王女
1 「神童」アデライド
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ボク、ロンバルディア王国第一王女アデライド・ロンバルディアに前世の記憶があるのに気付いたのは、それこそ物心ついたころであった。
ボクの頭の中には、理由はわからないが「二ホン」という国の平民男性の経験と知識があった。
産まれた時からあったのかもしれないそれに気づいたのは本当に物心ついた時だった。
名前もわからないその前世の男性は、平民とはいえ大学まで出ている、かなり学がある人物だったようである。
数日かけてその知識を一つ一つ確認すると、数学や自然科学の基礎知識に始まり、経済や法についての専門知識や、二ホンという国や世界の歴史についての知識まで、多種多様な知識が含まれていた。
かなりの知識量なのではないかと勝手に思っていたものである。
知識を精査していて思ったこともある。おそらく「二ホン」はこの世界には存在しない国である。
前世の知識の中には世界についてかなり詳細なものがあるにもかかわらず、ロンバルディア王国についての知識が一切なかった。
ロンバルディア王国がかなり大きな国だというのは幼い自分でもわかっていた。ここまで博識な前世の知識に、名前すらない国があるとは思えなかった。
それに、前世の知識にある様々な便利な道具がこの世界にはなかった。王族である自分のところにもないのだ。おそらく技術などは全く違うのだろう。
これは一体どういうことかとしばらく悩んでいたのだが、前世の知識の中に参考になるものがあった。
「異世界転生」
死んだあと、違う世界に生まれ変わることらしい。
おそらくこれなのではないか、と自分の中で理解をした。
異世界転生というのは前世ではフィクション、物語のお話だったらしい。
だが現にこういうことが起きた身としてはとても参考になった。
転生の時に神様や何かと話した記憶は一切ない。
もしかしたらそんな出来事があった可能性は否定しないが、記憶には残っていなかった。
あとは「ちーと」である。ズルという意味のこれは、世界の理を超えた能力などを指すらしい。
異世界転生をするともらえることがあるという。
物語の話とは言え、かなり期待に胸が膨らむ。自分も何か「ちーと」をもらえていないだろうか。
ひとまず「すてーたすおーぷん!」などといってみたが何も起こらなかった。
ほかにもいくつか、知識の中にある行動を試したみたが、どうやらこういう「ちーと」はないらしい。
とても残念である。
まあひとまずは、この前世の知識だけでかなり役に立ちそうである。
そんなことをを考えながら自分の体も一度確認する。
じっと手を見る。ぷにぷにのかわいらしい手だ。
体をまさぐってみる。特に何かあるわけではない、女の子の体である。
ぷにぷに……と思っていたのだが、わき腹あたりに硬いものがあった。
服をめくってみるとその固いのは鱗であった。白っぽい硬いものが体に張り付いている。
他にも手足のほかに何かが背中から生えている気がする。
部屋に鏡がないので自分の姿が分からない。
くるくると回ってみたら、真っ白なトカゲのしっぽが見えた。ボクのしっぽではないだろうか。
むむむ、と記憶をたどってみる。
自分のこと、というのは案外わからないものである。
当然だからこそ何も考えていないことがある。
そういえば誰かがボクのことをリュージン、とか言っていたか。
思い出す限り両親も周りの人間もみんな前世の人間と変わらなかった気がするが……
前世の物語では、ほかの動物の特徴を持った人間、というのも存在していた。
ボクも何かそういった種族なのだろうか。例えばトカゲとか。
ひとまずお尻のあたりに力を入れてみたら、しっぽがびったんびったんベッドをたたいた。ちょっと面白かった。
なんにしろ、自分の状況を確認したボクは、次に自分の周囲を確認することにしたのであった。
ボクの頭の中には、理由はわからないが「二ホン」という国の平民男性の経験と知識があった。
産まれた時からあったのかもしれないそれに気づいたのは本当に物心ついた時だった。
名前もわからないその前世の男性は、平民とはいえ大学まで出ている、かなり学がある人物だったようである。
数日かけてその知識を一つ一つ確認すると、数学や自然科学の基礎知識に始まり、経済や法についての専門知識や、二ホンという国や世界の歴史についての知識まで、多種多様な知識が含まれていた。
かなりの知識量なのではないかと勝手に思っていたものである。
知識を精査していて思ったこともある。おそらく「二ホン」はこの世界には存在しない国である。
前世の知識の中には世界についてかなり詳細なものがあるにもかかわらず、ロンバルディア王国についての知識が一切なかった。
ロンバルディア王国がかなり大きな国だというのは幼い自分でもわかっていた。ここまで博識な前世の知識に、名前すらない国があるとは思えなかった。
それに、前世の知識にある様々な便利な道具がこの世界にはなかった。王族である自分のところにもないのだ。おそらく技術などは全く違うのだろう。
これは一体どういうことかとしばらく悩んでいたのだが、前世の知識の中に参考になるものがあった。
「異世界転生」
死んだあと、違う世界に生まれ変わることらしい。
おそらくこれなのではないか、と自分の中で理解をした。
異世界転生というのは前世ではフィクション、物語のお話だったらしい。
だが現にこういうことが起きた身としてはとても参考になった。
転生の時に神様や何かと話した記憶は一切ない。
もしかしたらそんな出来事があった可能性は否定しないが、記憶には残っていなかった。
あとは「ちーと」である。ズルという意味のこれは、世界の理を超えた能力などを指すらしい。
異世界転生をするともらえることがあるという。
物語の話とは言え、かなり期待に胸が膨らむ。自分も何か「ちーと」をもらえていないだろうか。
ひとまず「すてーたすおーぷん!」などといってみたが何も起こらなかった。
ほかにもいくつか、知識の中にある行動を試したみたが、どうやらこういう「ちーと」はないらしい。
とても残念である。
まあひとまずは、この前世の知識だけでかなり役に立ちそうである。
そんなことをを考えながら自分の体も一度確認する。
じっと手を見る。ぷにぷにのかわいらしい手だ。
体をまさぐってみる。特に何かあるわけではない、女の子の体である。
ぷにぷに……と思っていたのだが、わき腹あたりに硬いものがあった。
服をめくってみるとその固いのは鱗であった。白っぽい硬いものが体に張り付いている。
他にも手足のほかに何かが背中から生えている気がする。
部屋に鏡がないので自分の姿が分からない。
くるくると回ってみたら、真っ白なトカゲのしっぽが見えた。ボクのしっぽではないだろうか。
むむむ、と記憶をたどってみる。
自分のこと、というのは案外わからないものである。
当然だからこそ何も考えていないことがある。
そういえば誰かがボクのことをリュージン、とか言っていたか。
思い出す限り両親も周りの人間もみんな前世の人間と変わらなかった気がするが……
前世の物語では、ほかの動物の特徴を持った人間、というのも存在していた。
ボクも何かそういった種族なのだろうか。例えばトカゲとか。
ひとまずお尻のあたりに力を入れてみたら、しっぽがびったんびったんベッドをたたいた。ちょっと面白かった。
なんにしろ、自分の状況を確認したボクは、次に自分の周囲を確認することにしたのであった。
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