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探検隊
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仲のいい子と山を探検してた…。
5人も集まれば賑やかになる。
それはいいんだけど、ここは大人達が言っていた場所。
そう、【立ち入り禁止区域】。
なんでなのかは知らないや。
だから探検することにしたんだ。
だってダメだって言われたら余計に知りたくなるじゃん。
でね?
用事がない日に集まって探検スタートしたんだ。
見た感じ、立ち入り禁止区域の看板の後ろ側鉄線の柵がずっと続いている。
それだけでほんとに入ったらダメなんだとわかる。
でも僕らはそんな事では諦める事なく何処からか入れる場所はないかと探したんだ。
30分位探しただろうか?ほつれた鉄線がある場所が1ヶ所あったので、皆が入れるかどうかを検証してみる事にした。
幸いな事に僕らは小さいから余裕で入ることが出来た。
ガッツポーズをしながら一人づつ中に入って行ったよ。
鳥の鳴き声も虫の鳴き声も聞こえなかった。
なんで?
今は夏だから虫の鳴き声とか聞こえてもおかしくないはず…。なのに真っ暗闇の中何も音が聞こえてこないって…どうして?
枯れ枝とか枯れ草を踏む足跡だけが闇夜に響き渡り不気味さが増す。
仲間の一人が携帯の時間を確認した。
時間は夜の8時半。
大人達が帰ってきてもおかしくない時間だ。そんな時間にどこほっつき回ってたのか問い詰められるのが面倒だったので今日はここでお開きとした。
勿論開いていた場所から出てったよ。
次来るのがいつになるのかワクワクしながら想像してただけで嬉しくなっていた。
次の日の集まりでは大したことはなかったけれど、いつあの場所に行くのかを話し合う事になっている。
あの場所に行くのは皆怖くはないと言うが、あの場所…立ち入り禁止区域って何があったんだろうか?
わからなかった。
数日間は何事もなく過ぎていった。
それでも頭の片隅に残っていた。
親なら何か聞いたことあるかも知れない。そう考えた僕は改まって両親に聞いてみる事にした。
そしたらさ、母さんは知らないと言ったけど父さんは黙って目を瞑っている。もしかして何か知ってるのかまた期待して黙って喋ってくれるのを待ってたんだけど、父さんが聞いてきた。
「何でそこのことが知りたいんだ?そこには何もないぞ?」
「う~ん、そうなんだけどさ、荒れ放題のあの場所にアレがあるってことは何かあるかなって思ったんだ。別に大したことじゃないよ?」
「ならもう忘れなさい。お前には関係ないことだからな。」
「はーい。じゃあ僕もう寝るね?朝起きられなくなっちゃうからさ。」
「ああ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
僕はそう言って自室に戻った。
みんなも多分親に聞いてるだろうなぁ。多分過去に何かあったんだ。だから秘密にしてるのかな?
なんか期待しちゃってる自分に酔っている感じだ。
それから数日後、ぼくんちは父さんが出張とか言うやつで家を留守にする事になり、母さんと二人きりの留守番となった。
今は母さん食器を洗いながらテレビの音を聞いている。
どうやらお気に入りの番組がやってるようで、時々振り返ってテレビを見たりしていた。
明日は土曜日だ。
という事は誰かのうちに泊まりに行けるかもと言うこと。
最悪ぼくんちでもよかったけど、僕の部屋5人で寝るにはちょっと狭いんだよね~。
グループラインで話し合ったけど、行く場所に最も近い家に泊まったら?と言う事になったので、ぼくんちになった。だから母さんにすぐ聞いたらいいよと言ってくれたのでみんなにラインする。
寝る部屋は狭いよとラインすると雑魚寝すればいいじゃん。修学旅行みたいで楽しそうじゃん。なんて言うからぼくもちょっとだけ楽しみになった。
土曜の昼みんながぼくんちにやって来る事がわかっていたので部屋の大掃除をしたんだ。ほんと大変だったよ。
とは言うものの知らないことが多過ぎたので前日の夕方に僕の部屋で作戦会議を開いた。
勿論母さんには聞こえないように小声でだけどね。
皆が親に聞いた情報を整理すると、あの場所は昔何かあったらしいが、昔過ぎて詳しいことを知るものは年寄りくらいしかいないという事。でもみな口が固く情報がないと言ってもいいくらいという事。
「じゃあさ、行くまでの間に図書館で調べてみよう。」と言う話になって図書館の昔の新聞を探してみる事にした。
普段はこない階の棚にぎっしりと入っていて調べるのが大変そうだと皆凹みそうになったが、頑張って探す事にした。
閉まる前に調べる事が多過ぎたのでドアが開くと同時に走って向かってからはや3時間…。新聞は本のように閉じられて年代ごとに並べられていたからパソコンである程度を絞って検索をかけるとそれらしき内容が書かれた怖い文章が目に飛び込んできた。
すぐ新聞の記事をみんなで読んだ。
森…ハイキングに入った家族連れが遭難した。
そこで警察に一報が入った。
当初は家族ということからまとまっていてすぐに見つかるものとばかり考えられていたが、1日経っても2日経っても見つかることはなく、警察も焦り出していた。
そんな時、子供の片方の靴が見つかった。
すぐに本人のものか親族に確認を取ったが、本人のものかは確認が取れなかった。
そこで記事は一旦終わっていた。
その記事があると言うことはしばらく続くと思い、ページをめくって行くと途中で止まってしまっていた。どうやら捜索しても見つからない為、打ち切りとなってしまったようだ。
何故?と思ったが、仕方がない。当時の捜査では限界があったからだ。今からちょうど50年前の事だ。
僕らはまだ生まれてもいない。分からないはずだ。
チームになって森の中の捜索に当たっていた4人が滑落事故等したらしく、落ちた先に川が流れていたこともあり、その近辺を重点的に捜査したのだが唯一見つかったのは男性の遺体だった。見た感じ捜索願が出されている父親らしき顔をしていたので、身元確認の為年老いた両親に確認を依頼した。
2人は違っていてほしいと願いながらも確認すると間違いなく息子だと分かり泣き崩れる母親の肩を持って父親が部屋から出ていったそうな。
他の家族はと必死になって探したが見つからなかったようだ。
新聞には【残りの3人、生存は絶望的!】との見出しで大きく書かれていた。
それ以降の新聞を見て探しても結果どうなったかは書かれていなかった。
にしても【立ち入り禁止区域】とまでしなくても……と思うのだが、その後何かあったのかもと今度は持ってきた雑誌を広げた。【立ち入り禁止区域に入ってみた。】と言う見出しが目につく。
だけど、閉館のチャイムが鳴ったのでもう図書館での調べ物は無理となった。けどこれ以上の成果はないだろうと考えた僕達は僕の家に向かった。
家に着いた頃になってようやく雨が本降りとなってきて降られなくてよかったなと皆で言い合った。
布団に入りながらみんな集まって作戦会議。
明日は土曜日だ。
昼間は人に見つかる可能性があるから夕方から探索しようと言う事になった。なるべく黒色の服を用意していた僕らは必要なものを手に最終チェックだ。
翌朝、母さんはいつものように朝も早くから動き回っていた。僕らも朝は早めに朝食をみんなで食べて家を出た。
「ちょっと遅くまで遊んでくるよ。」と言ってもそんなに遅くまで探検するつもりはなかった。
目的の場所は家から歩いて10分ぐらいの場所。
看板が目印になっているが、雑草のせいかほとんどが隠れていた。
前もって見つけていた穴場を潜り抜け、中に入るも何の音も聞こえなかった。前の時と一緒だ。何でだろう…。
今日は懐中電灯や灯りになるものを持ってきていたので余裕を持っていた。でもその余裕はすぐに消えてしまう事になるなんて誰も予想できなかった。
まず時間を確認する。
今は…6時半すぎた頃か。
今の時期は明るい時間が長くなってきたのでそんなに灯りは必要ない。
けどなんかおかしい。暗く感じるのだ。
空を見てもまだ明るい。
今いる場所だけが暗いのだ。
なんで?
理由なんかわからない。
ただただ不気味としか言えなかった。
仲間の一人が何もない場所で大きく転んだ。
「っ、いて!」
「どうした?」
「どうしたもこうしたもないよ。なんかにけつまずいた。」
その子の足元を見ると何やらこんもりと土が盛り上がっていた。ただそれだけなのに悪寒が走った。
懐中電灯の灯りを皆で灯したら何か突起物のようなものが土の中から飛び出ていた。
何だ?
仲間の一人が確かめようとしたら動いた気がした。何って?その突起物がだよ。
怖くなった一人が怯えて下がるも何かにぶち当たる。
ここは何もない森の中。たとえ木が生えていたってこんな変な感触の木なんて知らないよ。
恐る恐るそいつは後ろを振り向こうとした時、他の子が叫んだ。「振り向くな!!」って。
意味がわからないと言う顔をしながら振り返ってしまった子はその場で固まった。まるで人形のように動かないままでいた。
そこにいたのは真っ青な顔をした女性だった。
ボソボソと声を出してはいるが、全く聞き取ることはできずにいた。
ようやく動けるようになったのにその子はその場でくずおれてしまった。意識をなくしたようだ。
怖くなった僕らは散り散りに逃げ出す事に…。
その子のことを考える余裕などなかった。
でもどんだけ逃げても追いかけてくる。
一体何がどうなった?
固まって走っていた子達もどうやらバラバラになったようだ。
ここは携帯の圏外。
繋がらない場所なのだから友達と連絡の取りようがなかった。
どうにかこうにかして森から抜け出ることができたのは3人だけだった。どうしよう…。あと2人が見つからない。焦る僕達。でも時間だけが過ぎて行く。このままじゃダメだ。2人を探そう。
そうなってから再度森に行こうとしたが抜け穴の入り口が見つからない。何で?
さっきまで確かにあったのに…。
どうしよう…。この鉄柵は高い位置にある為僕らでは何ともならないのだ。
そこで考えた。
電波が届くところまで走っていって大人を呼ぶもの、何とかして入口を探すものと2手に分かれる事になったのだ。でも1人で行くのが怖いと言うので仕方がない。僕が向かう事にした。
合図はアラーム音。
各々のやるべきことをやったらアラーム音を大音量で鳴らす事になった。これで何とかなりそうだ。
必死になって走った。
そして何とか電波が届くところについた僕は110番に連絡した。怒られることはわかっているから取り敢えず伝えるべきことを最優先に話す。
電話に出た警察の人は半信半疑?だったけどパトカーを出してくれる事になった。
僕はパトカーが見える場所の森の入り口まで出てきた。
時間が過ぎるのが遅く感じたが、残ってる子達のことの方が心配だった。
15分経った頃パトカーが2台やってきた。
僕はすぐに近寄っていって電話で説明したことをもう一度説明した。
そして残っている友達2人がいる場所に案内した。
もうすぐ、もうすぐだって思ったんだけどなんか変だ。そこには誰もいない。まさか…何かあったのか?不安で頭いっぱいになった。
警察官の人4人と僕の合わせて5人があたりを捜索する。そうだ、アラームだ!と思った僕は大容量のアラームを流した。そしたら少し離れた場所でアラームが鳴っているではないか。
すぐみんなでそこに駆けつけたよ。
そしたらそこに2人倒れているじゃないか。
じゃあ、誰が鳴らしたの?
皆お互いの顔を見比べるも言葉が出なかった。
何度かゆすって何とか起こしたけど、何があったのかは覚えてはいなかった。
だけど残りのいなくなった2人のことはとても気になる為例の場所を探す事にした。そう、穴が開いていた場所のことだ。今はもう穴がない。
だから中に入ってしまった2人の安否が気になるので警察官に何とかならないかと尋ねた。
レシーバーで本部と連絡を取り、持ち主との連絡が取れ今から中に入る事になった。まっすぐ歩いていくも変わったところは何もない。
しばらくして友達の1人が何か落ちているのに気がついた。
それはいなくなった友達が持っていた懐中電灯と、お財布だった。名前が書かれてあるから間違いない。
「おーーい!いないかい?」
その時頭の上から何かが落ちてきた。それは行方不明の子の片方の靴だった。
上を見上げた時それはあった。
そう、いなくなった子が高い場所の木の上の枝の場所に挟まっていたのだ。意識はなく、警官2人が別の木からアクションして近づいたが、頭部からの出血が多く、首元の脈を探したが、反応はなかった。そう、死んでいたのだ。
僕ら子供はびっくりして怯えた。
まさか……こんな事になるなんて…。残りの1人は大丈夫か?
心配でじっとしてはいられなかった。でも僕らでは何もできることはない。
警官に守られながら捜索を続けた。
目につく場所を徹底的に探す。
見つからない場所はないか?隠れられる場所はどこかと必死になって探したよ。
警察官のおじさんが言った。
「そもそも何でこんな場所に入ったんだ?立ち入り禁止区域と看板が立っていたはずなんだがね。」
「すみません。僕らはただ探検がしたくて…冒険がしたくて入ったんだ。けど、けど、こんな事になるなんて…。」
泣きながら喋る友達。僕は真っ青な顔をしたまま喋ることができずにいた。だってこの場所を見つけたのは僕だから…。僕らはここにきちゃダメだったんだ。
だいぶ森の中まで入ってきたんだけど、一向に見つからない。
大規模な捜索が必要か?と思われた時遠くに何か見えた気がした。
携帯の明かり、懐中電灯の灯りを照らすと何か土から出てた…。何だ?何だ?と思いながらゆっくり近づくとそれは現れた。それはもう1人の友達だった。
地面に身体がすっぽり入ってしまって頭だけ出てる…。
頭からは血を流し、白目をむいていた。
怖くなって僕らは近づくことはできずにいたが、警察官のおじさんが見てくれた。
だけど、大人が見ても見るに堪えないもので、気持ちが悪いと言っていた。
その時今まで吹いてなかった風が吹いて誰かの囁き声が聞こえた気がした。
【子供達はどこ?あの人はどこ?】
足首だけが見えたそれを見た皆は恐怖に駆られ一目散で逃げ出した。
警察官のおじさんもダメなんてどう言う事?
全然ダメじゃん。
でもあの顔を見た瞬間、もう生きてないなって思った。
それからは大変だった。
日を改めて翌日にその現場に戻ったら死体は変な格好で固まっていた。
誰も触っていないのにである。
不気味に思い、警察では緘口令が敷かれた。
大人たちもそう。
そして新しく立ち入り禁止区域から市の管轄の区域になり、鉄柵も新しく頑丈になり中を覗く事も不可能となった。
自治会の回覧で回ってきて、大人達から絶対に行くなと言われ看板が立ってる場所には近づくことをやめた。
亡くなった友達にはどうしたらいいのかわからず、親と相談してお参りに行った。でも、玄関で追い返された。
「あんた達ちのせいよ。あんなところに行くからうちの子は…うちの子は…。」と母親が泣いているのでそのまま帰る事にした。
もう1人の子も同じだった。
仲の良かったはずの他の2人も怯えて自室に篭るようになったと人づてで聞いた。何もかもが変わってしまった。
時々思うんだ。
あの場にはもしかして行方不明になった親子が埋まってるんじゃないかって。
これは僕の予想であって誰かに聞いたり話したりしたわけじゃない。もう怖い目に会うのは嫌なんだ。だから黙ってる事にしたんだ。
5人も集まれば賑やかになる。
それはいいんだけど、ここは大人達が言っていた場所。
そう、【立ち入り禁止区域】。
なんでなのかは知らないや。
だから探検することにしたんだ。
だってダメだって言われたら余計に知りたくなるじゃん。
でね?
用事がない日に集まって探検スタートしたんだ。
見た感じ、立ち入り禁止区域の看板の後ろ側鉄線の柵がずっと続いている。
それだけでほんとに入ったらダメなんだとわかる。
でも僕らはそんな事では諦める事なく何処からか入れる場所はないかと探したんだ。
30分位探しただろうか?ほつれた鉄線がある場所が1ヶ所あったので、皆が入れるかどうかを検証してみる事にした。
幸いな事に僕らは小さいから余裕で入ることが出来た。
ガッツポーズをしながら一人づつ中に入って行ったよ。
鳥の鳴き声も虫の鳴き声も聞こえなかった。
なんで?
今は夏だから虫の鳴き声とか聞こえてもおかしくないはず…。なのに真っ暗闇の中何も音が聞こえてこないって…どうして?
枯れ枝とか枯れ草を踏む足跡だけが闇夜に響き渡り不気味さが増す。
仲間の一人が携帯の時間を確認した。
時間は夜の8時半。
大人達が帰ってきてもおかしくない時間だ。そんな時間にどこほっつき回ってたのか問い詰められるのが面倒だったので今日はここでお開きとした。
勿論開いていた場所から出てったよ。
次来るのがいつになるのかワクワクしながら想像してただけで嬉しくなっていた。
次の日の集まりでは大したことはなかったけれど、いつあの場所に行くのかを話し合う事になっている。
あの場所に行くのは皆怖くはないと言うが、あの場所…立ち入り禁止区域って何があったんだろうか?
わからなかった。
数日間は何事もなく過ぎていった。
それでも頭の片隅に残っていた。
親なら何か聞いたことあるかも知れない。そう考えた僕は改まって両親に聞いてみる事にした。
そしたらさ、母さんは知らないと言ったけど父さんは黙って目を瞑っている。もしかして何か知ってるのかまた期待して黙って喋ってくれるのを待ってたんだけど、父さんが聞いてきた。
「何でそこのことが知りたいんだ?そこには何もないぞ?」
「う~ん、そうなんだけどさ、荒れ放題のあの場所にアレがあるってことは何かあるかなって思ったんだ。別に大したことじゃないよ?」
「ならもう忘れなさい。お前には関係ないことだからな。」
「はーい。じゃあ僕もう寝るね?朝起きられなくなっちゃうからさ。」
「ああ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
僕はそう言って自室に戻った。
みんなも多分親に聞いてるだろうなぁ。多分過去に何かあったんだ。だから秘密にしてるのかな?
なんか期待しちゃってる自分に酔っている感じだ。
それから数日後、ぼくんちは父さんが出張とか言うやつで家を留守にする事になり、母さんと二人きりの留守番となった。
今は母さん食器を洗いながらテレビの音を聞いている。
どうやらお気に入りの番組がやってるようで、時々振り返ってテレビを見たりしていた。
明日は土曜日だ。
という事は誰かのうちに泊まりに行けるかもと言うこと。
最悪ぼくんちでもよかったけど、僕の部屋5人で寝るにはちょっと狭いんだよね~。
グループラインで話し合ったけど、行く場所に最も近い家に泊まったら?と言う事になったので、ぼくんちになった。だから母さんにすぐ聞いたらいいよと言ってくれたのでみんなにラインする。
寝る部屋は狭いよとラインすると雑魚寝すればいいじゃん。修学旅行みたいで楽しそうじゃん。なんて言うからぼくもちょっとだけ楽しみになった。
土曜の昼みんながぼくんちにやって来る事がわかっていたので部屋の大掃除をしたんだ。ほんと大変だったよ。
とは言うものの知らないことが多過ぎたので前日の夕方に僕の部屋で作戦会議を開いた。
勿論母さんには聞こえないように小声でだけどね。
皆が親に聞いた情報を整理すると、あの場所は昔何かあったらしいが、昔過ぎて詳しいことを知るものは年寄りくらいしかいないという事。でもみな口が固く情報がないと言ってもいいくらいという事。
「じゃあさ、行くまでの間に図書館で調べてみよう。」と言う話になって図書館の昔の新聞を探してみる事にした。
普段はこない階の棚にぎっしりと入っていて調べるのが大変そうだと皆凹みそうになったが、頑張って探す事にした。
閉まる前に調べる事が多過ぎたのでドアが開くと同時に走って向かってからはや3時間…。新聞は本のように閉じられて年代ごとに並べられていたからパソコンである程度を絞って検索をかけるとそれらしき内容が書かれた怖い文章が目に飛び込んできた。
すぐ新聞の記事をみんなで読んだ。
森…ハイキングに入った家族連れが遭難した。
そこで警察に一報が入った。
当初は家族ということからまとまっていてすぐに見つかるものとばかり考えられていたが、1日経っても2日経っても見つかることはなく、警察も焦り出していた。
そんな時、子供の片方の靴が見つかった。
すぐに本人のものか親族に確認を取ったが、本人のものかは確認が取れなかった。
そこで記事は一旦終わっていた。
その記事があると言うことはしばらく続くと思い、ページをめくって行くと途中で止まってしまっていた。どうやら捜索しても見つからない為、打ち切りとなってしまったようだ。
何故?と思ったが、仕方がない。当時の捜査では限界があったからだ。今からちょうど50年前の事だ。
僕らはまだ生まれてもいない。分からないはずだ。
チームになって森の中の捜索に当たっていた4人が滑落事故等したらしく、落ちた先に川が流れていたこともあり、その近辺を重点的に捜査したのだが唯一見つかったのは男性の遺体だった。見た感じ捜索願が出されている父親らしき顔をしていたので、身元確認の為年老いた両親に確認を依頼した。
2人は違っていてほしいと願いながらも確認すると間違いなく息子だと分かり泣き崩れる母親の肩を持って父親が部屋から出ていったそうな。
他の家族はと必死になって探したが見つからなかったようだ。
新聞には【残りの3人、生存は絶望的!】との見出しで大きく書かれていた。
それ以降の新聞を見て探しても結果どうなったかは書かれていなかった。
にしても【立ち入り禁止区域】とまでしなくても……と思うのだが、その後何かあったのかもと今度は持ってきた雑誌を広げた。【立ち入り禁止区域に入ってみた。】と言う見出しが目につく。
だけど、閉館のチャイムが鳴ったのでもう図書館での調べ物は無理となった。けどこれ以上の成果はないだろうと考えた僕達は僕の家に向かった。
家に着いた頃になってようやく雨が本降りとなってきて降られなくてよかったなと皆で言い合った。
布団に入りながらみんな集まって作戦会議。
明日は土曜日だ。
昼間は人に見つかる可能性があるから夕方から探索しようと言う事になった。なるべく黒色の服を用意していた僕らは必要なものを手に最終チェックだ。
翌朝、母さんはいつものように朝も早くから動き回っていた。僕らも朝は早めに朝食をみんなで食べて家を出た。
「ちょっと遅くまで遊んでくるよ。」と言ってもそんなに遅くまで探検するつもりはなかった。
目的の場所は家から歩いて10分ぐらいの場所。
看板が目印になっているが、雑草のせいかほとんどが隠れていた。
前もって見つけていた穴場を潜り抜け、中に入るも何の音も聞こえなかった。前の時と一緒だ。何でだろう…。
今日は懐中電灯や灯りになるものを持ってきていたので余裕を持っていた。でもその余裕はすぐに消えてしまう事になるなんて誰も予想できなかった。
まず時間を確認する。
今は…6時半すぎた頃か。
今の時期は明るい時間が長くなってきたのでそんなに灯りは必要ない。
けどなんかおかしい。暗く感じるのだ。
空を見てもまだ明るい。
今いる場所だけが暗いのだ。
なんで?
理由なんかわからない。
ただただ不気味としか言えなかった。
仲間の一人が何もない場所で大きく転んだ。
「っ、いて!」
「どうした?」
「どうしたもこうしたもないよ。なんかにけつまずいた。」
その子の足元を見ると何やらこんもりと土が盛り上がっていた。ただそれだけなのに悪寒が走った。
懐中電灯の灯りを皆で灯したら何か突起物のようなものが土の中から飛び出ていた。
何だ?
仲間の一人が確かめようとしたら動いた気がした。何って?その突起物がだよ。
怖くなった一人が怯えて下がるも何かにぶち当たる。
ここは何もない森の中。たとえ木が生えていたってこんな変な感触の木なんて知らないよ。
恐る恐るそいつは後ろを振り向こうとした時、他の子が叫んだ。「振り向くな!!」って。
意味がわからないと言う顔をしながら振り返ってしまった子はその場で固まった。まるで人形のように動かないままでいた。
そこにいたのは真っ青な顔をした女性だった。
ボソボソと声を出してはいるが、全く聞き取ることはできずにいた。
ようやく動けるようになったのにその子はその場でくずおれてしまった。意識をなくしたようだ。
怖くなった僕らは散り散りに逃げ出す事に…。
その子のことを考える余裕などなかった。
でもどんだけ逃げても追いかけてくる。
一体何がどうなった?
固まって走っていた子達もどうやらバラバラになったようだ。
ここは携帯の圏外。
繋がらない場所なのだから友達と連絡の取りようがなかった。
どうにかこうにかして森から抜け出ることができたのは3人だけだった。どうしよう…。あと2人が見つからない。焦る僕達。でも時間だけが過ぎて行く。このままじゃダメだ。2人を探そう。
そうなってから再度森に行こうとしたが抜け穴の入り口が見つからない。何で?
さっきまで確かにあったのに…。
どうしよう…。この鉄柵は高い位置にある為僕らでは何ともならないのだ。
そこで考えた。
電波が届くところまで走っていって大人を呼ぶもの、何とかして入口を探すものと2手に分かれる事になったのだ。でも1人で行くのが怖いと言うので仕方がない。僕が向かう事にした。
合図はアラーム音。
各々のやるべきことをやったらアラーム音を大音量で鳴らす事になった。これで何とかなりそうだ。
必死になって走った。
そして何とか電波が届くところについた僕は110番に連絡した。怒られることはわかっているから取り敢えず伝えるべきことを最優先に話す。
電話に出た警察の人は半信半疑?だったけどパトカーを出してくれる事になった。
僕はパトカーが見える場所の森の入り口まで出てきた。
時間が過ぎるのが遅く感じたが、残ってる子達のことの方が心配だった。
15分経った頃パトカーが2台やってきた。
僕はすぐに近寄っていって電話で説明したことをもう一度説明した。
そして残っている友達2人がいる場所に案内した。
もうすぐ、もうすぐだって思ったんだけどなんか変だ。そこには誰もいない。まさか…何かあったのか?不安で頭いっぱいになった。
警察官の人4人と僕の合わせて5人があたりを捜索する。そうだ、アラームだ!と思った僕は大容量のアラームを流した。そしたら少し離れた場所でアラームが鳴っているではないか。
すぐみんなでそこに駆けつけたよ。
そしたらそこに2人倒れているじゃないか。
じゃあ、誰が鳴らしたの?
皆お互いの顔を見比べるも言葉が出なかった。
何度かゆすって何とか起こしたけど、何があったのかは覚えてはいなかった。
だけど残りのいなくなった2人のことはとても気になる為例の場所を探す事にした。そう、穴が開いていた場所のことだ。今はもう穴がない。
だから中に入ってしまった2人の安否が気になるので警察官に何とかならないかと尋ねた。
レシーバーで本部と連絡を取り、持ち主との連絡が取れ今から中に入る事になった。まっすぐ歩いていくも変わったところは何もない。
しばらくして友達の1人が何か落ちているのに気がついた。
それはいなくなった友達が持っていた懐中電灯と、お財布だった。名前が書かれてあるから間違いない。
「おーーい!いないかい?」
その時頭の上から何かが落ちてきた。それは行方不明の子の片方の靴だった。
上を見上げた時それはあった。
そう、いなくなった子が高い場所の木の上の枝の場所に挟まっていたのだ。意識はなく、警官2人が別の木からアクションして近づいたが、頭部からの出血が多く、首元の脈を探したが、反応はなかった。そう、死んでいたのだ。
僕ら子供はびっくりして怯えた。
まさか……こんな事になるなんて…。残りの1人は大丈夫か?
心配でじっとしてはいられなかった。でも僕らでは何もできることはない。
警官に守られながら捜索を続けた。
目につく場所を徹底的に探す。
見つからない場所はないか?隠れられる場所はどこかと必死になって探したよ。
警察官のおじさんが言った。
「そもそも何でこんな場所に入ったんだ?立ち入り禁止区域と看板が立っていたはずなんだがね。」
「すみません。僕らはただ探検がしたくて…冒険がしたくて入ったんだ。けど、けど、こんな事になるなんて…。」
泣きながら喋る友達。僕は真っ青な顔をしたまま喋ることができずにいた。だってこの場所を見つけたのは僕だから…。僕らはここにきちゃダメだったんだ。
だいぶ森の中まで入ってきたんだけど、一向に見つからない。
大規模な捜索が必要か?と思われた時遠くに何か見えた気がした。
携帯の明かり、懐中電灯の灯りを照らすと何か土から出てた…。何だ?何だ?と思いながらゆっくり近づくとそれは現れた。それはもう1人の友達だった。
地面に身体がすっぽり入ってしまって頭だけ出てる…。
頭からは血を流し、白目をむいていた。
怖くなって僕らは近づくことはできずにいたが、警察官のおじさんが見てくれた。
だけど、大人が見ても見るに堪えないもので、気持ちが悪いと言っていた。
その時今まで吹いてなかった風が吹いて誰かの囁き声が聞こえた気がした。
【子供達はどこ?あの人はどこ?】
足首だけが見えたそれを見た皆は恐怖に駆られ一目散で逃げ出した。
警察官のおじさんもダメなんてどう言う事?
全然ダメじゃん。
でもあの顔を見た瞬間、もう生きてないなって思った。
それからは大変だった。
日を改めて翌日にその現場に戻ったら死体は変な格好で固まっていた。
誰も触っていないのにである。
不気味に思い、警察では緘口令が敷かれた。
大人たちもそう。
そして新しく立ち入り禁止区域から市の管轄の区域になり、鉄柵も新しく頑丈になり中を覗く事も不可能となった。
自治会の回覧で回ってきて、大人達から絶対に行くなと言われ看板が立ってる場所には近づくことをやめた。
亡くなった友達にはどうしたらいいのかわからず、親と相談してお参りに行った。でも、玄関で追い返された。
「あんた達ちのせいよ。あんなところに行くからうちの子は…うちの子は…。」と母親が泣いているのでそのまま帰る事にした。
もう1人の子も同じだった。
仲の良かったはずの他の2人も怯えて自室に篭るようになったと人づてで聞いた。何もかもが変わってしまった。
時々思うんだ。
あの場にはもしかして行方不明になった親子が埋まってるんじゃないかって。
これは僕の予想であって誰かに聞いたり話したりしたわけじゃない。もう怖い目に会うのは嫌なんだ。だから黙ってる事にしたんだ。
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