狙われたその瞳

神名代洸

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シュナイダー達は銃撃の中をくぐり抜け、部屋の奥へと入り込む。
そうなるともう肉弾戦だ。
SPとしての経験がものをいう。
仲間も皆それぞれが敵を排除しにかかる。
ドスッ!ボコっと音を立てて敵は次々と倒れていく。
逃げた奴は…1人いた。
シュナイダーはすぐに追いかけた。
仲間の制止を振り切って。
だがそいつは足をもつれさせその場に転んだ。
その背後からシュナイダーは捕まえると羽交い締めにした。

「うわっ!いてー!離せ!離しやがれ!!」
「そんなに簡単に離すバカはいないだろう。お前らの目的はなんだ?何故女を狙う。」
「ハァ?オンナ?何のことだ?」
「とぼける気か?まぁいい。時間はたーっぷりあるからな。」

シュナイダーはこめかみをピクピクさせながら男の両手を手近な紐で縛り上げた。
「っちくしょう!ほどきやがれ!!」
「そうして欲しければ言え!なぜ彼女を狙う。何が狙いだ!」
「へっ!言うかよ。ってててて!いってー!」
「話す気になったか?まだだって言うならこうしてやる。」
そう言って手を捻り上げた。あまりの痛みに男は悲鳴をあげた。
「やめろーー!グワッ!?」
「どうだ?まだか…。なら…。」
「分かった。言う。言うからやめてくれ。」
「で?」


男が話し始めた。
ある女を連れて来いと言われたらしい。相手は黒服の男。顔はマスクとメガネをかけていた為分からないらしい。黒服の男は一人で男の元にやってきたようで、手付けに300万、成功したらもう200万もらえると聞いて男の仲間はのることにしたという。
だがまさかこんなことになるとは思っていなかったようで、項垂れていた。

「どうしますか?こいつら。」
「勿論警察に通報する。叩けば埃が出てくるかもな。」

「それはやめてくれ。頼む。黒服の男に知れたら俺らは消される。」
「それは警察の仕事だ。守ってもらうんだな。」

男達は皆ガックリと肩を落として床に座っていた。
シュナイダーは男達が言っていた黒服の男について気になっていたので、こいつらを泳がせることも考えたが、こいつらがポロリと口を滑らせる可能性も捨てきれない為、自身がそいつらの末端の仲間と思わせて接触を図ろうと試みることにした。仲間は【これはもうS Pの限度を超えている】と言ったが、最後まで決着をつけたいと仲間に告げた。
皆シュナイダーがリジーの事をそこまで思っているとは思っていなかったので、彼女以外説得は無理だろうとよんだ。

イヴァンの携帯に連絡を入れる。
組織は壊滅したと…。ただ謎の男が一人浮かんできた。そこでシュナイダーが一人でも潜入捜査をするという危ない橋を渡らせない為、説得できるであろうリジーを携帯に出してもらうよう頼んだ。

「すみませんが止めてもらえませんか?これ以上は本筋の刑事の仕事です。私達には権限がありません。お願いできませんか?」
「分かりました。皆さんの言うことは最もです。シュナイダーに変わっていただけませんか?」
「はい。では変わりますね。よろしくお願いします。」


「シュナイダー?私、リジーよ。」
「どうしたんだい?何かあったのか?」
「いいえ、何もないわ。でも貴方のお仲間さん達から聞いたわ。一人でも乗り込むつもりだって。危ないわ。他の刑事さんに任せて引き上げて?お願い。」
「いや、黒服の男の情報があったんだ。そいつが何処の誰かを調べないと。」
「それは警察の仕事よ。警察に任せましょう。きっとすぐに見つけてくれるわ。」
「あと少しなんだよ?あと少しでしっぽがつかめるかもしれないんだ。」
「でもシュナイダー、貴方手錠とか持ってるの?」
「いや、それは…。」
「ならやめて!警察の方にお願いしましょう。危なすぎるのは嫌。貴方にもしものことがあったら私は自分が許せないわ。ねぇ、お願い。」
「あ、ああ、分かったよ。なら警察が来るまで待つよ。不安にさせてすまない。」
「いいえ、いいのよ。もともと私が原因なんだから。」

リジーはシュナイダーが戻ってくるまで心配でならなかったが、警官とともに戻ってきた姿を見て安心していた。シュナイダーの元まで走っていったのだ。そこにはもちろん警護の人間はいたが、少し離れたところに立っていた為反応が遅れた。



猛スピードで走る車が一台、リジーの元へと突っ込んできたのだ。皆散り散りになった為、リジーのそばには誰もいなかった。
ただ一人シュナイダーを除いては…。
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