20 / 22
声の主
しおりを挟む
あの時の声のことが頭の隅をよぎり、私は何度も呼びかけてみたが返事はなかった。
なんだったのだろう?
でも、そのお陰で力をフルに使うことができたのは事実。感謝こそすれ何故出てこなかったのかと不満に思うことはなかった。きっと何か事情があったに違いないからだ。
いつか会う時が来れば会うだろう……そう、一種の予感めいたものを感じていた。
そのチャンスが巡ってくるのは以外と速かった。
復興に向かい続ける町並みを見ながら私はずっと考えていた。あの声の主は一体誰だったんだろうと…。
頭の中に直接届いてきた…と言うより中にあったものといったほうが正解かもしれない。
もしかしたら私の中にいた愛想のないやつかもと思ったらガックリとしてしまった。
『ねぇ~、もしかして私の中にいる人?返事をして。声が聞こえてるでしょ?』
私は何度も念じたが何も返答はなかった。
『案外照れ屋さんなのかもね~。』と思ったら瞬時に『違うわ。』なんて初めて帰ってきた返事にびっくり。
『じゃあ誰?』
『言う必要はない。』
『つまんない…。』『なら放っておけ』『ばいいんだろうけどね~気になっちゃって。てへ。』『俺には関係ない。』
『俺って事は男かぁ~。』『……。』
『何で黙っちゃうの?』『……。』
『ならいいわ。勝手に考えるから。うーんと、あなたは男でなぜか私に関係がある人なのよね。で、詳しいことはなーんにも教えてくれない。……わかったぁ~。守護霊とかなんとか?』『アホか、なんでそうなる。もっと別のものとか考えたことはないのか?』
『分かんなーい。あっ、前世…とか?まさかね。』『ようやくわかったか。アホが。』
『アホアホ言うな!!まぁ、当たってなくはないけど…。で、なんでその前世の人が出てくるわけ?生まれ変わってるはずでしょ?』
『まぁ、確かに生まれ変わってるがな。意識の底では繋がってるのだ。』
「よくわかんないけど…転生しても根っこは繋がってるってこと?」
『あたりだ。』
私は知らず知らずのうちに頭で考えていたことを口に出して言っていたらしい。周りにいた人が不思議そうに私を見ていた。
歩きだした私は家族の元に戻りながら独り言を言い続けた。
そして家族の元に着いた時には落ち着きを取り戻していた。
さっきの体験のことは家族には話さない方がいいと思い話すのをやめた。家族をこれ以上混乱させたくなかったからだ。
ただでさえ不思議な力を持つ娘が前世に関係するものと会話できるなんてふざけた事言えるわけがない。とても信じてもらえるなんて思わない。
高藤瑠璃や真壁咲夜にでさえ話してないのだ。おかしくなったと思われたくもない。
だから一人になる場所を探しあちこち歩いた。そして小高い場所を見つけ目をつむり内なるものに対話を始めた。
『ねぇ~、あなた名前はなんていうの?どう呼んだらいいかわからないわ。』
『………。』
『まただんまり?ならいいわ勝手に名前つけちゃうから。えっとね、愛想がないから可愛くタマにしようか。』『ふざけるな。私にはちゃんとした名がある。』『じゃあ教えてよ。』『それは無理だ。お前自身で思い出さないといけない。それが無理なら名無しとでも呼べ。』『えー!そんなのつまんない。』
頬を膨らませて顔を真っ赤にした私は一生懸命考えたが何も思い浮かばず結局《名無し》で落ち着くことになった。
なんだったのだろう?
でも、そのお陰で力をフルに使うことができたのは事実。感謝こそすれ何故出てこなかったのかと不満に思うことはなかった。きっと何か事情があったに違いないからだ。
いつか会う時が来れば会うだろう……そう、一種の予感めいたものを感じていた。
そのチャンスが巡ってくるのは以外と速かった。
復興に向かい続ける町並みを見ながら私はずっと考えていた。あの声の主は一体誰だったんだろうと…。
頭の中に直接届いてきた…と言うより中にあったものといったほうが正解かもしれない。
もしかしたら私の中にいた愛想のないやつかもと思ったらガックリとしてしまった。
『ねぇ~、もしかして私の中にいる人?返事をして。声が聞こえてるでしょ?』
私は何度も念じたが何も返答はなかった。
『案外照れ屋さんなのかもね~。』と思ったら瞬時に『違うわ。』なんて初めて帰ってきた返事にびっくり。
『じゃあ誰?』
『言う必要はない。』
『つまんない…。』『なら放っておけ』『ばいいんだろうけどね~気になっちゃって。てへ。』『俺には関係ない。』
『俺って事は男かぁ~。』『……。』
『何で黙っちゃうの?』『……。』
『ならいいわ。勝手に考えるから。うーんと、あなたは男でなぜか私に関係がある人なのよね。で、詳しいことはなーんにも教えてくれない。……わかったぁ~。守護霊とかなんとか?』『アホか、なんでそうなる。もっと別のものとか考えたことはないのか?』
『分かんなーい。あっ、前世…とか?まさかね。』『ようやくわかったか。アホが。』
『アホアホ言うな!!まぁ、当たってなくはないけど…。で、なんでその前世の人が出てくるわけ?生まれ変わってるはずでしょ?』
『まぁ、確かに生まれ変わってるがな。意識の底では繋がってるのだ。』
「よくわかんないけど…転生しても根っこは繋がってるってこと?」
『あたりだ。』
私は知らず知らずのうちに頭で考えていたことを口に出して言っていたらしい。周りにいた人が不思議そうに私を見ていた。
歩きだした私は家族の元に戻りながら独り言を言い続けた。
そして家族の元に着いた時には落ち着きを取り戻していた。
さっきの体験のことは家族には話さない方がいいと思い話すのをやめた。家族をこれ以上混乱させたくなかったからだ。
ただでさえ不思議な力を持つ娘が前世に関係するものと会話できるなんてふざけた事言えるわけがない。とても信じてもらえるなんて思わない。
高藤瑠璃や真壁咲夜にでさえ話してないのだ。おかしくなったと思われたくもない。
だから一人になる場所を探しあちこち歩いた。そして小高い場所を見つけ目をつむり内なるものに対話を始めた。
『ねぇ~、あなた名前はなんていうの?どう呼んだらいいかわからないわ。』
『………。』
『まただんまり?ならいいわ勝手に名前つけちゃうから。えっとね、愛想がないから可愛くタマにしようか。』『ふざけるな。私にはちゃんとした名がある。』『じゃあ教えてよ。』『それは無理だ。お前自身で思い出さないといけない。それが無理なら名無しとでも呼べ。』『えー!そんなのつまんない。』
頬を膨らませて顔を真っ赤にした私は一生懸命考えたが何も思い浮かばず結局《名無し》で落ち着くことになった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
Cursed Heroes
コータ
ファンタジー
高校一年生の圭太は、たまにバイトに行くだけで勉強も部活もやらず一つのゲームにハマっていた。
ゲームの名前はCursed Heroes。リアルな3Dキャラクターを操作してモンスター達を倒すことにはまっていた時、アプリから一通のお知らせが届く。
「現実世界へのアップデートを開始しました!」
意味が解らないお知らせに困惑する圭太だったが、アプリ内で戦っていたモンスター達が現実の世界にも出現しなぜか命を狙われてしまう。そんな中彼を救ってくれたのは、ゲーム世界で憧れていた女ゲーマー『ルカ』だった。
突如始まってしまったリアルイベントに強引に巻き込まれ、自身も戦う羽目になってしまった圭太は、やがてゲーム内で使っていたキャラクター「アーチャー」となり、向かってくるモンスター達を倒す力を身につけていく。
彼はルカに振り回されながらも、徐々に惹かれていくが……。
学校通ってバイトに行って、ゲームをしつつモンスター退治、それとちょっとだけ恋をするかもしれない日常。圭太の不思議な新生活が始まった。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
エクリプス 〜瑪瑙の章〜
亜夏羽
ファンタジー
某西暦X年、春。
私立妖華軍化学高校(あやはな軍化学高校)に入学した新入生の瑪瑙 紅華は入学早々、様々な出来事に巻き込まれる。
国と国との戦争・冷戦や揉め事、親友や新たな仲間、能力の開花・覚醒、
大事な"あの人"との関係も明らかに?!
国同士のぶつかり合いが今、始まる……!
これは、たった1人の少女が国を背負って闘う、学園ファンタジー物語。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる