すべてのはじまり

神名代洸

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始まった災害

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私が一生懸命に頑張っている頃、世界各地では大きな地震が起きていた。

「なぁ、ヤバくない?どっか逃げようよ。」
「どこかってどこだよ。」
「シェルターは?」
「こんだけの大地震にどれだけ耐えれるかわからんぞ?」
「ならどうしたら……。」
町の住人は皆不安でいっぱいだった。
緊急対策用の無線も壊れていたからだ。
皆不安な顔をしながらとりあえずはシェルターへと向かって歩き出した。

私たち家族は高藤瑠璃の保護が不安になり自分達で避難先を探すことになった。でも、私はこの行動が良かったのかはわからないと思った。どちらにせよまた戻るつもりではいた。

途中すれ違う人が何人もいたが、シェルターがどうなっているかは誰もわからないと言っていた。誰も見に行っていないようだ。
ならばと自分達でそこに向かうことにした。

途中町に寄ってみたが、瓦礫と化した建物の姿に誰1人何も言えずにいた。それほど無残な残骸とかしていたのだ。
泣き叫ぶ人や、うなだれている人もいた。途方に暮れて立ったままの人もいた。
そんな中を歩いて行く…。

どれくらい歩いただろう…。
頑丈な造りのシェルターが目の前に姿を現した。見た感じどこも壊れていないように感じる。だが、中がどうなってるのかは入って見なければわからない。そこで父がまず入ろうとドアノブに手をかけたが少し動いただけでビクともしなかった。地震の影響で少し歪んでしまってるのかもしれない。何度も何度も繰り返したが結果は同じだった。
「ダメだ。開かない。」
「そんな…。もうここまでか。」
家族がそう思う中で私は諦めてはいなかった。
「なら私が開ける。」
「無理だって。父さんが無理だったんだぞ?」そう言われても引き下がる気にはならなかった。そして少しずつでも動くイメージを描き、両手に力を込めた。
すると今までビクともしなかったドアが開いた。
「お前、マジすごいわ。」
「これで助かる。」
家族皆ホッとしたが、まだ中には入っていない。父を先頭に家族は中に入っていった。そこで見たものとは…崩れた棚。散乱する食料。壊れた机などがあった。
しかし中に人はいなかった。
シーンとしている。
「何で誰もいないんだ?お偉いさんとかいないじゃないか。どうなってるんだ?」

皆不思議だったが無理もない。ここまでくる交通手段が完全に麻痺していたなど誰も知る由も無い。それでも、家族はみんなで部屋の片付けから始めた。幸いにも大した被害はなく、シェルターとしても使えることがわかっただけでも良しとしなければならない。
食料にも当分困ることはない。
でも、自分達だけが助かって他の人達が被災していていいのかと考えてしまう。
「お父さん、ここら辺にいる人達に声を掛けてシェルターに入れたらどう?みんな助かるよ。」
「何を言う。備蓄と言ったって限られてるんだぞ。大勢来られたら私たちの分がなくなってしまうかも知れん。」
「でも…。」「でもでもなんでもいい、無理だ。」
「なら私はでてくわ。他のシェルターを探すの。まだどこかにあるはず。確かここからそう遠くなかったよね。」
部屋を掃除している時に地図があったのだ。バッテンの印がある場所がシェルターに違いないとふんだ私は歩いて向かうことにした。父は止めようと必死だったが、私は父の声を無視して歩いていく…。

どれくらい歩いたのかはわからないが、人々についていくと先ほどよりも大きそうなシェルターが姿を現した。皆中へと入っていく…。私も中に入るとそこはある程度の人数を入れるには大丈夫な大きなシェルターだった。
そこには知った人もいた。

「あっ、いた!」
そう言いながら私の元にかけてくるのは仲の良かった数少ない友人の一人だった。
彼女は家族と一緒にこのシェルターに来ていたのだ。
「ねぇ、家族はいないの?1人?」
言葉に詰まりそうになったが、何とか説明することができた。秘密にしなければならない部分は省いて。
「そっかぁ~、なら安心だね。でもいいの?1人で出てきちゃって…。」
「大丈夫、大丈夫。私なら問題ないよ。ここのシェルターは大きいね。」
「そうだね。ある程度の人数を入れることは可能みたい。でも、そろそろいっぱいになりそう。ここに入れなかった人はまた別のシェルターを探していかないといけない。政府は何してるんだか…。」
「きっと混乱してるんだよ。街のあちこちに被害があるし、道路も寸断されてるみたいだから。」
「何でそんなに詳しいの?」
「あっ、だって別のシェルターから来るときに大変だったんだから。道がなくなってたり、電柱が倒れて通れなかったり…。」
「そっかぁ、じゃあまた別のシェルターに行くの?」
「うん、どうなってるか知りたいしね。」
「じゃあまた会える?」
「うん、会えるよ。じゃあまたね。」
「うん、またね。」
私はこの大きなシェルターを出て別のシェルターを探しに行った。確かこちらの方だった気が…そう思いながら歩いていく。その時、頭の中で声が聞こえた。

《いつまで街を歩いているの?戻ってきて災害を止めなさい。》

「わかってるわ。状況が知りたかったのよ。もう戻るわ。」私はそう独り言を言いながら意識を集中した。建物をイメージし、2人の元へとテレポートした。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
肩で息をしていた。まだ慣れない為、ものすごいエネルギーを消費するのだ。

「さ、続きをやってもらうわ。」
「ええ、やらないと大変なことになってるからやらなきゃ。」
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