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新たな仲間
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青年は真壁咲夜と言った。
本名かどうかはどうでもよかった。ただ手を離して欲しかった。
「離してよ。私を一体どうするつもり?」
「君を連れて行くと仲間たちに話してあるからね。僕についてきてもらうよ。」
「そんな、勝手な。」
「君がしてきた事は確かに人の役には立つ。だが、それは僅かの人数だけだ。僕達ならもっと大勢の命を救えるんだよ。」
「母さんさえ救えなかった私がどうやったら他の人を救えるの?」
「君のお母さんは寿命だったんだ。だから君の力ではどうにもならなかったんだ。それはきっと僕でも同じだろう…。」
「そ、そんな…。」
私は言葉も出なかった。そのままひきづられるようにその場を後にした。父や兄姉を置いて…。みんな気づいていなかった。
私が病院を抜け出したことも…。
私は駐車場に連れて行かれ、車に乗せられた。ここがどこだかわからないのにどこに向かうかなんて分からなかった。ただ、黙って座っているしかなかった。
「おとなしいね。」
「騒いだって誰も気にしてくれませんから。」「なぜそう思うんだい?」
「今この時を生きるのがやっとな人たちにとって些細なこととしか受け取られないでしょうし…。たとえ助けてくれようとしたとしても一般の方々では歯が立たないでしょう。」
「さっきの一瞬で分かったというのかい?だとすれば一刻も早くあのお方に。」
「わたしに合わせたい人、という事ね。ならなぜ出てこないの?町はこんなんだし人々は疲れ切ってる。あなたがたもそうじゃない?おかしいよ。」
私は両拳を足にぶつけた。
真壁は黙ったままだ。本心なのだろう。
そうこうしているうちに車が停まった。
真壁は仲間に指示を出し、警戒を怠らなかった。そして安心が確認できると私を車から連れ出した。
私は彼の後をついて建物内に入った。
豪華な屋敷だった。
そこにいたのは幼い少女で、私よりも小さかった。
「真壁、私が頼んだ娘はこいつか?」
「はい。そうです。」
「チョットあんた年下のくせにこいつ呼ばわりはないでしょう?学校で習わなかった?目上の人を敬えって。」
言われた少女は真っ赤になって小さな声で「すまん。」とだけ言った。
私はよしとしてこの件はこれで終わりにしたが、まだ、本題が残っている。
【何故私が選ばれたのか?何故今になって不思議なことが起こるのか?何故?何故?】
聞きたいことは山ほどあったが、焦らず一つづつ聞いていくことにした。
「どうして私を探したの?どうやって私だと気付いたの?」
「いやはや、そう次々と聞かれてもね。私はお告げを聞いてあなたを探しただけ。貴女は不思議な力が使えることと、前世のこともある。」
ここでも前世が関係しているのかと思わず叫びたかったがグッと堪えた。
「前世がどうして関係するの?てか、そういうの見えるの?」
「ああ、見える。私はそういう力を持っている。」
「そうなんだ…で、話は戻るけど、どうやって私だと気付いたの?」
「君のオーラは特別強い。だから探しやすかった。」
「オーラ?それは目には見えないものなのね。」
「そうだ。普通の人には見えない。」
「あなたはいったい何者ですか?」
「言い忘れてましたね。私は高藤瑠璃。」
本名かどうかはどうでもよかった。ただ手を離して欲しかった。
「離してよ。私を一体どうするつもり?」
「君を連れて行くと仲間たちに話してあるからね。僕についてきてもらうよ。」
「そんな、勝手な。」
「君がしてきた事は確かに人の役には立つ。だが、それは僅かの人数だけだ。僕達ならもっと大勢の命を救えるんだよ。」
「母さんさえ救えなかった私がどうやったら他の人を救えるの?」
「君のお母さんは寿命だったんだ。だから君の力ではどうにもならなかったんだ。それはきっと僕でも同じだろう…。」
「そ、そんな…。」
私は言葉も出なかった。そのままひきづられるようにその場を後にした。父や兄姉を置いて…。みんな気づいていなかった。
私が病院を抜け出したことも…。
私は駐車場に連れて行かれ、車に乗せられた。ここがどこだかわからないのにどこに向かうかなんて分からなかった。ただ、黙って座っているしかなかった。
「おとなしいね。」
「騒いだって誰も気にしてくれませんから。」「なぜそう思うんだい?」
「今この時を生きるのがやっとな人たちにとって些細なこととしか受け取られないでしょうし…。たとえ助けてくれようとしたとしても一般の方々では歯が立たないでしょう。」
「さっきの一瞬で分かったというのかい?だとすれば一刻も早くあのお方に。」
「わたしに合わせたい人、という事ね。ならなぜ出てこないの?町はこんなんだし人々は疲れ切ってる。あなたがたもそうじゃない?おかしいよ。」
私は両拳を足にぶつけた。
真壁は黙ったままだ。本心なのだろう。
そうこうしているうちに車が停まった。
真壁は仲間に指示を出し、警戒を怠らなかった。そして安心が確認できると私を車から連れ出した。
私は彼の後をついて建物内に入った。
豪華な屋敷だった。
そこにいたのは幼い少女で、私よりも小さかった。
「真壁、私が頼んだ娘はこいつか?」
「はい。そうです。」
「チョットあんた年下のくせにこいつ呼ばわりはないでしょう?学校で習わなかった?目上の人を敬えって。」
言われた少女は真っ赤になって小さな声で「すまん。」とだけ言った。
私はよしとしてこの件はこれで終わりにしたが、まだ、本題が残っている。
【何故私が選ばれたのか?何故今になって不思議なことが起こるのか?何故?何故?】
聞きたいことは山ほどあったが、焦らず一つづつ聞いていくことにした。
「どうして私を探したの?どうやって私だと気付いたの?」
「いやはや、そう次々と聞かれてもね。私はお告げを聞いてあなたを探しただけ。貴女は不思議な力が使えることと、前世のこともある。」
ここでも前世が関係しているのかと思わず叫びたかったがグッと堪えた。
「前世がどうして関係するの?てか、そういうの見えるの?」
「ああ、見える。私はそういう力を持っている。」
「そうなんだ…で、話は戻るけど、どうやって私だと気付いたの?」
「君のオーラは特別強い。だから探しやすかった。」
「オーラ?それは目には見えないものなのね。」
「そうだ。普通の人には見えない。」
「あなたはいったい何者ですか?」
「言い忘れてましたね。私は高藤瑠璃。」
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