11 / 22
命の選択
しおりを挟む
助かる人もいれば助からない人もいる。
今回の被災でも何人かが犠牲になった。
その中で家族が被害にあっていないのがせめてもの救いだ。しかし、母の具合があまり良くない。負担がかかりすぎているようだ。
日に何度も背中をさすり、治療を続けた。
だが、あまり成果はあがらなかった。
体が持たないようだ。私達はすぐにテントの医師の元に母を連れて行った。
母は顔面蒼白になっており、両手も冷たかった。
「大丈夫?母さん。」
「大丈夫だよ。ちょっと無理がたたったみたいなだけ。ちょっと横になってればすぐに治るよ。」そう言ってベットに横になった。
私はさすりながら治療を続けたが、手のひらの痛みは収まらなかった。
その日の夜、母の体調が悪化した。しかしここで見ることは不可能だった。内臓が痛んでいたのだ。
すぐに救急車に乗せられて家族全員市内の病院へと搬送された。
救急治療室に入った母はなかなか出てこない。時間だけが刻一刻と過ぎていく…。
そして…出てきたのは医師だけだった。そして残酷なことを告げられた。
「奥さんは亡くなられました。肝臓が悪かったようですね。今回の被災でかなりダメージを受けたようです。」
「そ、そんな、…。母さん。」
「グッグッグッ。うーわーん。お母さーん。」私は泣きながら診察室へと入っていった。そこには横たわる母の姿が。
家族全員入ってきたが、看護師達は何も言わなかった。そっとしておいてくれたのだ。
私はまだ信じられず、力をフルに使って母を治そうとしたが、治ることはなかった。眠っているような安らかな顔だった。
「こんな時に何の役にも立たないなんて……どうして?どうしてなの?」私は叫んだ。
それからしばらくは何も手につかず、放心状態だった私の元に一人の青年がやってきた。
「探したよ。ようやく見つけた。」
私は訳が分からなかった。
見知らぬ青年。誰を探していたって?私の事?
「君だよね。不思議な力を持ってるって子は…。僕はずっと探していたんだ。ようやく見つけたよ。仲間をね。」
そう言いながら青年は手にしていたものを空中に浮かせた。
「あっ。」
思わず声を上げた。私と同じことができたからだ。そしてこう言った。
「向こうの世界ではなかなか会えなかったから、あまり覚えていないかもしれないけどね。僕らは仲間だったんだよ。仲のいいね。」
そう言いながら握手を求めてきた。私は何も考えられず差し出された手をつかんだ。するとピリッと静電気のような現象が起こった。
その一瞬で頭の中に何かが入り込んできた。
それは私の前世と関係があるようだった。
「貴方も前世つながりなのね。」
それだけ言うと私はその場を離れようとした。すると青年が片手を捕まえて離してはくれなかった。
今回の被災でも何人かが犠牲になった。
その中で家族が被害にあっていないのがせめてもの救いだ。しかし、母の具合があまり良くない。負担がかかりすぎているようだ。
日に何度も背中をさすり、治療を続けた。
だが、あまり成果はあがらなかった。
体が持たないようだ。私達はすぐにテントの医師の元に母を連れて行った。
母は顔面蒼白になっており、両手も冷たかった。
「大丈夫?母さん。」
「大丈夫だよ。ちょっと無理がたたったみたいなだけ。ちょっと横になってればすぐに治るよ。」そう言ってベットに横になった。
私はさすりながら治療を続けたが、手のひらの痛みは収まらなかった。
その日の夜、母の体調が悪化した。しかしここで見ることは不可能だった。内臓が痛んでいたのだ。
すぐに救急車に乗せられて家族全員市内の病院へと搬送された。
救急治療室に入った母はなかなか出てこない。時間だけが刻一刻と過ぎていく…。
そして…出てきたのは医師だけだった。そして残酷なことを告げられた。
「奥さんは亡くなられました。肝臓が悪かったようですね。今回の被災でかなりダメージを受けたようです。」
「そ、そんな、…。母さん。」
「グッグッグッ。うーわーん。お母さーん。」私は泣きながら診察室へと入っていった。そこには横たわる母の姿が。
家族全員入ってきたが、看護師達は何も言わなかった。そっとしておいてくれたのだ。
私はまだ信じられず、力をフルに使って母を治そうとしたが、治ることはなかった。眠っているような安らかな顔だった。
「こんな時に何の役にも立たないなんて……どうして?どうしてなの?」私は叫んだ。
それからしばらくは何も手につかず、放心状態だった私の元に一人の青年がやってきた。
「探したよ。ようやく見つけた。」
私は訳が分からなかった。
見知らぬ青年。誰を探していたって?私の事?
「君だよね。不思議な力を持ってるって子は…。僕はずっと探していたんだ。ようやく見つけたよ。仲間をね。」
そう言いながら青年は手にしていたものを空中に浮かせた。
「あっ。」
思わず声を上げた。私と同じことができたからだ。そしてこう言った。
「向こうの世界ではなかなか会えなかったから、あまり覚えていないかもしれないけどね。僕らは仲間だったんだよ。仲のいいね。」
そう言いながら握手を求めてきた。私は何も考えられず差し出された手をつかんだ。するとピリッと静電気のような現象が起こった。
その一瞬で頭の中に何かが入り込んできた。
それは私の前世と関係があるようだった。
「貴方も前世つながりなのね。」
それだけ言うと私はその場を離れようとした。すると青年が片手を捕まえて離してはくれなかった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
巷で噂の婚約破棄を見た!
F.conoe
ファンタジー
婚約破棄をみて「きたこれ!」ってなってるメイド視点。
元ネタはテンプレだけど、なんか色々違う!
シナリオと監修が「妖精」なのでいろいろおかしいことになってるけど逆らえない人間たちのてんやわんやな話。
謎の明るい婚約破棄。ざまぁ感は薄い。
ノリで書いたのでツッコミどころは許して。

過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

妹ちゃんは激おこです
よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

気が付けば悪役令嬢
karon
ファンタジー
交通事故で死んでしまった私、赤ん坊からやり直し、小学校に入学した日に乙女ゲームの悪役令嬢になっていることを自覚する。
あきらかに勘違いのヒロインとヒロインの親友役のモブと二人ヒロインの暴走を抑えようとするが、高校の卒業式の日、とんでもないどんでん返しが。

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!
菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる