すべてのはじまり

神名代洸

文字の大きさ
上 下
3 / 22

不思議な力

しおりを挟む
こんな時どうしたらいいのか全くわからないが自分の身は自分で守るしかないという考えに至った私は何を思ったのか超能力入門なる本を手に入れることになった。
きっかけはたまたま入った書店で目についたのがこの本だったこと。中を見るといろいろなことが書かれていてやってみたいと思ったことが要因だ。

色々と細かいことが書かれていたが、要は全部やればいいということだ。必要な道具はない。1週間かかるということ。やる前に身を清めるということくらいだ。
私は家族にも内緒でそれを始めることにした。
小さな洗面器に水を張り、意識を集中して波を起こさせることから始めた。
始めからできるなんて思わない。そもそもそんなことができるなんて思ってもいなかった。毎日毎日同じ事を繰り返した。
すると何日かめに僅かに波のような波紋のような兆候が見て取れた。
「うっそ、マジ?」
信じられなかった。そんなことができたなんて。それでも諦めずに続けた。
小さな波がおきた。
出来たーと思った。
他にも何か動かせないかと部屋を見渡し、蛍光灯の紐を見た。できるかもしれない。今度はその紐に意識を集中した。すると簡単に揺れだした。
他には何ができるのか本を見て調べた。
その日はそこまでにして訓練をやめた。どっと疲れが出たのだ。集中しすぎたのかもしれない。

次の日、学校に行くと、教室の片隅に黒い塊があるのに気がついた。でもみんなは気づいていない。教室内ではいろいろな遊びが流行っていたが、中でも今みんなが夢中なのは心霊写真だ。各々が撮ってきた写真を学校に持ち込み、やーやーと騒いでいる。
私はフラリと近づき、覗き込んだ。
するとそこには何かが写り込んでいた。誰がどう見ても心霊写真に違いなかった。
私は思わず指をさして「こことここに写ってるよ。」と言ってしまった。
皆驚いて私を見ている。
「ねぇ、分かるの?」
「うん、写ってるし…睨みつけるように見てるし…。まぁ、色々なのがね。」
「すっご~い。ならさ、…。」
クラスメイトの皆はすご~いと驚いている。
私は普通に見えるよと言っていた。他にも透視ができた。
たまたまトランプを持っている子がいて、裏向けたまま当てるというものだ。
私は次から次へと言い当て皆をさらに驚かせた。
私も面白いように見えることに嬉しさを感じていた。しかしそれはいいことばかりではなかった。毎日の様に教室のどこかしこで見るようになったからだ。霊を…。

ある学校行事の日、お寺の掃除があって、最後に記念写真を撮ってもらったが、後々になってその写真も心霊写真だったことがわかり皆恐怖していた。霊が何体も写り込んでいるのだ。骸骨だったり、歪んだ顔だったり…。

それからは霊の話はしなくなった。
皆怖くなったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」にも掲載。

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

主役の聖女は死にました

F.conoe
ファンタジー
聖女と一緒に召喚された私。私は聖女じゃないのに、聖女とされた。

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

気が付けば悪役令嬢

karon
ファンタジー
交通事故で死んでしまった私、赤ん坊からやり直し、小学校に入学した日に乙女ゲームの悪役令嬢になっていることを自覚する。 あきらかに勘違いのヒロインとヒロインの親友役のモブと二人ヒロインの暴走を抑えようとするが、高校の卒業式の日、とんでもないどんでん返しが。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...