やすらぎはあなたと

【３】

「ほんと？」
 
カレンがガイに尋ねるとガイはため息混じりに答えた。
 
「ああ、今まで誰ともそういうことはない。それに相手にされた事もないんだよ。」
「信じられない・・・。あなたすごい美男子よ。雑誌に載っていてもおかしくないくらいなのに・・・。」
 
カレンはガイに惹かれ始めていた。
ついさっきギャブ・クリストスと別れたばかりだというのにその事はすっかり忘れていた。
いつの間にか三人でいろいろな事を話していた。
父はお金持ちかもしれないけれど、自分はお金持ちではないし、父のお金をあてにした事は今まで一度もなく・・・と二人に言ったけどそんなお金の事を気にすることはないと言われ、ちょっと気持ちが軽くなった。
ガイもそんな事を気にするなら、そいつは本当にただのろくでなしだと嫌悪していた。
そして二人の男性の事も少しずつ分かってきた。
カレンは時間がたつのも忘れていたけど、ふと店内を見てみると客は彼女達しかおらず腕時計を見ると深夜も過ぎて二時になるところだった。
デビットがそろそろお開きにしようかと言った時ふとガイを見ると顔を真っ赤にして机に頭をのせていた。
 
「あ～あ、酔いつぶれちまったな、ガイのやつ。」
 
カレンもガイの顔をのぞくと真っ赤な顔ですやすやと眠り始めていた。
 
「ガイはあんましアルコールに強くないんだ。でも今日は特別無理して飲んでたんだよ。たぶん人恋しくなったんだろうな。ずっと一人だったから・・・。」
 
デビットの話を聞いてもっとガイの事が知りたくなった。
 
「でもどうしようかな・・・。こいつ。うちは今日久しぶりに両親が来てて、部屋が空いてないんだよ。かと言ってこいつ一人暮らしだからな。」
「よかったら私の家では？私も両親と同じ敷地内に住んではいるけど建物は別だから・・・。」
「でもどうやって？」
「大丈夫。私に考えがあるわ。」
 
そう言って微笑んでガイを連れて帰っていった。
デビットは目を覚ました時のガイの顔を想像して思わずニヤニヤしていた。
 
明日、どんな顔をして出社してくるだろうかと・・・。