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怒り

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それからの動きは早かった。
2人は聞き込みを開始し、自分らの取り巻きらを炙り出すことにした。
何でも加奈とは別れたとか嘘を吹いて(そんなことはありえないが)。
案の定親衛隊を名乗るものや、ファンクラブ代表を名乗るものが現れて、お互いが頑として自分達こそがと息巻いていた。
その間ずっと洸と賢治は黙ったままだ。
その目には光は宿っておらず、だが誰一人として彼らの顔を直視出来ずにいた。うすら寒いものを感じたからである。
ある程度喋らせると洸はこう言った。
「僕に付きまとうのはやめろ。僕は君らとは何の関係もない。なんで追っかける。」
「それは洸さんが…好きだから。」
「私は賢治さんが好きです。だから振り向いてもらいたくて。」
「そうよそうよ!」
「で君らがやったのはなんだ?女の子一人に寄ってたかって暴言を吐くことか?僕が大切にしてたものを傷付けるのは許さない!」
「あんな子のどこがいいの?自分の気持ちすら満足に喋れない……まるで小学生の子供よ?似合わないわ。」
「じょあ、君ならいいと言うのか?」
「ええそうよ。みな私に擦り寄ってくるもの。」
「フッ。つくづくおめでたいやつだな。それはお前の後ろにあるものを狙ってるだけに過ぎない。親のコネだ。」
「なっ!」
「お前らもそうか?なら言っといてやる。僕は加奈としか付き合うつもりは無い。諦めるんだな。」
言われた女の人は苦虫を噛み潰したような顔をして顔を真っ赤にしている。よほど頭にきたようだ。

「な、何よ!あんなブスなんかどうなったっていいじゃない。私が1番綺麗なのよ?私以外はどうだっていいわ。」そういってポケットから携帯を取り出すとどこかに電話をかけ始めた。
「そう!教えたでしょ?その子をやっちゃいなさいよ。ーーいいから!私が言うんだからやればいいの!分かった??」
それだけ言うと携帯を切って肩を震わせながら笑い出す。
「これであなた達が守ろうとしていたあの女は傷物よ!フッフッフッ、ハッハッハッハッハ!」
バシッと音がしたと思ったら洸が手を振り上げていた。叩かれた方は自体が飲み込めていないようだ。ボーッとしていた。
そしてしばらくしてようやく叩かれたんだと脳が理解するとこう言った。
「あなたは私に手を挙げた。傷物にしたのよ?責任をとってもらうわ。」
「フッ、馬鹿馬鹿しい。賢治、急ぐぞ!!」
「もう遅いわ。今頃きっと…クスクス。」
「なんて女だ。」
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