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ちょっとした事件

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2つ回っただけで一日が過ぎてしまい、時間が過ぎるのが早いって思った。
でも楽しかったなぁ~。

洸さん、映画も楽しめたようで2人で映画の話で盛り上がった。帰りも電車で帰ったが、自宅まで送るって聞かなかったから、まっいっかって思ったの。だって夜道は怖いんだもの。そう言ったら絶対に送るって聞かなかったと思うし。でもね、早くに帰ってきたから夜は何しようかなって思ったよ。さよならした後のこと考えたら少し寂しくなった。でもまた明日があるから。ね。


加奈と別れた後、暫くはその場に止まっていたが、いつまでもいてもと思い帰ることにした。
今日の加奈は可愛かったし、いろんな顔見れて良かったな。
加奈の事独り占めできて良かったと思った。賢治がいたら絶対にからかわれてたかも。
イヤイヤ、盛り上がるのの間違いか?
あれこれ考えていたら電車に一本乗り損ねた。
一本後の電車は空いていたので椅子に座って窓の外を眺めながら加奈の事を思う。



翌日は学校が休みの為、洸さんと会う事がないと思ってはいたが、そもそも四年生ともなれば卒論…書き終わったんだろうか?提出したのかな?加奈は1人部屋でボーッとしていた。
ボーッとしていたら携帯が鳴った。
LINE…みたい。
そう言えば初めて会った時にLINE交換していたような。
でも今までずっと使わなかったから忘れてた…。
LINEを見ると洸さんからだった。
でもよく見てみると賢治さんからも入ってる。
考えてみるとLINE交換したの2人しかいなかった。だからすぐ分かる。
クラスメイトとはあまり話が合わないのかグループ内に入れなくて少数の人達の中の1人みたい。
だって話すの苦手なんだもん。
人目を気にしすぎるとは思うんだけど、やっぱり無理。

LINEの内容を見てみるとどちらからも少し忙しくなるから会えないというものだった。
やっぱり忙しいんだよね?
残念ではあるが、卒業が近いので仕方がないと思い、邪魔しちゃ悪いから簡単なメッセージだけ送って電源を切った。バッテリーが残り少なかったから。


数日連絡を入れてないだけで加奈は忘れていたわけでは無かったのだが、洸さんも賢治さんも2人して私の所にやってきたのには驚いた。
勉強……終わったのかな?
「加奈、携帯。」
「えっ?」言われて加奈は携帯を確認した。すると携帯には着信履歴とLINEが入っていたようだ。ちゃんと確認してなかったから……加奈は真っ青な顔をして2人に謝った。

「ご、ゴメンなさい。充電してからずっと電源入れるの忘れてて。」
「……。加奈。」
「加奈たん、それないって。もう少しマシな嘘ついて?」
「嘘じゃないです!本当に忘れてて。でも信じて貰えないですね。ごめんなさい。」加奈はそれだけ言ってその場から逃げようとしたが、洸さんが加奈の手を掴んで離さない。
「加奈、逃げなくていい。俺は気にしてない。」

「グスッ。洸さん……。ホントにごめんなさい。わざとじゃないの。」「加奈がそんな器用な真似出来るわけないってわかってるさ。」
「え~、洸たん、裏切るの?」
「裏切るも何も始めからそうじゃないかって思ってたからな。」
賢治さんは「僕たんだけ悪者??」なんて言ってたけど、本当は気にしてなさそうだった。

でも外野は色々となんかコソコソ話してるのが聞こえてくる。聞こえてくるから気になって仕方ない。
「神島様、そんな子に気を使う必要なんてありませんことよ?私達と一緒に如何ですか?」
「嶋田様もです。その子まだ1年らしいじゃないですか。似合いませんことよ?私達と一緒に卒業後についてお話しませんこと?」
「君たちは一体誰だ?俺は君らは知らない。ほんとに同学年か?」
「まぁ、私達の事知らないと…。同じクラスですよ?」
「だとしても興味無い。君らは外野だ。たとえ同じクラスだとしても仲良くする気は無い。」
「なんて言い方?酷いです。行きましょ?皆さん。神島様はそこの若いのがお気に召してるみたいですしね。私達ではダメと言われますから。趣味悪いですわ。」

加奈は上級生の女性グループに睨まれて真っ青な顔をしている。下を向いたまま。
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