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過激な動き

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なんだかんだと言いながらも私を気にかけてくれている2人がいいなと思っていた加奈だったが、それを疎ましく思っていた追っかけのグループに捕まってしまい、誰にも助けてもらえないことに絶望した。
「な、なんで私にこんなことするんですか?」
「あんたが悪いんじゃないか!アタシらの憧れの2人にいっちばん近くにいやがって、何様のつもりだ!」
「そ、そんなこと言われても…。」
「口で言ってわからないなら体でわからせるしかないね。」

そう言いながら何人かの女子達が私をぐるっと周り囲んだ。逃げられなくする為だ。
「そうだ。あの方たちに2度と会いたくなくなるようにに見えない場所に傷付けるんだよ!こうやってさ。」
喋りながらグーで殴ってきた。
腹部に激しい痛みが。
「わかったか?ならやりな。こいつが分かりましたというまでやるんだよ。やり方はどうだっていい。蹴ったりしてもさ、いいんだよ?」「なら、なら、私やりたいです。こいつ生意気なんだよ!」腰を思いっきり蹴る。

「うぐっ。痛い。やめて…。」「欲しけりゃ2度とあの方たちには近づくんじゃないよ!」
「そ、そんな…。」
痛みで意識が朦朧としてきた。
多分見えない部分はアザになっているに違いない。
なんでこんな事に?
私が何したの?
誰か…たす、け、て…。けられながら殴られながら意識を無くしていた。


「加奈!」
「加奈ちゃん!」
消えいく意識の中で2人の声が聞こえた気がした。




目覚めた時には辺りは暗くなっていた。ここは何処?
私はなんでここにいるの?
確か大勢の女子に取り囲まれて…それから、…それから…ヅキッ体があちこち痛んだ。
そしてそこにいるはずのない2人がいるのに気づいてホッとして泣き出してしまった。
洸あきらさんは黙って加奈を抱きしめて頭を撫でていた。賢治けんじさんは怒りの顔をしていた。

「あいつらか?加奈をこんなにしたのは。」
怒りで拳をつくった洸あきらさんはものすごく怒っていた。賢治けんじさんなんか片手をひらひらと揺らしていた。何かあったのか知ってしまったのかもしれない。今までで一番ひどいいじめだった。

「加奈、もう大丈夫だ。あいつらは2度と俺らの前には現れない。集団リンチしていた動画をこいつが撮っててな、警察も本腰上げて動いてくれた。何人かは逮捕されている。当然頭は反抗したみたいだがな。動かぬ証拠を突きつけられて観念したようだ。
皆少年院送りだろうな。

真っ白い部屋にあるベット。そうか、ここは病院なんだ。咄嗟に体を小さくした。多分アザになって残っているだろうから。
「すまない。加奈がやられている時証拠を取るために出るのが遅れた。駆け寄った時に倒れている姿を見て冷や汗をかいた。もし何かあったら俺は自分が許せないって。」
「加奈ちゃん、許したってーや。止めたのオレやから。2度と近づかせないための証拠が欲しかった。でもまさかそこまでやるなんて思わなかったよ。体の方はどう?」

「はい。あちこち痛いです。でも彼女達の気持ちもわかるんで。」「?」「??」
「彼女達はただお二方のそばにいるだけの私に嫉妬したんです。それが今回は行きすぎてしまった。ただそれだけなんです。」
「優しいな、加奈は。俺はあいつら全員許せない。加奈に…加奈にもし何かあったなら立ち直れない。」
「そんな…。」
「ホンマやで、オレらはカナちんを裏切らないよ?だってダチじゃん。」
「俺は恋人だと思ってる。」
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