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十七夜【タイトル未定】
17-24
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「はい、カーット!!」
パン!!と響く音。
手を叩いた岐津さんが一方的に終了を告げて立ち上がり、『は?』という表情の桜太の左腕、しかも、まだ傷が塞がっていない二の腕をに~~~~っこりと力いっぱい握っていた。
「ッてぇ!!いってぇ・・・っな!!」
痛みと驚きに桜太は岐津さんを突き飛ばし、掴まれたに腕を庇いさすりながら怒り狂った猛獣のように毛を逆立てて抑えていた感情を爆発させた。
「なんなんだよ!バカだろあんた!!」
「は・・・いてぇか。だがそんなもん治るだろうが。」
「は・・・?あんたこそなんなんだよ、人の女に膝枕させて足だの尻だの触りやがって・・・そんな人だと思わなかったよ・・・」
きっと桜太の中ではどんな人よりも信頼していたはずの岐津さんの理解出来ない言動と、私を好きだと明かした1人の男性としてどうぶつかっていけばいいのか、困惑に次ぐ困惑に声が震え、ブルーの瞳は揺れている。
「・・・そんな人?おい(笑)俺をどんな奴だと思ってたんだよ、聖人だとでも思ってたのか?俺は欲しいもんはどうやっても手に入れるよ。それが今回は・・・彼氏の嫉妬に自分の気持ちが揺れてしまっている女の子だっただけの事。」
掴まれた胸元を直し、何も悪びれもせず、まだまだぶつかり煽ろうとする勢いだ。
「・・・桜太、ごめん・・・あの、岐津さん、もう・・・」
さっきまでの戸惑いも困惑も、怒りが勝って吹き飛んだらしい桜太が岐津さんに詰め寄ろうとするのを手を握って押し留め、間に入った私に驚いて手を振り払おうとされたけれど、私は桜太の手を強く握りしめた。
・・・放しちゃだめだ・・・
・・・・・・放すもんか・・・・・・
「・・・・・・いいの?」
その様子をじっと見ていた岐津さんも、少し落ち着いたのか冷静さを取り戻した声で私に問う。
・・・よくよく考えれば、岐津さんの発案だし、「いいの?」はおかしいけれど、沈静化しているのに再燃は避けたい私は、
「・・・はい。今日はお時間取って下さり、ありがとうございました。ごちそうさまです。」
と、当たり障りなく答え、一刻も早くこの場を去りたかった。
「いや、こっちこそ付き合わせて悪かったな。また。」
「いえ・・・。すいません、失礼します。」
頭を下げて岐津さんに背を向け、部屋から出ようとするのに、掴んだ桜太の手はガンとして動かず、手酌で日本酒を煽り喉に流し込む岐津さんにまだ怒りの矛先が向いていて、
「ちょ、桜太・・・もういいから」
「なんもよくねぇよ」
私が身体を張って押し留めてもその怒りは収まらず、見た事がない程怒りの感情が振り切っているようだった。
たぶんそれは、水無瀬くんと遭遇したあの日からずっと続く、度重なる諸々のストレスが蓄積され、我慢していた感情が噴出している、私にはそう思えた。
パン!!と響く音。
手を叩いた岐津さんが一方的に終了を告げて立ち上がり、『は?』という表情の桜太の左腕、しかも、まだ傷が塞がっていない二の腕をに~~~~っこりと力いっぱい握っていた。
「ッてぇ!!いってぇ・・・っな!!」
痛みと驚きに桜太は岐津さんを突き飛ばし、掴まれたに腕を庇いさすりながら怒り狂った猛獣のように毛を逆立てて抑えていた感情を爆発させた。
「なんなんだよ!バカだろあんた!!」
「は・・・いてぇか。だがそんなもん治るだろうが。」
「は・・・?あんたこそなんなんだよ、人の女に膝枕させて足だの尻だの触りやがって・・・そんな人だと思わなかったよ・・・」
きっと桜太の中ではどんな人よりも信頼していたはずの岐津さんの理解出来ない言動と、私を好きだと明かした1人の男性としてどうぶつかっていけばいいのか、困惑に次ぐ困惑に声が震え、ブルーの瞳は揺れている。
「・・・そんな人?おい(笑)俺をどんな奴だと思ってたんだよ、聖人だとでも思ってたのか?俺は欲しいもんはどうやっても手に入れるよ。それが今回は・・・彼氏の嫉妬に自分の気持ちが揺れてしまっている女の子だっただけの事。」
掴まれた胸元を直し、何も悪びれもせず、まだまだぶつかり煽ろうとする勢いだ。
「・・・桜太、ごめん・・・あの、岐津さん、もう・・・」
さっきまでの戸惑いも困惑も、怒りが勝って吹き飛んだらしい桜太が岐津さんに詰め寄ろうとするのを手を握って押し留め、間に入った私に驚いて手を振り払おうとされたけれど、私は桜太の手を強く握りしめた。
・・・放しちゃだめだ・・・
・・・・・・放すもんか・・・・・・
「・・・・・・いいの?」
その様子をじっと見ていた岐津さんも、少し落ち着いたのか冷静さを取り戻した声で私に問う。
・・・よくよく考えれば、岐津さんの発案だし、「いいの?」はおかしいけれど、沈静化しているのに再燃は避けたい私は、
「・・・はい。今日はお時間取って下さり、ありがとうございました。ごちそうさまです。」
と、当たり障りなく答え、一刻も早くこの場を去りたかった。
「いや、こっちこそ付き合わせて悪かったな。また。」
「いえ・・・。すいません、失礼します。」
頭を下げて岐津さんに背を向け、部屋から出ようとするのに、掴んだ桜太の手はガンとして動かず、手酌で日本酒を煽り喉に流し込む岐津さんにまだ怒りの矛先が向いていて、
「ちょ、桜太・・・もういいから」
「なんもよくねぇよ」
私が身体を張って押し留めてもその怒りは収まらず、見た事がない程怒りの感情が振り切っているようだった。
たぶんそれは、水無瀬くんと遭遇したあの日からずっと続く、度重なる諸々のストレスが蓄積され、我慢していた感情が噴出している、私にはそう思えた。
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