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十七夜【タイトル未定】
17-22~side by 椎娜~
しおりを挟むはじまりはヤキモチとすれ違い。
はじまりは、酔っぱらった岐津さんが言い出した「桜太の事ヤキモチ焼かせてやろうぜ、あと・・・仕返し。」という悪ふざけ。
先日の一件が桜太の嫉妬がきっかけなら、目の前でヤキモチを焼かせたら桜太は耐えられるのか、そんなテレビ番組の企画のような岐津さんの発案を、私は私で酔っていてあまり思考が回っていなくて断り切れずに受け入れてしまった。
個室の扉がノックされ、廊下との隔たりがなくなった室内を見渡す桜太の瞳が大きく見開かれて、震える唇が私の名を呼んだけれど、返せた言葉はなんとも軽い、謝罪の言葉。
しかも、桜太からしたら何に対しての「ごめんね」なのかもよくわからないに違いない。
「・・・・・・ごめん、椎娜・・・・・・俺、帰るね・・・・・・」
「!ちょッ待って桜太!これは」
「いや・・・いいよ、俺みたいなすぐ嫉妬して椎娜を傷つける男より岐津さんみたいな大人の男の方がいいって事なんだろ?・・・そんな・・・見せつけるみたいにしなくたって・・・」
そう小さく呟いて部屋を出ようとする桜太を慌てて声だけで引き留める。
だって私の膝には、お腹側に顔を向けて頭を乗せていた岐津さんが、桜太の来室に気づいて顔を上げ、向きだけを変えて私の膝や太腿を撫でながら余裕の笑みで桜太を見上げて鼻で「ふん」と笑ったから。
「お前、椎娜ちゃんが理由もなくこんな事する女だと思ってんのか?だったらもう手離してやれよ、俺が椎娜ちゃん幸せにするからさ。」
桜太の感情を逆撫でして煽りまくる岐津さんの手が、太ももから徐々におしりへと移り、感じているわけでもないのに両足の間を割るように手が入ろうとするから、拒絶と驚きに漏れてしまった声に、岐津さんが嬉しそうに反応し、止めてくれるわけでもなく手は進んでいく。
「やだ、・・・っ・・・やめ・・・っ」
「話も聞かないお前の嫉妬に振り回されて傷つけられて・・・可哀相にな、椎娜ちゃん・・・」
ここまでするなんて聞いてない・・・!
似ている過去の傷に、恋愛関係ではなく距離が近くなり、分かり合えた気になっていた私が甘かったのか・・・
後悔してももう遅い・・・
桜太が見ている前で岐津さんは身体を起こして私に迫り、逃げようとすれば必然的に正座は崩れて後ろに倒れてしまい、覆い被さるように押し倒された。
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