徒然なる恋の話

焔 はる

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十七夜【タイトル未定】

17-19

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「こんばんは、すいません岐津さんと・・・」


「おぉ!桜太!久しぶりじゃねぇか!」


「お久しぶりです陽介さん」


焼肉店<牛鬼>のスキンヘッド店長陽介さん。


趣味はジム通いのプロレスラー並みの体格で、見た目の厳つさは笑うといい人そのものという破格のギャップ。


「元春さんとお前の彼女なら、堂々と浮気中だぞ」


「は・・・?」


「まぁまぁ、行ってみりゃわかるって」






堂々と浮気中ってなんだよ・・・


陽介さんに案内され、掘りごたつの奥座敷に通されると、ノックに応えたのは椎娜の声で、俺は一瞬の緊張に心臓が痛んだ。


椎娜の声、扉の向こうには椎娜がいる。


自分の彼女なのに何をそんなに緊張してんだよ・・・俺・・・。



「・・・し・・・しぃ、な・・・」


「あ、桜太、ごめんね」


少し赤らんだ頬に潤んだ瞳で俺を見上げて謝る椎娜の膝には岐津さんが顔を埋めていた。


なんで・・・どうして・・・


「・・・・・・ごめん、椎娜・・・・・・俺、帰るね・・・・・・」


「!ちょッ待って桜太!これは」


「いや・・・いいよ、俺みたいなすぐ嫉妬して椎娜を傷つける男より岐津さんみたいな大人の男の方がいいって事なんだろ?・・・そんな・・・見せつけるみたいにしなくたって・・・」


「・・・はぁ~~やっぱお前ガキだな。」


「は・・・?」


椎娜のお腹側を向いていた顔を上げ、けれど図々しく膝枕のまま俺を見ている岐津さんが椎娜の膝や太腿を撫でながら余裕の笑みで俺を見上げて「ふん」と鼻で笑った。


「お前、椎娜ちゃんが理由もなくこんな事する女だと思ってんのか?だったらもう手離してやれよ、俺が椎娜ちゃん幸せにするからさ。」


「っ・・・ちょ、ぁ・・・っ岐津さん・・・っ」


太腿を撫でる岐津さんの手が徐々におしりへと移動していく。


「は・・・声可愛いな・・・」


「やだ、・・・っ・・・やめ・・・っ」


「話も聞かないお前の嫉妬に振り回されて傷つけられて・・・可哀相にな、椎娜ちゃん・・・」


身体を起こした岐津さんが正座をしている椎娜に身体を寄せ、覆い被さっていくように押し倒していく。


「・・・桜太、何見てんの?俺・・・・・・椎娜ちゃんの事本気だから、受け入れてくれるなら・・・抱くけど。」




『抱く』という言葉に考える間もなく身体が動いて、カッとなった目の奥が熱いまま俺は岐津さんを引き起こして睨みつけていた。


それに真っ向から向かい合う岐津さんの瞳はどこまでも余裕で揺らぐ事はなかった。



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