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十七夜【タイトル未定】
17-17
しおりを挟む「あ~~~・・・くそ・・・はず・・・・・・」
車はナツさんに回収させると言って岐津さんは、お店に着くなりビールを注文して3杯目。
長年自分の中にしまっていた思いを出す事が出来たのか、「もう今日は飲む」と楽しそうにお酒を飲み、次から次に肉を焼き、他のテーブルにいた知り合いの人に「おごってやるよ」と気前が良くなって、あっという間にウイスキーや焼酎、とお酒も進んでいく。
「椎娜ちゃん、絶対桜太には言うなよ」
「はい、言わないです」
「ぜっッッッたいだからな。」
「・・・(笑)」
これだけ飲んでも顔色は変わらず、絡み酒・・・(笑)
「あ~~~・・・そっかぁ~~~・・・椎娜ちゃんもなぁ・・・」
「ちょ、岐津さん」
そして泣き上戸・・・(笑)
前に焼肉をご馳走になった時もお酒は飲んでいたのに、その時はこんな酔酔い方してはいなかった。
スマホを取り出し、電話を掛け始めるから相手は誰なのかと思えば、
『あ、桜太?お前暇だろ?なんだよ、拗ねてんのか?1日くらい借りたっていいじゃねぇか小せぇ野郎だなぁ。あ、お前、20時頃椎娜ちゃんの事迎えに来てよ、は?腕?腕がなんだよ、たかだかゼロに切られたくれぇで小さいなぁお前は。お前が来れねぇんなら椎娜ちゃんうちにお持ち帰りするけどいいのか?あ~~~うるせぇわッだったら来いよ、店は『牛鬼』な。』
言いたい事をマシンガンのように言い放ち、要件が終わったらさっさと切る。
「さ、これで椎娜ちゃんもいっぱい飲めるね。」
ニコニコ・・・ニコニコしている美魔王・・・
「今日はさ・・・あいつに、報告したんだ・・・」
「報告?」
「うん、好きな子が出来た報告。」
ふぅふぅと、焼けたカルビに息を吹きかける私は、口に入れようとした瞬間に吹いた。
えぇぇぇッ私・・・?!
でも私、お受け致したわけじゃないのに・・・?!
「そ、れは・・・・・・その方・・・は、怒るのでは・・・」
私は見えない存在からの妬み恨み憎しみ怒りは買いたくないですよ!
「うん、怒るかもしれない。ヤキモチ焼くとさぁ・・・めちゃくちゃこぇ~のに、可愛いんだよ。」
・・・・・・岐津さん・・・・・・
・・・私はあまりにも彼女さん・・・いや、奥様の事を嬉しそうに話す岐津さんにバレないように、潤んでしまった目に溜まる涙を拭いた。
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