徒然なる恋の話

焔 はる

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十七夜【タイトル未定】

17-3

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「・・・・・・本当に怖かった・・・いなくなっちゃったらって・・・」


「・・・ごめん・・・」


「あんなに血が出て・・・桜太が・・・やられちゃうとこなんて・・・想像した事もなかった・・・」


「・・・ごめん、案外弱かったね」


「そうじゃなくてっ!・・・・・・桜太なら大丈夫、って・・・勝手に思ってた・・・でも、私を守ろうとして怪我なんかもうしないで・・・・・・」


言葉にしたら本当に怖くて、どうしよう死んじゃうかもしれない、それが現実味を帯びて押し寄せてきた。


包帯が巻かれた腕の怪我もリアルで、血が滴る腕を押えもしないで私を抱き寄せて、迷いもなく身を挺した桜太・・・。


「・・・・・・桜太が死ぬなら、私が桜太を殺してから自分も死ぬ・・・それ以外はやだ・・・・・・っ」


「・・・ふはっ・・・どっちにしても俺、死んじゃうの?」


「どっちにしてもじゃないよ!桜太を死なせていいのは私だけなの!!」


「・・・どうしよう・・・俺の生死を握ってるのは椎娜って事・・・?」


「・・・・・・そうだよ。私のだもん、桜太は・・・」


「・・・それ、俺の生死も、精子もってことって、いって!!しぃちゃんっ俺怪我してっ」


「うるさい!そんなオヤジギャグみたいなの、今はいいの!!言わなくてもそうなんだから!!桜太は私の!!誰にもあげない!!私だって桜太のなら、ちゃんと生きて一緒にいて!!」


調子に乗った桜太の下らないギャグに、私は一気に言葉を吐き出した。


これ以上言える事なんて何があるというのか、それしかないというのに。


「桜太の初めては私じゃないし、私の初めても桜太じゃないけど、これからの未来、ず~~~っと一緒にいたいと思ったのも、一緒じゃなきゃ嫌だと思ったのも桜太なのに・・・・・・」


「ちょ・・・しぃ、ちゃん・・・?」


左腕を上にして横向きになっている桜太を転がして仰向けにして、私は桜太の上に跨った。


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