徒然なる恋の話

焔 はる

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十七夜【タイトル未定】

17-2

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「今度、岐津さんとデートしてくる」


「は?」


ようやく戻れた桜太の腕。


身体をタオルで拭いて血を拭い落として、新しいシャツに着替えた桜太の腕の中で告げたのは、違う男とデートして来る、という報告。


自分でもおかしいよな、というのは自覚している、勿論わかっている。


「え、なんで?デートって?どうして??俺の彼女だよね?なんで??そこは先に俺と仲直りデートでしょ?!」


「って桜太は言うと思ったから先に言ったの。」


「・・・・・・は?」


薬のせいか身体が怠くて眠いと言う桜太を先にベッドに寝かせ、気にしていなかったけど私の服も桜太の血で塗れていたので部屋着を借りてシャワーを浴びて、うとうとし始めていた桜太の元に戻って、すぐに告げた私。


濡れ髪をタオルで拭いているのに、そのまま桜太の腕に引っ張り込まれ、長い間ご無沙汰だったような懐かしさに『なんかもういっか・・・』となりそうな甘さに鞭を打って言葉にした。


「本当は、桜太を許すとかここに戻るより前に岐津さんに返事をして、水無瀬くんの事もハッキリさせるつもりだったの。それなのに・・・」


擦り傷と打撲を負った左手。


「今度は左手を怪我して、気を失っていたみたいだけど・・・その間に桜太は来てるし、岐津さんからも聞いたんでしょ?そんなに驚かないって事は・・・」


「・・・うん」


「・・・だから、黙って岐津さんと水無瀬くんの事をどうにかしようとした、でもそうしたら、私たちは今以上に滅茶苦茶になると思った。」


だから、先に片付けるべき事を桜太に話して、2人の事に決着をつける、とハッキリと言ったのだ。


「私・・・やましい事はしてない。だから、2人に会ってハッキリさせる、そうしたら・・・ちゃんと桜太の所に戻って来るから・・・。」


引きずり込まれた腕の中・・・。


まだ2人の間には見えない隔たりがある気がして、それがなくなればいいのに、と私は桜太の胸に身体を寄せた。



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