徒然なる恋の話

焔 はる

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十六夜【消えたい?消したい?掃除屋との遭遇】

16-31

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俺からの問いかけというか尋問に、ポツリポツリと口を割る桜太くんと、『もう、ほんと嫌』と顔面に主張が書かれている椎娜ちゃん。


それを気の毒な目で見ているのは、今日の俺のお付きの若者、加佐見。


「・・・で?その、男が椎娜ちゃんを特別だと言った事と、2人に何か特別な約束があるんじゃないか、って嫉妬して力任せに抱いてしまったと。付け加えれば、ゼロが椎娜ちゃんをしぃちゃん、て言ったのも気に入らなかったと。」


桜太くんの嫉妬の原因を搔い摘んで整理するとそういう事だ。


「椎娜ちゃん本人からは、その男と恋人関係はあり、自分が初めてを頂いて筆おろしをしたのはしたが、今は連絡も取っていないし、何もないのに疑われた事が大層不満であるし、言葉を選ばずに言って申し訳ないけど、自分の気持ちも言葉も聞いてくれずに力任せに抱かれた事は物凄くそれはそれは物凄く不愉快極まりなく、黒木を彷彿とさせる彼の行動は万死に値するレベルだが、別に嫌いなわけでもないから困っている、そんなとこでどうだろうか?」


うんうん、と首を振って、「その通りです」と頷きっぱなしの椎娜ちゃん。


「・・・加佐見くん、どう思う?」


「俺っすか?」


「うん、君の方が年も近いし、第三者として何かあれば。」


「え~・・・・・・巻き込まないで欲しいっつ~か・・・」


「加佐見くん?」


そういう腰が引けた意見は聞いてないよ。


「あ、いやっ・・・あ~あ~・・・・・・」


加佐見はチラっと桜太くんを見て、


「黒っすね。」


「(笑)桜太くんが?」


「はい、だって彼女さんがそいつの童貞をもらってようが、過去の事っすよね?どうしようもねぇし、今自分といるなら関係なくないっすか?」


真っ当すぎる・・・(笑)


こいつ、なんでうちになんているんだっけ・・・


背中には張り切って入れた桜と龍虎の入れ墨がガッツリ入ってんだけどな・・・。


ナツと気が合うくらい明るい新入りの加佐見も含め、若者の恋バナは楽しいなぁと、きゅんとするおっさんだった。
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