徒然なる恋の話

焔 はる

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十六夜【消えたい?消したい?掃除屋との遭遇】

16-23

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「椎娜ちゃんだけではなく、君まで巻き込むなんて・・・本当にすまない。病院に連れて行くから一度中に入ってもらえないだろうか。」


柊誠さんに連れられ、私と桜太は出て来たばかりの岐津邸に戻る事になった。

岐津さんの姿を認めた、黒スーツにイカつい男の人たちが慌ただしく出される指示に従い動き回る。

道路の血の跡も消さないとマズイだろうし、うなだれていたゼロは、抱えられて別棟へと連行されて行った。


「今車回させるから、少し待てる?」


「はい」


組の人から手渡されたタオルで傷口を圧迫して、上から別の紐で縛り、心臓より高い位置へ・・・


「・・・椎娜?(笑)」


「いや、ちょっと支えた方がいいかなって・・・」


「(笑)え、プルプルしてんじゃん」


「いいから」



桜太の腕を持ち上げるように支えているのを見て、桜太は笑う。

だって、ダラダラではないけどまだ滴るようにポタ、ポタ、と血は垂れていたから少しでも楽になるようにって・・・



「兄貴、一体なん・・・・・・は?桜太、それ・・・」


「お前、何してた?俺からのメール見てなかったのか?」


面倒くさそうに玄関から出て来た岐津さんが、柊誠さんと、腕から血を流す桜太に目を留めて見た事がないくらいギョッとしている。


「ゼロがいなくなったから気をつけろ、って連絡しただろうが」


「・・・見た、けど甘く見てた。」


「馬鹿が。今夜は仕事だ。仕事前のあいつは気が高ぶる。誰でもいい、適当に宛がって発散させておけ。ナツはどうした。」


「ナツは別件で戻るのは夕方になる。」


「・・・仕方ない、誰かに運転させる。お前はゼロを見張っとけ、適当な・・・」


柊誠さんの視線が私に留まり、『あ、聴いたらだめなやつかな』と、私は少し距離を取った。

それに対して、僅かに目を見開き、ふっと目元が優しくなる柊誠さん。


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