徒然なる恋の話

焔 はる

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十六夜【消えたい?消したい?掃除屋との遭遇】

16-22

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「あ~なんでだよ、オレの仕事っぷりの話なのに・・・」


「うるせぇな、そんなの椎娜が聴く必要ねぇ事だろうが。」


「はぁぁぁ・・・マジでおうたうざい。」



視界を覆われ、見えない私を抱く腕に力が入り、痛すぎる程強く抱きしめられた瞬間、押し付けられた胸と耳の間に隙間が出来て、それは大切な人たちに向ける声とは全く異なる、組織の幹部の圧倒的な・・・



「・・・!・・・って、ぇ・・・・・・」



「・・・お前は何をしている・・・ゼロ・・・」



「・・・・・・ボス・・・・・・」



「何をしているのかと聞いている。答えろ。」



「ッ・・・ごめん、なさい・・・・・・」



「謝罪なんて求めていない。オレの言葉を理解しないのかお前は。」



「っぐ・・・ぁ・・・ぁ・・・ぼ、スッ・・・」



声のやり取りだけで把握できていた周囲の状況を、桜太の腕の中から顔を出してようやく掴むことができた。




「・・・柊誠、さん・・・」



ゼロがボスと呼ぶ柊誠さんが、壁を背にして座り込むゼロの右肩を踏みつけ、髪を掴んで顎を反らさせると、苦しそうに喘ぐゼロ・・・


ナイフを握っていた右肩を踏みつけられた事で、ナイフはゼロの手から零れてキンッ・・・と高い金属音を立てて道路に落ちる。



「・・・・・・おい、お前何してんだ、表に出て来い。」


スマホでそれだけ伝え、柊誠さんは胸ポケットにしまうと、足をどかしてゼロの髪を掴む手を思い切り横に振り切った。


「ッッぁぁッーーー!」


叫びと共に道路に転がったゼロを、冷たく怒りに満ちた瞳が見下ろしている。


「・・・ゼロ、お前は躾直す。覚悟しておけ。」


「・・・ぁ・・・ぁ・・・ボス、ぼ、す・・・ごめん、ごめんボス・・・」


震えて怯えるゼロには見向きもせず、柊誠さんは私たち、いや、左腕から血を流す桜太の前に立ち、傷に目をやった。





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