572 / 617
十六夜【消えたい?消したい?掃除屋との遭遇】
16-22
しおりを挟む
「あ~なんでだよ、オレの仕事っぷりの話なのに・・・」
「うるせぇな、そんなの椎娜が聴く必要ねぇ事だろうが。」
「はぁぁぁ・・・マジでおうたうざい。」
視界を覆われ、見えない私を抱く腕に力が入り、痛すぎる程強く抱きしめられた瞬間、押し付けられた胸と耳の間に隙間が出来て、それは大切な人たちに向ける声とは全く異なる、組織の幹部の圧倒的な・・・
「・・・!・・・って、ぇ・・・・・・」
「・・・お前は何をしている・・・ゼロ・・・」
「・・・・・・ボス・・・・・・」
「何をしているのかと聞いている。答えろ。」
「ッ・・・ごめん、なさい・・・・・・」
「謝罪なんて求めていない。オレの言葉を理解しないのかお前は。」
「っぐ・・・ぁ・・・ぁ・・・ぼ、スッ・・・」
声のやり取りだけで把握できていた周囲の状況を、桜太の腕の中から顔を出してようやく掴むことができた。
「・・・柊誠、さん・・・」
ゼロがボスと呼ぶ柊誠さんが、壁を背にして座り込むゼロの右肩を踏みつけ、髪を掴んで顎を反らさせると、苦しそうに喘ぐゼロ・・・
ナイフを握っていた右肩を踏みつけられた事で、ナイフはゼロの手から零れてキンッ・・・と高い金属音を立てて道路に落ちる。
「・・・・・・おい、お前何してんだ、表に出て来い。」
スマホでそれだけ伝え、柊誠さんは胸ポケットにしまうと、足をどかしてゼロの髪を掴む手を思い切り横に振り切った。
「ッッぁぁッーーー!」
叫びと共に道路に転がったゼロを、冷たく怒りに満ちた瞳が見下ろしている。
「・・・ゼロ、お前は躾直す。覚悟しておけ。」
「・・・ぁ・・・ぁ・・・ボス、ぼ、す・・・ごめん、ごめんボス・・・」
震えて怯えるゼロには見向きもせず、柊誠さんは私たち、いや、左腕から血を流す桜太の前に立ち、傷に目をやった。
「うるせぇな、そんなの椎娜が聴く必要ねぇ事だろうが。」
「はぁぁぁ・・・マジでおうたうざい。」
視界を覆われ、見えない私を抱く腕に力が入り、痛すぎる程強く抱きしめられた瞬間、押し付けられた胸と耳の間に隙間が出来て、それは大切な人たちに向ける声とは全く異なる、組織の幹部の圧倒的な・・・
「・・・!・・・って、ぇ・・・・・・」
「・・・お前は何をしている・・・ゼロ・・・」
「・・・・・・ボス・・・・・・」
「何をしているのかと聞いている。答えろ。」
「ッ・・・ごめん、なさい・・・・・・」
「謝罪なんて求めていない。オレの言葉を理解しないのかお前は。」
「っぐ・・・ぁ・・・ぁ・・・ぼ、スッ・・・」
声のやり取りだけで把握できていた周囲の状況を、桜太の腕の中から顔を出してようやく掴むことができた。
「・・・柊誠、さん・・・」
ゼロがボスと呼ぶ柊誠さんが、壁を背にして座り込むゼロの右肩を踏みつけ、髪を掴んで顎を反らさせると、苦しそうに喘ぐゼロ・・・
ナイフを握っていた右肩を踏みつけられた事で、ナイフはゼロの手から零れてキンッ・・・と高い金属音を立てて道路に落ちる。
「・・・・・・おい、お前何してんだ、表に出て来い。」
スマホでそれだけ伝え、柊誠さんは胸ポケットにしまうと、足をどかしてゼロの髪を掴む手を思い切り横に振り切った。
「ッッぁぁッーーー!」
叫びと共に道路に転がったゼロを、冷たく怒りに満ちた瞳が見下ろしている。
「・・・ゼロ、お前は躾直す。覚悟しておけ。」
「・・・ぁ・・・ぁ・・・ボス、ぼ、す・・・ごめん、ごめんボス・・・」
震えて怯えるゼロには見向きもせず、柊誠さんは私たち、いや、左腕から血を流す桜太の前に立ち、傷に目をやった。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる