徒然なる恋の話

焔 はる

文字の大きさ
上 下
565 / 617
十六夜【消えたい?消したい?掃除屋との遭遇】

16-15~side by 桜太~

しおりを挟む
「はぁ・・・」


「ちょっと桜太、溜息20回目。そんなに気になるなら連絡すればいいのに。」


鬱陶しそうに、面倒くさそうに、暁月が俺のスマホを指差してから扉を顎で促した。


「・・・・・・なんて言うんだよ、ゆうべあんなに謝っても納得してくれなくて・・・出てっちゃったんだぞ、椎娜・・・」


言葉にしてみるとそれはそれは悲しい響きで、今家には椎娜がしないんだな、と現実を突きつけられる。

自分の嫉妬の暴走で傷つけて、椎娜が離れる要因を作ったのも俺。

あれ以上俺はなんと言って謝罪したらいいんだ・・・。


「今までそんな事なかったのにね、嫉妬して・・・あ、ヤキモチ、って言った方がいいか。」


「なんで言い直すんだよ」


「だって、嫉妬なんて大人なもんじゃなくて、『しぃちゃんが他の男に盗られちゃう!やだよ!行かないで!しぃちゃん!』て感じでしょ?」


「・・・・・・似てねぇし・・・マネすんな・・・でも、合ってる・・・」


「それだけの理由だったのに、めんどくさいね・・・身体でつなぎ留めようとしても、心は別なんだよ・・・」


「なんか・・・説得力あんな、暁月。経験談?」


「はは、俺だってまぁいろいろとね・・・」


「・・・俺のだけネタにされんの気に食わねぇからそのうち飲みに行こうぜ。」


「やだよ(笑)桜太はとりあえず椎娜さんに連絡してみなよ」




椎娜はどうしているだろう・・・家にいるのかな・・・出かけてるのだろうか・・・



同じことを考えても、俺の家にいる時と自分の家に戻ってからの椎娜の事を考えると、何もわからなくて、もしもここで切れていしまったら、そう考えただけで胸が痛み、闇に突き落とされたように頭の中も心も真っ暗になった。



いやだ・・・いやだ・・・


ごめん、椎娜・・・



連絡してくる、と言って暁月に見送られ、俺は屋上でスマホを握り締めた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

処理中です...