徒然なる恋の話

焔 はる

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十六夜【消えたい?消したい?掃除屋との遭遇】

16-5

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ドラマや映画で見るような、外からは見えな高い白壁で覆われた立派な門構えの御屋敷。

門は静かに開き、私たちを乗せた車は敷地内に侵入した。


涼しい顔のナツさんと、ピザまんを食べ終わっても私の手を握ったままの傷だらけの男は鼻歌を歌い機嫌がいいらしく、ドキドキしているのは私だけ。


「手、離して。」


「やだ」


「私もいやなんですけど。」


「ふぅん。」


「ちょっと。」


「ねぇ、手ぇどうしたの?」


「・・・転んだ、だけですけど」


「・・・・・・ふぅん?結構酷そうな骨折だね。」


「!なんで・・・骨折って・・・」


「え~わかるよ、オレも何回もやってるからね。」


手、首にも包帯が巻かれ、顔には絆創膏や手のひら程ある白い傷パッドが貼られた上、「ほら」と無造作に捲り上げられたお腹にも古傷や真新しい切り傷、擦り傷、痣が沢山あった。


驚きでどう反応していいかわからずにいる私を気にもせず、男は自分の事を話し始めた。


「なぁんかぁ・・・道具の使い方が下手くそなんだって、いっつも怒られんだ、ボスに。」


「道具って・・・あなた、何してる人なの?」


普通に生活していたらこんなに傷だらけになんてならない・・・


「ん~オレはぁ・・・掃除屋?あはは」


無邪気に笑う瞳の奥が冷たく鈍い光を放っていた。


「着きましたよ。ゼロ、お前余計な事喋んな」


「はぁ~い。ほらね、ボスのペットのナッちゃんにも怒られちゃった。」


「誰がペットだ!!お前がナッちゃんて言うな!」


・・・ゼロ・・・それが、この人の名前なんだろうか・・・それに、掃除屋って・・・?


手を掴まれたまま車から降りると、そこにいたのは2人揃った美魔王兄弟。

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