徒然なる恋の話

焔 はる

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十五夜【壊れていく音】

15-20~side by 桜太~

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「おはよ~っす、ってえ・・・何?世界が終わりそうなくらい機嫌悪くね?」

朝イチの会議、集まった誠司がオレを見るなり顔を顰めてから嬉しそうに声を掛けて来た。

「なんだよ、最近安定してたのにどうした?シーサーちゃんと何かあった?」

この遠慮もなしのズカズカと踏み込む誠司節。

本気で機嫌が悪いとブン殴りたくなるのは大学時代からで、実際会社立ち上げ前はよく喧嘩に発展していた。

さすがに社長という立場になって顔を腫らして来客を迎えるわけにもいかず、この誠司の無礼な言葉も受け流すようになって大人になったな、俺、と思っていたのに・・・この、誠司の馬鹿野郎・・・

「お、どうした?図星か?」

ムカつくほどの笑顔で俺の横に座って顔を寄せる。


「・・・・・・誠司、さわんな」


「あ?なぁんだ、マジか。ハハ、おにぃさんが聞いてやってもいいぜぇ~?」


立ち上がって誠司の胸倉を掴んだ手を、タイミングよく会議室に入ってきた暁月が制した。

音を立てて壁にぶつかってひっくり返った椅子を蓮が直して、俺と誠司を交互に見ている。


「社長、社内で乱闘沙汰はご遠慮願いたいのですが?」


「・・・・・・暁月」


「誠司、なんで桜太の事煽るの?」


「あ?見てもいねぇのに適当な事言うなよ蓮。俺が悪いかわかんねぇじゃねぇかよ」


「いや、誠司が悪い。相場決まってるからね。喧嘩吹っ掛けるのも、煽るのもいつも誠司。しかも、こんな桜太久しぶり。」


「・・・誠司はそういう空気ほんと読めないよね、まだスキル身に付かないの?」


「そういうスキルってなんだよ!バカにすんじゃねぇ!」


「・・・桜太、どうしたの?昨夜、何かあった?」


「おい!俺を無視すんな!」


「ちょっと誠司黙って。蓮、悪いけど誠司、どっかやって。」


「・・・わかった。後から説明してよね。ほら、誠司行くよ。」


「な!待て!なんでだよ・・・!」


誠司を引きずり蓮が会議室を後にすると、タブレットを机に置いた暁月が退室し、俺は一晩かけて落ち着けた、付ける名前も知らないこの感情を誠司にグチャグチャにされ、八つ当たりをするわけにもいかず、当たり散らす程ガキでもないと、ただひたすら拳を握り締めていた。



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