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十五夜【壊れていく音】
15-19
しおりを挟むモヤモヤと悩みながらベッドに入った昨晩は、眠れないかと思ったら久しぶりの自分の部屋、自分のベッドで緊張感もなく爆睡した。
自分でも気が付かないうちに蓄積されていたのは、流されるように始まった桜太の部屋での居候生活での緊張感だったらしく、図太さも相まって朝まで爆睡。
誰もいない自分の部屋は、「おはよう」を言う相手もいなければ、「珈琲飲む?牛乳にする?」なんて会話もなく、起き抜けに抱きしめられてベッドから出られないなんて事もなく、言うなれば、とても安心、快適だった。
嫌いなわけじゃないし、求められれば応えてあげたい。
断っても嫌われたりしないし、殴られもしないのに、そうできないのは、『男性』という点で私が桜太を信じきれていないからだろうか。
そんなわけない、だって桜太だよ?幼稚園の頃から知ってる甘ったれだった桜太。
異性としてなら誰よりも、世界中のどんな男性よりも信頼しているはず。
・・・それなのに・・・
・・・・・・なんで・・・・・・
なんで、なんで、なんで・・・!!
冷蔵庫から取り出した、賞味期限切れのヨーグルトを苛つきのままに叩きつけた。
ヨーグルトはカップの蓋をブチ破って天井まで飛び散り、狭いキッチンはたちまち白い液体で悲惨な有様になった。
「あはは・・・え、すごい、こんなに飛ぶ??天井なんて届かない・・・ハハハハッ」
そんなに高い椅子もなければ脚立もない。
汚い水玉模様になった天井を見上げ、やらかしてしまった後に訪れたのは、「やっちまったなぁ」という諦め。
そう、やってしまったものは、どうしようもないのだ。
「でも、このままにもしておけない・・・どうにかしなきゃなぁ・・・」
そう、どうにかしなきゃいけないんだ。
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