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十五夜【壊れていく音】
15-8
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「離して・・・今、桜太に触られたくない・・・」
手を引き抜こうとしても、引っ張って振り払おうとしてもビクともしなくて、私の恐怖は増していく。
「いやだ・・・!離して・・・!!」
「ごめん・・・何度でも謝るから・・・ッ離れていかないで・・・」
「・・・・・・謝られても、怖いと思ったのは消えない・・・離れるなんて私は言ってないのに・・・・・・なんであんな風にしたの・・・?離れてほしかったのは桜太の方じゃないの・・・?」
なんで、どうして?
わからないよ・・・
「・・・・・・水無瀬ライ・・・・・・って、誰?」
「・・・え・・・?」
「今日、会社に来た。「しぃちゃんは特別だから返してくれ」って言ってたよ。」
水無瀬・・・ライ・・・
なんで・・・
「・・・今も連絡とってんの?」
私の手を掴んでいる桜太の手が静かに離れた。
「今はとってない。」
「今は、ね・・・」
「・・・信じてないの?」
「・・・・・・どうしようもないくらい余裕がないんだよ・・・・・・椎娜が、俺以外の誰かの特別だっていうのが許せない・・・しぃちゃんて呼んで、特別だって言う・・・・・・・・・俺は、水無瀬ライがいなくなったから・・・・・・他の男も、みんなあいつの替わりに・・・」
「違うよ。桜太は、水無瀬くんの替わりじゃないよ!」
私にとっては『こんなこと』。
でも、いつも余裕な桜太が完全に自信も余裕も失っている。
なんでこんなに不安になってるのかわからないけど、子供の頃からずっと特別だった桜太。
大人になってからも、勿論それは幼馴染を返上して恋人同士になってからより強固な絆になったと思っていたのに・・・
「ックシュ・・・」
「!ごめん・・・風邪ひくよね・・・温まってから上がってきて。・・・着替え、置いておくから・・・」
服を着たまま頭からびしょ濡れになって、冷えた身体がブルッと増えた。
桜太が出て行くと、残されたバスルームの中は広く感じる。
・・・ほんと・・・身体はデカくなって、社長なんて立派な肩書きを背負うようになっても・・・
あんな風に余裕をなくして感情のままぶつかって、でも心は逃げてるの・・・高校生の時とおんなじじゃん・・・。
・・・ばか・・・。
手を引き抜こうとしても、引っ張って振り払おうとしてもビクともしなくて、私の恐怖は増していく。
「いやだ・・・!離して・・・!!」
「ごめん・・・何度でも謝るから・・・ッ離れていかないで・・・」
「・・・・・・謝られても、怖いと思ったのは消えない・・・離れるなんて私は言ってないのに・・・・・・なんであんな風にしたの・・・?離れてほしかったのは桜太の方じゃないの・・・?」
なんで、どうして?
わからないよ・・・
「・・・・・・水無瀬ライ・・・・・・って、誰?」
「・・・え・・・?」
「今日、会社に来た。「しぃちゃんは特別だから返してくれ」って言ってたよ。」
水無瀬・・・ライ・・・
なんで・・・
「・・・今も連絡とってんの?」
私の手を掴んでいる桜太の手が静かに離れた。
「今はとってない。」
「今は、ね・・・」
「・・・信じてないの?」
「・・・・・・どうしようもないくらい余裕がないんだよ・・・・・・椎娜が、俺以外の誰かの特別だっていうのが許せない・・・しぃちゃんて呼んで、特別だって言う・・・・・・・・・俺は、水無瀬ライがいなくなったから・・・・・・他の男も、みんなあいつの替わりに・・・」
「違うよ。桜太は、水無瀬くんの替わりじゃないよ!」
私にとっては『こんなこと』。
でも、いつも余裕な桜太が完全に自信も余裕も失っている。
なんでこんなに不安になってるのかわからないけど、子供の頃からずっと特別だった桜太。
大人になってからも、勿論それは幼馴染を返上して恋人同士になってからより強固な絆になったと思っていたのに・・・
「ックシュ・・・」
「!ごめん・・・風邪ひくよね・・・温まってから上がってきて。・・・着替え、置いておくから・・・」
服を着たまま頭からびしょ濡れになって、冷えた身体がブルッと増えた。
桜太が出て行くと、残されたバスルームの中は広く感じる。
・・・ほんと・・・身体はデカくなって、社長なんて立派な肩書きを背負うようになっても・・・
あんな風に余裕をなくして感情のままぶつかって、でも心は逃げてるの・・・高校生の時とおんなじじゃん・・・。
・・・ばか・・・。
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