徒然なる恋の話

焔 はる

文字の大きさ
上 下
518 / 617
十四夜【幸福のカタチ】

14-8

しおりを挟む
椎娜に抱きついて、胸に顔を埋めて、あちこちにキスをしてたまに甘噛み。

「こらぁ~、ガブガブしないでくださ~い」

椎娜のお腹や胸、首へと這い上がり、俺の痕を残していく。

数日すれば消えてしまうとわかっていても、今だけは、目に見えてわかる俺のシルシを残したかった。

「・・・桜太、ね・・・また・・・」

「いいよ、えっちする?俺、元気だよ」

「・・・・・・」

「ねぇ・・・本気で引かれると傷つきマス・・・」

食い気味でした返事は、呆れてものも言えない、と顔で語る椎娜にお断りされた模様。

悲しい・・・。

「ふ・・・元気だよ、って・・・(笑)」

あ・・・

「あはは・・・元気、だよねぇ・・・桜太はさ・・・ほっとする・・・」

俺にはやはり、椎娜のツボはわからないけど、こうして笑ってくれる事が一番嬉しくて、この笑顔をずっと守っていきたいと思ったんだ。



「あ。」

「!」

鏡を見て、俺は自分の首に残る紅い痕を発見した。

ちらっと椎娜を見ると、

「・・・・・・し~~~~い、ちゃんっ、これ、なんだと思う~?」

「・・・・・・知らない・・・・・・」

ブクブクとお湯に沈みゆく椎娜。

右手だけ死守して上げたままなのがなんとも言えずにシュールな光景。

「なんだろうこれ・・・いつの間に・・・あ、どこのおねぇさんにつけられたのかな~・・・心当たりある人は知らないって言うしぃ・・・じゃあ他の・・・」



ザバァァァァァァァ!!!!!!



「私の!!!」



・・・え、水の妖怪みたいにお湯から出てきて、仁王立ち(笑)



「それ私の!!」

椎娜の指が指す先は、

「・・・こっち?それとも、こっち?」

わざと意地悪に二択を提示。

「~~~~!!!どっちも!!!」

「・・・もぉ・・・なに必死になってんだよ・・・おいで・・・?」

伸ばした手に掴まり、浴槽から出てきた椎娜を引き寄せた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。

ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」  人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。 「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」 「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」  一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。 「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」 「……そんな、ひどい」  しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。 「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」 「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」  パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。  昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。 「……そんなにぼくのこと、好きなの?」  予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。 「好き! 大好き!」  リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。 「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」  パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、 「……少し、考える時間がほしい」  だった。

え? いえ殿下、それは私ではないのですが。本当ですよ…?

にがりの少なかった豆腐
恋愛
毎年、年末の王城のホールで行われる夜会 この場は、出会いや一部の貴族の婚約を発表する場として使われている夜会で、今年も去年と同じように何事もなく終えられると思ったのですけれど、今年はどうやら違うようです ふんわり設定です。 ※この作品は過去に公開していた作品を加筆・修正した物です。

心から愛しているあなたから別れを告げられるのは悲しいですが、それどころではない事情がありまして。

ふまさ
恋愛
「……ごめん。ぼくは、きみではない人を愛してしまったんだ」  幼馴染みであり、婚約者でもあるミッチェルにそう告げられたエノーラは「はい」と返答した。その声色からは、悲しみとか、驚きとか、そういったものは一切感じられなかった。  ──どころか。 「ミッチェルが愛する方と結婚できるよう、おじさまとお父様に、わたしからもお願いしてみます」  決意を宿した双眸で、エノーラはそう言った。  この作品は、小説家になろう様でも掲載しています。

溺愛されたのは私の親友

hana
恋愛
結婚二年。 私と夫の仲は冷え切っていた。 頻発に外出する夫の後をつけてみると、そこには親友の姿があった。

秘密 〜官能短編集〜

槙璃人
恋愛
不定期に更新していく官能小説です。 まだまだ下手なので優しい目で見てくれればうれしいです。 小さなことでもいいので感想くれたら喜びます。 こここうしたらいいんじゃない?などもお願いします。

俺の浮気性は異能力のせいでした!異論は認めない!

嵐山田
恋愛
高校生になってから一人暮らしを始めた。 それから二か月、俺は親のいない生活を満喫していた。 アイドルと仲良くなったり、バイト先の先輩と仲を深めたり、クラスのギャルと遊んだり、幼馴染とデートしたり……。 あれ、さすがに俺、モテすぎでは!? 異能力が身近にある生活で龍也は大切なものを思い出す。 どうやらそれは連れ去られているようで…… ラブコメ×異能力ファンタジー

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

ポニーテールの勇者様

相葉和
ファンタジー
※だいたい月/木更新。 会社を辞めて実家に帰る事にした私こと千登勢由里。 途中で立ち寄った温泉でゆっくり過ごすはずが、気がつけば異世界に召喚され、わたしは滅びに瀕しているこの星を救う勇者だと宣告されるが、そんなのは嘘っぱちだった。 利用されてポイなんてまっぴらごめんと逃げた先で出会った人達や精霊の協力を得て、何とか地球に戻る方法を探すが、この星、何故か地球によく似ていた。 科学よりも魔力が発達しているこの世界が地球なのか異世界なのか分からない。 しかしこの星の歴史と秘密、滅びの理由を知った私は、星を救うために頑張っている人達の力になりたいと考え始めた。 私は別に勇者でもなんでもなかったけど、そんな私を勇者だと本気で思ってくれる人達と一緒に、この星を救うために頑張ってみることにした。 ついでにこの星の人達は計算能力が残念なので、計算能力向上のためにそろばんを普及させてみようと画策してみたり・・・ そんなわけで私はこの星を救うため、いつのまにやら勇者の印になったポニーテールを揺らして、この世界を飛び回ります!

処理中です...