徒然なる恋の話

焔 はる

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十四夜【幸福のカタチ】

14-1~side by 桜太~

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・・・端的に申し上げて・・・ゆうべは・・・殊更最高だった、と表情筋が緩みっぱなしだ。

昨日朝の戯れから始まり、ぶつけるようにキスをしてきた椎娜の唇は、切れたところがまだ赤くなっている。


行ってきます、行ってらっしゃい。


言葉にしても、行きたくない事に変わりはなくて、いつまでも駄々をこねるような自分の悪癖に溜め息が出ると共に、本心なんだから仕方ないじゃないか、という開き直りもある。

椎娜が家にいるようになり、事情を知っているとはいえ、出社時間が以前よりもギリギリになる事が増えたので、暁月からはチクチクと嫌味を言われ、相変わらずフラれっぱなしの誠司からは嫉妬にまみれたメールや、無駄に社長室に入り浸っては「誰か俺を好きになりそうな女いねぇのかよ、紹介してくれよ社長~自分だけ幸せオーラ撒き散らしやがって」とネチネチした感情をぶつけられている。

蓮は・・・あいつは、年上のおねぇ様と上手くいってるようだし、たまに「シーサーちゃんと遊びたいな、家行ってもいい?」と思い出したように揶揄ってくるくらいであまり害はない。

気心知れているとはいえ、誠司の絡みが正直・・・めんどくさい・・・。


「ん・・・ん・・・」

寝顔を眺めながら髪を弄り頬に触れていたら椎娜が目を覚ました。

「・・・おはよ、しぃちゃん」

「・・・・・・ん、はよ・・・」

・・・・・・ふはっ・・・かわいい・・・ぼんやりしてる・・・おはよ、って言えてないし・・・!!

「・・・きょう・・・やすみ・・・?」

「ふ・・・休みだよ」

「・・・・・・いしょ、いる・・・・・・」

「ん・・・一緒にいられるよ・・・」

頬を撫でる手に、気持ちよさそうに目を瞑り、もぞもぞと俺の胸にぴったりと身体を寄せた。

その身体を包み込むように布団を引き寄せて椎娜を抱いて、胸に込み上げる温かさに泣きそうになる。
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