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十三夜【溺れるものは真夜中に溶け合う】
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しおりを挟む今生の別れでもないのに、時折こんな状況になってしまうのは、先日<fortune cafe Yggdrasill>で広瀬さんに私と桜太の前世についての話を聞いてからだ。
自分の中で枷になっていたストッパーが外れたような、邪魔をする誰かを気にしなくても桜太を好きでいていいんだ、と思えるようになったというか・・・
自分でも不思議でよくわからない感覚だけど、一言で言うと、好きが溢れている状態。
思いたいまま思っていられる喜びと、私が素直じゃなくても、真顔でも、それを迷惑だったり困ったり、拒絶をする事なく桜太は受け入れてくれる。
それがまた喜びとして相乗効果を生んで、精神的にも安定している。
「・・・今日、遅い?」
「早く帰ってくる。」
「・・・早く、さわりたい・・・」
「・・・・・・だからさ・・・そういう・・・はぁ・・・ほんと・・・ずるいよね・・・そういうとこ・・・日中頭ん中でシてやるからな」
「え・・・ッ・・・やだ・・・ずるい!・・・ほんとにシてくれなきゃ、やだ・・・」
「も~~~ッおばかッ・・・椎娜ッ・・・ばか、ほんともう・・・行けないだろ、仕事・・・そんな顔すんな・・・・・・帰ってきたら、ぐっちゃぐちゃに抱くからな。」
「・・・好き」
「・・・・・・俺も好き。」
頭を撫でて大好きな手が離れる。
革靴の音はあまり好きじゃない・・・
特に朝・・・
背中を向けて、扉の向こうに消える桜太を見送るのが寂しい。
・・・好き、好き・・・寂しい・・・好き・・・
どれだけの時間があっても、どれだけの時間を過ごしても、きっと足りない・・・好きは大きく膨れて溢れ、伝えたくて伝えたくて生まれてくる。
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