徒然なる恋の話

焔 はる

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十三夜【溺れるものは真夜中に溶け合う】

13-2

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「・・・椎娜・・・可愛い・・・ふふ・・・」


顎先に触れながら、桜太の指が唇をなぞる。

それなのに、目を細めて嬉しそうに笑うだけで桜太は・・・してくれない。


「・・・なにが?」


恥ずかしさと不満。

たまりかねた私は桜太を見上げて睨む。


「怒んないでよ・・・(笑)だってさ・・・すこ~しだけ開いた唇、やらしくて可愛いなぁって・・・」


・・・舌、入れていいんだな、って。


と、恥ずかしげもなく言うこの男・・・!!!


「!!!しない!!!しないならしない!!!!」


「(笑)待って、ごめんてば椎娜、ね、暴れないで・・・」


・・・暴れたって無意味だ・・・。


面白そうに楽しそうに、右手を気遣いながら私をいなして ・・・・、抵抗だって本気じゃないのをわかった上で、再び私は桜太の腕の中。

しかも、さっきよりもしっかりと。


「・・・しないの?」


「・・・したい?」


「・・・そういう風に聞くの嫌い。」


「ゴメンなさい・・・。ふざけすぎました。」


「・・・・・・桜太」


胸ぐらを掴んで引き寄せる。


「!しっ・・・ん・・・」


待ちきれない。


してくれないなら・・・しちゃえばいいんだ。


唇を重ねて舌を捩じ込み、勢いがついてぶつかった唇は少し痛かったし、欲求にまみれた私からのキス。


けれど背中から腰へと移る桜太の手が、背伸びをして左手だけで桜太の胸ぐらを掴む私を支えてくれる。


「・・・ごちそうさま。」


離した唇をペロっと舐めて、仕返しの挑発。


「・・・・・・ずる・・・」


自分の唇に触れて、眉間に皺を寄せ、してやられた事にご不満の美顔。


・・・私からの強引なキスが、桜太の中に火を灯す事を私は知ってる。


「ほら、そろそろお時間が危ないのでは??」


乱れてしまった桜太の襟元を直しながら、しめしめ、と私は満足して桜太から身体を離した。

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