徒然なる恋の話

焔 はる

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十二夜【時を超える花言葉】

12-14

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「・・・村の長で権力者だった香月さんの父親は、身分の低いくお金もない当時の時永さんとの関係を快く思ってはいなかった。近隣の村の権力者の息子と婚姻を結ばせ、一族と村をもっと発展させたかったんです。その為には時永さんが邪魔だった。気が強くて父親の思い通りになんてならない香月さんは、時永さんと別れるなら死ぬ、とまで言った。そうするわけにはいかない父親は、息のかかった村の若い衆に貴方の殺害を指示しました。香月さん、その右手・・・なるほど・・・・・・その怪我に関わった男・・・その男が、当時の時永さんに直接手を下した男です。」


「・・・・・・え・・・・・・ほん、と・・・・・・ちょっと、待って・・・・・・」


やばい・・・・・・頭痛がする・・・・・・

広瀬さんがスラスラ紡ぐ言葉とは真逆に、俺の頭は多すぎる情報をもたらした大量の言葉にブン殴られたようにガンガンと痛む。


「当時も、今回も、その男は香月さんが欲しくて欲しくてたまらなかったんですね・・・。妄執、執着、憧愛・・・時永さんがいなくなったらもしかしたら自分にもチャンスがあるかもしれないと思っていたようです。でも、そんなわけはなく、お2人が亡くなった後、彼も消され、『呪われた村』として、村自体が滅びました。それに・・・あ・・・そっか・・・・・・もう、いない・・・んですね・・・なるほど・・・」


広瀬さんが意味ありげに頷いて、岐津さんをチラっと見るが、岐津さんは目を合わせずに天井を見上げている。


・・・もういない。

それは、本当に言葉通りの意味なのだろう。

それ以上触れても俺は答えない、と岐津さんはだんまりを決め込む。


「・・・その怪我、それは香月さんの復讐、それで、その男との縁は完全に断ち切れた。貴方が前に進むために。怪我という代償は大きかったですが、命は失わなかった。間違った選択・・・・・・をしていたら、もしかしたら、違ったになっていた可能性もある・・・。運命とは、そのくらい変わりやすく動きやすい。自分次第というコトです。時永さんが・・・自分の立場に異様に拘るのも、その影響です。身分が低い、選べる立場ではない、選ばれない立場だった。その為に結ばれる事が出来ずに、添い遂げる事も叶わなかった。だから、今の貴方は、
今の地位・・・・、お金が欲しかった。香月さんと離れない為、誰にも文句は言わせない為に。」


ドクン・・・と大きく心臓が音を立てた。

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