徒然なる恋の話

焔 はる

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十二夜【時を超える花言葉】

12-10

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「おう、悪いな、休みの日に。」

店の外では岐津さんが直接出迎えてくれた。

指定されたのは取材開始2時間前。

まだ取材クルーの人達も来てはいない。

ここでは岐津さんが店に立つ事はなく、あくまでも店主として<占い師>を務める人物は他にいる。

どういうつながりでそうなったのかは知らないけど、その人物が、魔女だの黒魔術だの言われている人。

その人を先に紹介したいという話だった。


案内されて店内に入ると、日中のカフェにも関わらず、明かりを落とした照明はさながら夜のBARのようだし、4人掛けのボックス席は3席、カウンター席は5席とこじんまりとしている。


それぞれの席ではテーブルの上でキャンドルが揺らめき、落ち着いた柔らかな空間が広がっていた。


それに・・・・・・天井・・・・・・すごいな・・・・・・


後ろから俺について店内に足を踏み入れた椎娜を振り向くと、見上げて口を開け、目をキラキラさせている。


「岐津さん、すごいですね」

「な。俺もここまですんのか、って思ったけど、店主がそう言うからさ。」

肩を竦めて両手を上げ、『お手上げ』と岐津さんは笑う。

「けど、これが結構リピーター率高くて、最近じゃパワースポットって言われ始めてる」


3人で見上げる高い円形の天井、内壁には店名の<Yggdrasill>を描いて世界観を生み出した見事な大樹が枝葉を広げている。


「すごい・・・」


感嘆の声を漏らし、天井、内壁と見回す椎娜。
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