徒然なる恋の話

十一夜【空白の後は濃密に愛して】

11-17

「まっ･･･」

「･･･？椎娜･･･？」

少しの遠慮と、明らかな戸惑いの拒絶。

重なって近づいていた距離が、俺の胸を押した椎娜の手によって開いていた。

「･･･っごめ･･･いや、とかじゃなくって･･･なんか･･･その･･･ひさしぶり、で･･･」

言いたいことも、恐らくこうだろうなぁという椎娜の気持ちも予測がついている。

きっと、シたくないっていうのではなくて、まだ気持ちの方が追いつかなくなってしまっただけ･･･。

「ほんとだ、心臓めちゃくちゃドキドキしてる･･･(笑)」

鼓動を刻むその場所に手を当てれば、大きく伝わる緊張の音。

大丈夫？壊れない？そう心配になるほどドキドキしていて、可愛くて笑ってしまった。

「緊張する･･･？」

手のひらを広げ、重なった椎娜の指を絡めてきゅっと握り、１本１本に口づけた。

緊張ともしかしたら、少しの怖さ･･･

その両方があるんだと思う。

「椎娜･･･無理して合わせなくていいんだよ･･･？」

シたい俺に合わせて、シなきゃいけないと我慢・・する必要はない。

そのせいで、セックスが苦痛になったり椎娜の負担になるのは嫌だ。

何より、我慢してまでする必要はない。

付き合ったからシなきゃいけない義務でもなければ、性処理の為に椎娜を抱きたいわけもないんだから。

一瞬、不安に揺れる椎娜の瞳。

その理由。

「ガッカリとかしてないから。椎娜の思考、大体合ってるでしょ？(笑)」

続いて、驚きに見開かれる瞳とポカンと開いた口。

「上手く言葉にならない？」

「･･･うん･･･ごめん･･･怖いんじゃないのに･･･」

「うん･･･」

「･･･ドキドキしすぎて、前までどうやって桜太に触ってたかわからなくなった･･･」


･･･ほら･･･可愛い･･･