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十夜【それは記憶と結びつくから。】
10-4
しおりを挟む身綺麗にして、試しに自分の身体を匂ってみれば、いつもと同じボディソープの匂いしかしない。
・・・男臭い、とか言われたらそれはもう仕方ないけど・・・。
「し~いな」
ベッドに転がる椎娜を背後から腕の中に抱き込んで、髪に、首筋に鼻を押し付けて椎娜の匂いを深く吸い込んだ。
それだけで、肺の中から、身体の奥深くまで満たされる。
首回りを隠す髪を前に流して、露わになった素肌に口づけると、ぴくっと反応して息を詰めるのがわかる。
ちゅ・・・ちゅ・・・
滑らかな白い肌に啄むように軽く触れ、したいようにする、そんな言葉しか浮かばない程、何も考えずに唇を滑らせた。
「も・・・っ・・・や、だ・・・」
「・・・キスしてる方だけ、鳥肌立ってる。」
「!ゾワゾワするの・・・っ」
「知ってる。気持ち良さそうなのも。」
「・・・後ろからじゃ嫌なんですが・・・」
「・・・いいよ、こっち向いて。」
モゾモゾと身体を反転させて、腕の中で向かい合って収まった椎娜。
「ね・・・こっち、見て?」
睨むように、不満げに、腕の中から見上げる視線は俺を射抜く。
「・・・(笑)なんで怒ってるの?」
ぷりっとした唇はへの字に弧を描き、ムッとして尖っている。
ツンツンとつつけば、やだ、とそっぽを向いてしまった。
・・・なんだろう・・・香水とタバコ、知らない相手へのヤキモチなのかな、これ。
「しぃちゃん・・・ねぇ・・・」
「!!」
仰向けになった俺の上に椎娜を乗っけて、ガッチリホールド。
右手も使えないし、左手は自分の身体を支えているし椎娜は逃げられない。
お腹も胸も重なって、足も絡めて固定して。
さぁさぁ、疑問解消、お互いの事情聴取といこうじゃないか。
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