徒然なる恋の話

焔 はる

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九夜【真昼のぬくもり】

9-19

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「むか~しむかし、俺がまだ10代の頃、若気の至りで調子に乗ってやらかした喧嘩の傷だよ。バカだよねぇ。片目がほとんど見えなくなって初めて、自分の身体のー部を失う事や、取り返しがつかない事がある事、大切なものを失くす事がどういう事かわかったんだ。だからさ・・・大切なものは、無くさない様にしなきゃいけないんだよ・・・ね。」


物の形を認識出来るほど視力はなく、ぼんやりとした光、同じ色が視界に広がるだけなんだ、と柊誠さんは少しだけ寂しそうに、失明しなかった事が奇跡だったと柊誠さんは笑い、左目は再び前髪に隠された。


「・・・柊誠さん、岐津さんのお兄さん、なんですよね・・・?」


「そうだよ、俺も岐津さん・・・・だけどね(笑)」



・・・このご兄弟は、兄弟揃って美魔王・・・だったのか・・・。

岐津さんが48歳という事は、間違いなくその上なのに、そんな風になんて見えない。


「・・・不思議?」

「はい」

「(笑)俺も元春も年相応に見えないのが。」

「・・・はい。」

「・・・・・・秘訣はねぇ・・・・・・」


瞳に浮かんだ気がした妖しい光。


・・・・・・ゴクリ。


「・・・生き血だよ。」


柊誠さんの瞳。

ひんやりとした刃を突き付けられたように心臓が縮んだ音がした。


「・・・ぷっ・・・あははっ」


表情が固まった私に、堪え切れなくなった柊誠さんが噴き出す。


「柊誠さんっ!」


「ごめっ・・・(笑)ははっ・・・だ、っ・・・あはは、っ・・・だって・・・っははっ」


揶揄われた・・・!!


「美魔王兄弟ならありえそうじゃないですか!」


「何それ(笑)美魔王??(笑)」


「あ・・・」


「俺と元春??(笑)」


涙を拭いながら柊誠さんは可笑しそうにお腹をさする。
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